「マジェスティック」
「NEW LOVE」収録曲
御年50を過ぎても私たちの心に響く曲を次々と生み出すB’z。
2019年には長年ともに活動してきたサポートメンバーと袂を分かち、B’zにとっても新しい時代がやってきました。
B’zにとって令和初めてとなるアルバム「NEW LOVE」に収録された「マジェスティック」は、アルバムの核をなす曲のひとつ。
海外ではアルバムリリースしてからシングルカットされることも多いですが、日本ではほとんどそれはないため実質シングル曲を含まないアルバムになります。
その中で江崎グリコ「ポッキー」のCM主題歌であるこの「マジェスティック」やラグビー日本代表応援ソングの「兵、走る」、ドラマ主題歌の「WOLF」などがシングルに代わる存在といえるでしょう。
「マジェスティック」はその中でもオーガニックでナチュラルな雰囲気を感じさせる曲です。
肩肘の張らない、すっと心の中に入ってくるようなこの曲ではギターの歪みは鳴りを潜め、フェンダーのクリーントーンが印象的に使用されています。
ソロも味のあるとてもいい雰囲気。
近年の松本孝弘はギブソン・レスポールの使用が多く、そのゆがんだサウンドがトレードマークのようになっていたので新鮮に感じる方もいるのではないでしょうか。
MV
MVにも注目してみましょう。
フェンダーサウンドが心地いい
MVはB'zのレコーディング風景と思われる様子とポッキーのCMがコラボしたもの。
鮮やかな色彩のCM部分とモノクロのB'zの演奏シーンが対照的です。
すべての瞬間はいつか思い出になっていく。
時が止まったようなノスタルジックさを感じさせるモノクロのB'zの姿が、そういった郷愁にも似た想いをもたらします。
だからこそ、その青春の時は尊いのだと。
伝え合うことの素晴らしさを歌いつつ、その存在で更なるメッセージ性を物語っているのです。
世の中のいろんなことを知り尽くしてきた男たちと、まだ何も知らずこれからの可能性をたくさん秘めている十代。
「マジェスティック」の持つメッセージ性に加えてB'zの二人とCMとの対比が、このMVを深みのあるものにしています。
フェンダーサウンドと稲葉浩志の声が胸に響き渡る一曲です。
「マジェスティック」歌詞解釈
ではここからは、「マジェスティック」の歌詞の世界に足を踏み入れてみましょう。
「マジェスティック」の歌詞の世界
ちょっと聞かせておくれよ
きみの話 紅茶を飲んで
面倒くさがらないでよ
今日会った人 笑っちまった事
ため息ふうっと漏れる
そんな場面ひとつさえも愛しい
出典: マジェスティック/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
話をすることは、コミュニケーションの基本です。
ですが、これは意外と難しいものであることは多くの人が経験しているのではないでしょうか。
思っていることを言葉でうまく表現できない人もいますし、意図したのとは別の意味で相手に受け取られてしまうこともあります。
そして近しい存在であればあるほど、その関係に甘えてしまって「口に出さなくてもわかってほしい」と思うことも。
また自分の中に積み重なる想いがあっても、相手のことや状況を考えて口には出せない、出さない場合もあるでしょう。
辛い想いや悲しい想い、そして傷つけられたことを心の中にしまっておけば、それはまるで澱のように心の奥底に沈んでしまいます。
話を聞かせて
もしかしたら、誰かに話してしまうことで楽になれるかもしれません。
辛い想いや悲しい想いは口に出すとまたその辛さが蘇るかもしれませんが、誰かがそばにいてその思いを共有してくれると、救いとなることもあります。
「話を聞かせて」と語りかける人物はそのことをよく知っているのでしょう。
相手が構えることのないようにリラックスさせながら、笑顔で語りかけているのが目に浮かぶようです。
素直になれない相手の心を和らげるかのように。
何でもない日常の出来事を聞くのも、大切な人のことならとても楽しいもの。
心を閉ざしている相手も、そうしているうちに辛い心の内を話し出すかもしれません。
相手のことを大切に思っているからこそ、そうしてゆっくりと話して心の内を知りたいと思うのです。
「マジェスティック」という言葉が意味するもの
晴れても降っても
君の声はマジェスティック
繰り返す日のあちこちに潜む奇跡
振ってごらんよ
折れない魔法のスティック
シンフォニーのように
言葉は震え響き出す
出典: マジェスティック/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘