黒歴史かもしれない

【スピッツ/醒めない】歌詞の意味を解説!何を育てるつもりなの?物語を温めるメモリーの正体に迫る!の画像

カリスマの服真似た 忘れてしまいたい青い日々
でもね 復活しようぜ 恥じらい燃やしてく

出典: 醒めない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

ロックは音楽だけでなく、ファッションにも訴えるものです。

ファッションの世界でもロックは固定概念を覆してゆきます

いまでは一般的な男性のマッシュルーム・カットやボブカットでさえ社会を揺るがしました。

さらに長髪のロック・ミュージシャンが増え、さらに揺り戻しで短髪が流行る。

棘棘したアイテムに身を包んだパンクロックバンドの姿は保守的な人びとの眉をしかめさせます。

「醒めない」の俺はこうしたロック・スターの姿を外見から真似しようとしました。

何ごとも形から入ることだって大事です。

中身は続けてゆくうちに本物になってゆくものでしょう。

もちろんこうした若さを俺はどこかで黒歴史だと思っています

思い出すと真似してばかりの日々が恥ずかしく感じられるものです。

しかしいまの俺はそうした真似した日々でさえ復活して欲しいと願います。

最近消えていたようなロックの光のようなものを再び身にまといたいのです。

一周回って同じところに戻ってきたというような心情なのでしょう。

「醒めない」はロックに還るというとても大事なことを歌い上げてくれています。

恥ずかしさなんて外面の問題は気にしないことこそロックの真髄だからです。

君のためにあるロック

タイトルを回収してみる

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任せろ 醒めないままで君に 切なくて楽しい時をあげたい
もっと膜の外へ なんか未知の色探して
さらに解き明かすつもり

出典: 醒めない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

タイトルの「醒めない」というワードを回収する箇所です。

ここで愛する君に俺が感じた熱情を「醒めない」で提出することだと分かります。

俺と君は恋愛要素を感じながら読むこともできるでしょう。

しかし一方で君はリスナーのことじゃないかと思わせるのです。

リスナーに直接語りかけるように草野正宗は歌います。

一人称もロックっぽい俺というものにこだわったのだと気付かされるのです。

それはアルバムの幕開けの曲の中で約束したい思いでしょう。

君のために興奮できて、少し泣いちゃうような感激を与えられるよと私たちに語りかけるのです。

アルバムの一曲目であるという「醒めない」の出自の確認は解釈においてとても大事な要素になります。

これから一時間くらい君の時間をもらうけれども楽しませることを約束すると歌うのです。

アルバム「醒めない」はロックバンドとしてのスピッツの姿が如実に表現されています。

しかし「ヒビスクス」のような深くて涙なしには聴けない歌詞も用意されているのです。

色々と感じられるのはミックス・エモーショナルなものでしょう。

どの色と決め付けられないアルバムになっています。

もっとアウトサイド、ワイルドサイドへ

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再三、語らなくてはいけないことはロックが固定観念を破壊するものだという事実でしょう

そこには広く一般的な固定観念というものもあります。

一方でスピッツに対する思い込みのようなものまでも転倒させたいという気持ちを滲ませるのです。

そして草野正宗は自分を鼓舞するようにもっとアウトサイドへ、ワイルドサイドへ行こうとします。

アーティストの野望というのは受け手に見たこともない景色を見せることです。

表現者として自分がいる理由は、他の人では魅せられないものを提供できるからだと考えます。

アートとしてもエンターテイメントとしても未知なるものをプレゼンスさせたい。

こうした強い願望や思いを抱え込んでいるからこそ草野正宗もスピッツもアーティストたりえるのです。

こうした未知なる表現というのはどこまでもホットなものでしょう。

私たちに興奮を与えてくれるものがこの「醒めない」にはあふれています。

楽曲にある性急なビートが追ってくる感覚はロック・ミュージックの醍醐味です。

そこにスピッツの懐かしくも新しい魅力を私たちは感じることができます。

このアルバムこそがロックとの最初の出会いだという若い世代だっているのです。

最後に ロックは感じるもの

草野正宗の挑発が秘められる

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見知らぬ人が大切な人になり
相性悪い占いも余計に盛り上がる秘密の実
運命を突き破り もぎ取れ

出典: 醒めない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

終盤の非常に熱い歌詞になります。

占いというものは人の可能性を宿命や運命論の中に閉じ込めてしまうものです。

しかし生きた人間関係というものは絶えず変わりゆくことを俺は知っています。

そしてここでも草野正宗はアウトサイドへ羽根を広げてゆくのでしょう。

凝り固まった観念から抜け出て未知なるイメージに近付こうと息巻くのです。

実際に草野正宗が書く歌詞はやさいい言葉ばかりなのに非常に解釈が難しかったりします。

普通の観念では解釈しきれないような複雑なことだって歌ってくれるのです。

本当は怖いスピッツの歌詞というものはファンにはお馴染みのものでしょう。

しかしスピッツを一般的なポップバンドだと侮っている人は痛い目に遭うはずです。

草野正宗というアーティストはあくまでも人間というものに迫ってゆこうとします。

享楽的な歌詞に甘んじている人ではないのです。

「醒めない」でもロックの可能性というものについて歌っています。

しかしこれは表面的な解釈に過ぎないかもしれません。

本当はロックのような固定観念を覆すものを題材にして人間というものの認識を問おうとしているのです。

私たちは認識というものに限りを付けようとしてしまう生きものでしょう。

日常で認識が揺らいでしまうことを私たちは嫌います。

どうやって生活を組織すればいいのかという観念が絶えず揺れていては困るからです。

できるだけ安定した生活を求めるあまりに私たちは認識能力に制約を求めます。

秘密なんて知らなくていいとさえ思う人だっているでしょう。

しかし「醒めない」ではそうした事情はわかるけれど俺は勝手にやらせてもらうよと宣言するのです。

自分がロックとの邂逅で大きく揺るがされて今日があるような経験を追体験してもらいたい。

なぜならそれが何よりも気持ちがいいものだからだとロックの真髄を提示してくれるのです。

自分が固定観念に囚われていたことに気付かされて、新しい道を照らされた瞬間の壮観さ

こうしたロック・ミュージックが持ち得る力やポテンシャルを全開で表現してくれます。

それは世界の表面を覆う肌をちょっとめくってみて、その中身を確かめてみるような仕種なのです。

そうした仕種というものこそ運命への挑戦でしょう。

草野正宗は力強くリスナーを鼓舞します。

この先にきたるべき世界があると確信しているからこそ、俺はリスナーに殻を破れと歌うのです。

スピッツだってロックに殉じるのです

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まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる
さらに育てるつもり 君と育てるつもり

出典: 醒めない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗