九番目は仏陀?

まあ、逆らって新王都くぐもった脳系統
墓掘れ説法 釈迦釈迦善行
六感・吶喊・竜胆・錠

出典: ブリキノダンス/作詞:日向電工 作曲:日向電工

釈迦は仏陀のことでもあります。

吶喊(とっかん)は突撃する際の掛け声です。

竜胆(りんどう)は仏花の一つで花言葉は「勝利」。

「カウラヴァに逆らって新しく王都を作ったが、何をしたらいいか分からない。

いつ死んでもいいように、墓を掘れとは言っておいた。

仏陀によると、お告げによって勝利が約束されているらしい。」

反旗を翻しながらも、その後にどう行動すべきかブリキたちにはわかりませんでした。

「反抗すること」のみが目的であり、その後の展望を十分に描けていなかったのでしょう。

しかし、いずれカウラヴァからの反撃があります。

戦いになれば、犠牲が出てしまうことは想像に難くありません。

そのために、もし死んでもきちんと埋葬できるように墓の用意はしておこうと説いているのです。

しかし、味方である仏陀は自分たちの勝利は約束されているというお告げを聞いています。

踊りは続いていく

新天地で繰り返す愚策

どれどれ、震え 蔑んで新体系
欺瞞の延長 詭弁の劣等
ドグ・ラグ・叶えろ

出典: ブリキノダンス/作詞:日向電工 作曲:日向電工

「どれどれ」恐らく踊れ踊れの「お」が抜けたものでしょう。

最初の「踊れ」も「お」はほとんど発音されていません。

そして、ブリキたちがどれどれと新しい王国の様子でもあります。

「震え」はブリキの人形が動いて震えている様子。

「ドグ・ラグ」は踊りの一種です。

「踊れ踊れ、新しい王都もダメではないか。

人の目を欺いて、これでは前の王都と何も変わらない。

踊って、良くなることを願うばかりだ。」

新しい王都を治める方法を考えていなかったために、統治はうまく出来ませんでした

カウラヴァのいる王都と変わらない有様に、ただ困惑するばかり。

しかし、自分たちではどうすれば良く治めることができるのか分かりません。

現状を改善することもできず、ブリキたちは踊るばかりでした。

パーンダヴァに忍び寄る手

不気味な手、此処に在り
理性の目、咽び泣き
踵返せ 遠くに
偲ぶ君の瞳を

出典: ブリキノダンス/作詞:日向電工 作曲:日向電工

再び「マハーバラタ」に戻ってきます。

不気味な手はカウラヴァの長兄「ドゥルヨーダナ」でしょう。

彼は幾度もパーンダヴァを殺そうと画策しました。

ここの君はパーンダヴァの妻「ドラウパディー」でしょう。

彼女は物語でカウラヴァの手に落ち、辱めを受けます。

同時にパーンダヴァは、全財産もカウラヴァに巻き上げられています。

「カウラヴァの手によってドラウパディーが落ちた。

パーンダヴァは悔しさに目を濡らす。

必ず助けに来ると誓い、ドラウパディーのことを偲びます。」

ブリキは戦場でも踊る

中身のない「マハーバラタ」

さあ、皆舞いな、空洞で
サンスクリット求道系
抉り抜いた 鼓動咲かせ咲かせ

出典: ブリキノダンス/作詞:日向電工 作曲:日向電工

「空洞」なのは、彼らがブリキの人形だからです。

またブリキたちが作り上げる物語に、中身が無いことを歌っています。

サンスクリットはヒンドゥー教で使われる、礼拝用の言語です。

つまり、サンスクリット求道系とは「マハーバラタ」のことを表します。

同時にブリキの人形たちにとって、踊ることが求道と同義だと考えられるでしょう。

「さあ、踊れ、今は頭を空っぽにして踊ろうではないか。

どうせ、私たちの物語自体にも中身なんかないのだから

さあ、この物語に花を咲かせようではないか。」

戦いの直前

さあ、剽悍な双眸を
エーカム、そうさ。先頭に
真っ赤に濡れた空、踵鳴らせ

出典: ブリキノダンス/作詞:日向電工 作曲:日向電工

「エーカム」はサンスクリット語で「1」の意味になります。

つまり、パーンダヴァの長男「ユディシュティラ」でしょう。

本来であれば、この人が正統な王位継承権を持っています。

「踵鳴らせ」は人形たちが劇で踊っているのと、戦場に歩いていく様子を重ねています。

「荒々しく強い眼差しを光らせろ。

ユディシュティラを先頭に戦うのだ。

空は血のように赤く染まっている、さあ、戦いに繰り出すぞ。」

自分たちが正当な王位継承者であり、カウラヴァたちこそが反逆者なのです。

本来の地位を取り戻すために、この戦いには絶対に勝たなければなりません。

そのためには、怖気付いていてはいけないでしょう。

長男であるユディシュティラを先頭に、軍全体の士気を上げて戦いに向かっていきます。