切ないバラードにどんな想いが込められているのか
この曲を聴いて感極まり涙が流れ落ちてしまったという人も少なくないと思います。
「LOVE」という曲からは“切情”が滲み出ているようです。
壮大なバラードに相手への想いを乗せて情熱的に歌い上げた米津玄師。
「かいじゅうずかん」のイラストや設定と併せて、彼のアート性が凝縮されたような楽曲です。
それではさっそく1番の歌詞から解説していきます。
「LOVE」の1番の歌詞を徹底考察
美しい情景の浮かぶ1番Aメロ
夜明けの隨に この声を
忘れないでと 海に放した
幾千もの光が 流れていく
風を受けては 果てへと向かう
出典: LOVE/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
幻想的な情景が浮かび上がってきそうな歌詞。
歌がなくても、詩だけで成立しているといってよいでしょう。
“隨に”は「まにまに」と読みます。
いくつか意味がありますが、ここでは「〜と共に」と解釈するとよいでしょう。
「LOVE」の歌詞の主人公は、夜明けと共に忘れて欲しくない気持ちを歌っているのです。
しかし、ここで歌われている“幾千もの光”とは何でしょうか?
推測になりますが、もしかすると声を光と捉えているのかもしれません。
声が光となって風と波に運ばれていく。
なんて美しい光景でしょう。
相手への純粋な想いが伝わってくるようです。
感情を剥き出しにしたようなサビの歌詞
どんなに遠く離れたとしても
ずっと深く傷ついたとしても
もう二度と会えないんだとしても
思い出せなくなってしまっても
出典: LOVE/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
素直な気持ちを力いっぱい泣き叫んだような歌詞です。
感情が剥き出しです。
世の中には、お互いの関係を隔てるものはたくさんあります。
距離、心の傷、周囲の反対、記憶の綻びなどなど。
しかし、たとえその全部が揃ったとしても今の君を忘れない。
そんな想いを歌っているようです。
「どんなに時が経っても、君と過ごした日々が消えることはない!」
その想いこそ世界で唯一の真実なのでしょう。
それでいいじゃないかという、感情の向こう側まで伝わってくる凄い歌詞だと思います。
歌詞で表現しているものが変化
Aメロはどちらかというと景色が浮かんでくるような歌詞でした。
サビでは雰囲気がうって変わり、心情を吐露するようなストレートな表現が特徴的です。
サビでは一気に切ない感情が伝わってきますが、表現方法の切り替えも効いていると思います。
やはり米津玄師のセンスはズバ抜けているのでしょう。
曲よし、歌詞よし、イラスト良し、才能の塊です。
韻を踏んで感情を畳み掛けている
「LOVE」のサビの歌詞を聴いて気づいたことはありませんか。
そうです。1行のフレーズの最後は「も」という言葉で終わっています。
韻(いん)を踏んでいるのです。
韻というのは、連続して同じ母音で終わるテクニック。
リズムをよくするほか、歌のフレーズが聴いている人に入りやすくなります。
サビを聴くと、相手に向かって叫んでいるような切ない景色が浮かび上がってきませんか。
韻をプラスすることによって、歌詞がより心を揺さぶるものになっているからでしょう。