79thシングル「ターンAターン」

今回ご紹介するのは、1999年にリリースされた79thシングル表題曲「ターンAターン」。

さりげなく紹介しましたが、79枚目とはすごいですね。デビューが1972年ですから、この時点でデビュー27年ということになります。

絶盛期であった70年代後半から80年代前半にかけてはかなりの枚数のシングルを発表していました。

多い時は一年に6枚もリリースしています。それだけ勢いがあったということなんでしょうね。

2000年代に突入してからはリリース数が激減しますが、キャリアを通しては86枚のシングルをリリースしています。

それだけたくさんの名曲を残しながらも急逝してしまった西城秀樹を偲びながら、この曲の世界を紐解いていきましょう。

「∀ガンダム」のオープニング曲!

【ターンAターン】西城秀樹の力強さに胸が奮える…今、歌詞の意味と共に偲ぶ『∀ガンダム』OP曲の画像

この曲は、1999年に放送が始まったアニメ「∀ガンダム」のオープニング主題歌として起用されました。

ご存じ日本が世界に誇るロボットアニメ”ガンダム”シリーズの20周年記念作品として制作され、総監督は富野由悠季が5年ぶりに務めたことでも大きな話題となりました。

ガンダムの創始者の手によって蘇った記念すべき作品のガンダムは、そのデザインも従来のガンダムとは大きく違ったものに。

この「∀ガンダム」のメカニックデザインはあの映画「ブレードランナー」のカーデザインや「トロン」、「スタートレック」などを手掛けたシド・ミードが担当することに。

数多くあるガンダムシリーズの中で唯一、彼のみが日本人以外でガンダムのメカニックデザインを手掛けたデザイナーとなりました。

新しいスタイルのガンダム

【ターンAターン】西城秀樹の力強さに胸が奮える…今、歌詞の意味と共に偲ぶ『∀ガンダム』OP曲の画像

その感性の違いもあってか、これまでにないスタイルの新しいガンダムが登場。

世界的に活躍はしていたものの日本のアニメ経験はなかったという彼は、なかなか自分のデザインした∀ガンダムに自信が持てなかったそうですよ。

柔らかく流れるようなラインが印象的で、フェイスデザインも大きく変化したことから賛否両論が巻き起こりました。

「機動戦士ガンダム」としてガンダムが1979年にお目見えしてからこの∀ガンダムが登場するまで20年。

長い歴史があり多くの人に愛されてきたからこそ、新しいデザインがなかなか受け入れられなかったのでしょう。

この新生ガンダムともいえる「∀ガンダム」の世界を、西城秀樹主題歌「ターンAターン」が彩りました。

豪華制作陣&西城秀樹

作詞を手掛けたのは……?!

「ターンAターン」の作詞者は井荻麟というクレジットになっていますが、これはガンダムの生みの親である富野由悠季が作詞を手掛ける際に使用するペンネーム。

アニメの総監督が主題歌の作詞も手掛けるという熱の入れようです。

そして小林亜星が作曲と、かなり豪華な曲になっていますね。

もちろんその熱意に応えるべく西城秀樹も以前にガンダムの主題歌を担当していた森口博子にコンタクトを取り一時間にもわたってガンダムの話を聞くなど、解釈や研究を重ねたようです。

ちなみに西城秀樹は、自分なりにガンダムを理解した上で”ターンAターン”という言葉の意味を富野由悠季に質問すると、二時間にもわたって熱く語られたとその思い出を語っています。

それぞれの熱意が相乗効果を生んで、アニメの世界観にぴったりな素晴らしい曲が生まれたのでしょう。

「ターンAターン」の歌詞

ではここからは、富野由悠季がガンダムへの思いを込めて作詞した「ターンAターン」の歌詞を見ていきましょう。

歴史をかきなおすには……?

【ターンAターン】西城秀樹の力強さに胸が奮える…今、歌詞の意味と共に偲ぶ『∀ガンダム』OP曲の画像

ターン A ターン ターン A ターン

刻が未来へ進むと
誰がきめたのだ
烙印をけす命が
歴史をかきなおす

美しい剣は 人と人つなげて
巡りくる切なさ 悲しみを払って
あなたとの間に 命ある形を
この星に捧げる 愛というしるしで

ターン A ターン
ターン A ターン ターン A
ターン A ターン
ターン A ターン ターン A

出典: ターンAターン/作詞:井荻麟 作曲:小林亜星

時間は過去から未来に進むもの。

物理的にはそう決まっています。決して後戻りすることはありません。

でもそれを遡って、過去を変えてしまうことは可能なのでしょうか。

タイムマシンに乗って、過去に行くことは小説やアニメの世界ではあり得ますが現実的ではありません。

実際に過去を、歴史を変えようと思ったら現在を変えること。

歴史というものは、勝者の歩みです。

勝ったものが歴史の中で正当なものとして扱われ、負けたものは反乱や暴動という言葉で歴史の片隅に追いやられます。

歴史を変えたければ、自分が勝者にならなければならないのです。

そのためには、様々なものと戦わなくてはならないでしょう。

戦うということは自分の大切なものを守るため、そして正しいことを突き通すために仕方がないのかもしれません。

でも戦っている相手にも、大切な人が存在し、守るべき信条があるのです。

憎しみや欲に支配されて戦うのではなく、不必要な悲しみを生まないように愛を持って戦わなければその戦いは不毛なものになってしまうでしょう。

太陽と月と

【ターンAターン】西城秀樹の力強さに胸が奮える…今、歌詞の意味と共に偲ぶ『∀ガンダム』OP曲の画像

刻は巡りもどると
誰も信じてた
黒くくすんだ暦を
新たにかきなおす

星々のまたたき
生きものにほほえみ
太陽と月とが
この大地あたため
生まれ出る喜び 慈しむ心を
ゆるやかに育てて 傷口を癒そう

ターン A ターン
ターン A ターン ターン A
ターン A ターン
ターン A ターン ターン A

出典: ターンAターン/作詞:井荻麟 作曲:小林亜星