もう今晩は眠ることは無理だと悟った主人公。

部屋の電気も消さない状態で天井を見つめながら、ひたすら君との関係について頭を悩ませています。

シングルベッドで」という言葉も登場しているので、主人公は完全に独り身なのでしょう。

後述しますが2番の歌詞を見てみると「青春は迷路だった」という言葉も出てくるため、恐らくこの主人公は学生なのだと思います。

耳に涙が落ちているってどんな状況?

(※)耳に落ちる涙の雫よ
その熱さを僕は忘れない
目尻 溢(あふ)れ 流れて行くんだ
自分の弱さ 誰にも見せないように…
泣こう 泣こう 泣こう
こんな夏の夜

出典: 耳に落ちる涙/作詞:秋元康 作曲:西井昌明

ベッドで仰向けに寝て、天井を見つめながら考え事をする主人公。

だんだんと悲しい気持ちになってしまい、ついに涙が零れ落ちました。

涙はそのまま頬をつたっていき、耳に落ちたのでしょう。

「耳に落ちる涙」という曲名を聞いただけでは一体どのような状況なのか想像しにくいですが、先ほどの歌詞を見れば一目瞭然ですね。

主人公は"君のことを想いながら泣くことに意味はある"と思っています。

君の前では自分の弱さや本心を出すことができず、モヤモヤしていました。

でも、泣くことによって、自分の気持ちをスッキリさせることができると思っているのでしょう。

「夏の夜」とあるので、季節は夏であることがここで明かされています。

ということは、冒頭で登場した「一週間」とは、夏休み期間中の出来事を指してるのかもしれませんね。

2番~ラストの歌詞

普段はポジティブだけど…

考え込むタイプじゃないって
自分のことを思っていたのに
ずっと抜け出せない
青春は迷路だった

出典: 耳に落ちる涙/作詞:秋元康 作曲:西井昌明

主人公は、普段はポジティブな考え方をする人間なのでしょう。

恋愛のことでウジウジと悩むようなタイプではないと思っていました。

例え恋をしたとしても、いつもと変わらず前向きに乗り越えていけると思っていたのです。

しかし、君のことが本気で好きになってしまった主人公。

君と付き合いたいのに、全然上手くいかないことを本気で焦っているのでしょう。

学校の授業とは違い、恋愛には正解がありません。

君の心を掴む確実な方法だって存在しません。

どうすればいいのか答えが見えない状態なので、主人公は「青春は迷路」だと感じているのです。

連絡をくれない君

ある日 連絡ピタリなくなって
何かムカついて寂しくなって
だけど僕からは
絶対 会いに行ったりしない

出典: 耳に落ちる涙/作詞:秋元康 作曲:西井昌明

今まで君と連絡を取り合っていた主人公。

しかし、なぜかある時を境に、君からの連絡が途絶えてしまいました。

君に嫌われるようなことをした心当たりは全くないので、連絡をくれない君に対して主人公は不満を感じています。

君からの連絡が来なくなってしまい、寂しい気持ちを抱えている主人公。

でも、だからといって自分からわざわざ会いに行くのは、プライドが許さないのでしょう。

君のほうから会いに来てくれるまでもう会わない!と決めているようです。

時の流れが遅いと感じる主人公

コーヒー飲んだせいか やけに目が冴えていて
さっきから動かない
デジタル時計よ

出典: 耳に落ちる涙/作詞:秋元康 作曲:西井昌明

主人公が寝付けないのは、"悩んでいるから"という理由だけではありません。

寝る前にコーヒーを飲んでしまったのも、ひとつの要因なのでしょう。

辛くて、寂しくて、悲しい時間を過ごしているせいなのか、時間の流れが遅いと感じている主人公。

本当にデジタル時計が動いていないのではなく、動いていないのでは?と思ってしまうほど、時間がゆっくりに感じるのです。

涙を拭わない理由は?

耳に落ちて涙に気づいた
知らぬうちに悔いを残してたのか?
今は何も拭わずにいよう
想い すべて いつか枯れてしまうまで
ずっと ずっと ずっと
僕はこのままだ

出典: 耳に落ちる涙/作詞:秋元康 作曲:西井昌明

主人公は涙がこぼれたのを見て初めて「自分は今の関係に満足していない」と自覚しました。

君と曖昧な関係をダラダラと続けてしまっていたことを、深く後悔しているのです。

曖昧な関係から抜け出し、はっきりと答えを出していたら、君から連絡が来ないだけでここまで落ち込むこともなかったのでしょう。

君のことが大好きだけど、自分の気持ちを必死に隠してきた主人公。

しかし、誰もいない今だったら、素直な気持ちを吐き出すことができます。

主人公は自分の気持ちが落ち着くまで、今日は思いっきり泣こうと決めました。

涙をあえて拭わないのは「もう自分の気持ちに正直になろう」という決意の表れなのだと思います。

変な泣き方かもしれないけど…