いよいよクライマックスの歌詞です。
お気付きのようにリフレインを含みます。
しかしラストにリスナーへの呼びかけを付け足しているのです。
俺はロックとの出会いの衝撃からまだまだ「醒めない」思いを抱えています。
脳内で再生するのは思い出のロックナンバーでしょう。
ビートが衝撃だったのか、ギターの音色に惚れたのか。
あるいは歌詞によって脳天が打ち破られたのかもしれません。
ロックは誕生からすでにおよそ70年も経っています。
ブルースやR&Bなどの黒人音楽とカントリー・ミュージックが渾然一体となってロックが生まれました。
原初の段階で黒人公民権運動に先駆けるミクスチャーな感覚を示したのがロック・ミュージックです。
そこには肌の色の区別によらないという反骨精神が予め用意されていました。
草野正宗はパンクロックバンドに惹かれてこの世界に飛び込みます。
パンクロックは複雑になってしまったロックをもう一度プリミティブなものにしようという音楽です。
そこには原初的な反骨精神が刷り込まれていて、固定観念の破壊というものなどお手のものでした。
スピッツの音楽でもこうした興奮を感じて欲しいというのが「醒めない」の歌詞の骨です。
もう憧れのシンガーを真似っ子する時代ではないし、スピッツの音楽は唯一無二でしょう。
ただ、最初に感じたこれからの日々をすべて変えてしまうようなときめきを甦らせることにこだわりました。
ロックに出会ってしまうと、しばらくの間は熱に浮かされたようにロック・ミュージックばかり聴きます。
先行する価値観や音楽を陳腐なものに感じさせる力がロックにはあるのです。
「ロックのオルタナティブはロックだと思う」という草野正宗の確信が歌詞に滲んでいます。
「醒めない」からこそいつまでも熱を感じさせてあげたい。
そのためには俺の他にリスナーである愛する君が必要なのだと歌ってくれました。
そしてスピッツのロックを育ててくれるのは俺だけじゃなく君でもあると歌います。
ロックこそこれから育ててゆくものだと誓うのです。
何せ俺の熱をずっと「醒めない」で温め続けているのはロックの歴史そのものであります。
発表から数年を経てもいまなおロックへの憧憬があらん限りの光を放っている楽曲です。
スピッツ自体がロック大陸の住人であることを高らかに宣言した楽曲こそ「醒めない」であります。
その思いをすべて汲み尽くして一緒にロックを「感じたい」と願うものです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
OTOKAKEとスピッツの軌跡
OTOKAKEにはスピッツの関連記事がたくさんあります。
中でもひと癖加えたマジカルなラブソングの解説記事をご紹介しましょう。
「不思議」という「さざなみCD」に収められた楽曲です。
草野正宗はラブソングの主人公を控えめ過ぎる少年に設定しました。
その設定によって恋の「不思議」さが鮮明になります。
渾身の記事ですので是非ご覧ください。
【スピッツ/不思議】歌詞の意味を解説!恋は貝の中に閉じこもる僕をどう変えた?恋のフシギを解き明かす! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
スピッツが2007年に発表した「不思議」の歌詞の謎に迫ります。主人公を変えた恋の魅力とは何だったのでしょうか。エバーグリーンなサウンドで届けられたこの楽曲を紐解きます。
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