ヒットが生まれたのは運命? それとも定め?
この曲がヒットした経緯は、名曲誕生に相応しいストーリーがあります。1983年8月松田聖子さん14枚目のシングル「ガラスの林檎」のB面として世に出ました。
ガラスの林檎がヒットのピークを過ぎたころ、B面に注目が集まり始まりました。
当初は歌手名をシークレットにしたビールのCMに、B面のSWEET MEMORIES が使われたのです。アニメのペンギンがバーで歌う設定はいまではNG。
でも当時はペンギンの可愛さと、誰が歌っているのかが大きな話題になりました。 結果、両A面として再発売されるほど、注目を浴びました。名曲が生まれた瞬間ですね。
ドラマは後付けかもしれませんが、名曲にはやはり何かストーリーが付き物。曲に浸るには、少し明度を落とした部屋が似合います。
今私は元気です。過去はもう思い出
誰にでもある過去。過去は変えられないから、前を向くなんてベタなスローガンもあるけれど、過去にあったことを〇にするか×にするかは、自分が決めること。
その時はツラい出来事も、甘さと苦さの絶妙バランス、カカオ60%の思い出にすることもできます。
歌い始めの一言で、つかみはOK!
やわらかなひらがな「なつかしい」で歌は始まります。
なつかしい痛みだわ
ずっと前に忘れていた
出典: SWEET MEMORIES/作詞:松本隆 作曲:大村雅朗
思い出した過去は、少し温度を上げて胸によみがえります。「なつかしい」という言葉はあの頃は良かった…という思いも込められています。歌詞の中ではなつかしいの後に続く言葉は「痛み」です。
本来であれば思い出すことで癒されるのに、正直な心はなつかしさを痛みと感じます。しかも自分はもう忘れたこと。時間が経ち過ぎた過去は、もう封印をしたはずだったのに…
でもあなたを見たとき
時間だけ後戻りしたの
出典: SWEET MEMORIES/作詞:松本隆 作曲:大村雅朗
どうして私の前に現れたの? 私の前からいなくなり、もう遠く過ぎ去った人。忘れるのに時間はかかったけれど、私は私を取り戻した。
ここに立っているけれど、あなたと過ごした日々に、私の時間は巻き戻されました。
突然目の前に現れた「あなた」かつてあなたは私のすべてだった。私の心を盗むようにつかんで、それを離さないことを信じていた私だったのに。
話しかけてくれた、でも私のコトはもう…
あなたはズルい人。こんな投げかけは、逃げているから出るフレーズ。過去からも現在からも逃げている、あなたから出た残酷な質問は?
「幸福?」って聞かないで
嘘つくのは上手じゃない
出典: SWEET MEMORIES/作詞:松本隆 作曲:大村雅朗
フツーに過ごす毎日は決して不満じゃない、でもなぜあなたは「幸せ?」なんて言葉で今の私を確かめようとしたの… 答に詰まって、表情が固まるのが自分でも分かります。
嘘をつく必要なんて無いと自分に言い聞かせます。
あなたの目を見られない、うつむいたままで作り笑いをするのが、いっぱいいっぱい。今の私を見ただけで、あなたに心の中を見透かされるのは覚悟しているけれど。
あなたは幸福なんですね。だからそんな質問を私にすることが出来たのですね。
でも立っている、今は私のステージに立っている
あなたと別れた後の私は、決してみじめな気持ちだけで生きていた訳じゃありません。仲間だっているし、今でもあの頃と同じように自分が立つべきステージに立っています。
あなたがいなくても私は一人でここまで生きてきました。あなたを忘れて…