煌めいた八月の“if”
短い夏のひみつ 探しにいこうよ
息をとめて そのままでいて
“もしも”じゃない“今”を抱きしめている
出典: 八月のif/作詞:中村航 作曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
このパートでは、タイトルでもある「八月のif」というワードが登場しています。
ifというのは和訳すると「もしも」という意味です。
前述した歌詞パートでも、彼女たちは「もしも」出会っていなかったらどうしていたのか。
そんな別の現在を想像して話し合っていました。
ここではそんな彼女たちの間で行われた「もしも」の話を指しているのだと考えられます。
今という瞬間を大切に思っているからこそ、その別の可能性にも心を惹かれているのでしょう。
2行目ではこの運命のような出会いがどのようにして生まれたのか。
その理由を紐解きたいという気持ちを表現しているのではないでしょうか。
3〜4行目の歌詞で伝わってくるのは、自分たちが生きているこの瞬間を大切にしたいという気持ち。
他の可能性を考えることによって、今自分たちが共にここにいるという奇跡を噛みしめているのでしょう。
過去と未来
夏がもたらすノスタルジー
ひぐらしがかなかな鳴いてる
夏のため息を かき消す波の音みたい
わたしたち 今はこうして出会ってるのだから
過去のすべて ありがとう
出典: 八月のif/作詞:中村航 作曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
夕方の日暮れ時に鳴く(稀に夜中の2時ぐらいにも鳴くことがある)ことから、「日を暮れさせるもの」としてヒグラシの和名がついた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒグラシ
この蝉は太陽が落ちてきた夕暮れ時に活発に鳴くのです。
その鳴き声は私たちにノスタルジーを感じさせます。
ここでも主人公たちは暮れていく街の中、自分たちの過去について振り返っているのでしょう。
昔を懐かしむようにここまで来た道のりを考えています。
そして過去の経験が今に繋がっている事に対して必然性を感じているのかもしれません。
1つでも違っていたら今の自分たちはいないかもしれない。
そんな気持ちで、過去に対して感謝の気持ちを述べているのではないでしょうか。
未来への歌
笑った日を 泣いた日を
泣き笑いしてた日を
全部 歌にしようね
どうか 明日に 届きますように――
出典: 八月のif/作詞:中村航 作曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
今までは過去と現在という2つの地点を行き来していた主人公の言葉。
そんな中、ここではついに未来について言及しています。
過去を振り返ったことによって、自分たちがしたいと思うことが明確になったのかもしれません。
未来に届けたいと思うこと。
それは今までの自分たちの経験の全てを自分たちの言葉で歌にするということです。
思い出の全てを歌にしていくという行為は何を意味しているのでしょうか。
そこには今隣にいる仲間たちとの絆をこれからも続けていきたいという気持ちも込められているのでしょう。
仲間たちとの絆
「忘れ物」が意味する言葉
夢をみて まだ醒めないの
夏の終わりの忘れ物を取りにきて
何も言わず このままでいて
ただひとつの“今”を抱きしめている
出典: 八月のif/作詞:中村航 作曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
夢というのは、前述のパートで書いた未来に対しての展望のことをいっていると思われます。
これはつまり将来の夢と言い換えることもできるかもしれません。
未来を思い描きながらその未来に対する想像が膨らみ、夢見心地な気分が抜けないでいるのでしょう。
またこの言葉は他の意味にも捉えられます。
それは「もしも」と妄想していた別の世界での自分たちのことを指している可能性です。
自分たちがいる世界とは別の今を想像していたことについて夢といっているのかもしれません。
次に、2行目に記されている「忘れ物」とは一体何のことを指しているのでしょうか。
「忘れ物」というのは過去と関係がある言葉です。
これは自分の所有物をどこかに置き忘れたことを指して、今という地点からいっている言葉だと考えられます。
「忘れ物」とは、主人公たちが忘れていた過去を取り戻すことを意味しているのではないでしょうか。
過去を回想し忘れてしまっていたけれど今に繋がっていた数々の思い出。
儚い夏の情景を目にしたことでそれらの大切さに気付くことができた。
それが夏の「忘れ物」なのではないでしょうか。
過去を振り返ったことによって今という時間の尊さを感じているのでしょう。