独自路線を突き進む「米津玄師」の楽曲
型にはまらない楽曲を次から次へと生み出すミュージシャン・米津玄師。
多才、天才を越え、「鬼才」という表現も大げさではありません。
ロックやポップスといった特定のジャンルに固定されない七色の音楽性。
もはや「米津玄師」というジャンルを確立している印象です。
インディーズ作品がオリコン上位
2013年にシングル「サンタマリア」でメジャーデビューを果たした米津玄師。
それ以前はインディーズ活動を行っていました。
2012年にボカロプロデューサー「ハチ」から「米津玄師」名義に移行し、アルバム「diorama」をリリース。
人気ボカロPが自らの声で歌った楽曲はたちまち話題になりました。
インディーズ盤でありながらオリコン最高6位に到達し、「米津玄師」として華々しいスタートを切ったのです。
「トイパトリオット」をピックアップ!
今回ご紹介する「トイパトリオット」は、インディーズアルバム「diorama」に収録されています。
空想上の街をイメージしたアルバムであり、それぞれの曲は街の中で紡がれる物語。
「トイパトリオット」は8番目のストーリーです。
個性的なバグパイプの音
アルバム「diorama」のクロスフェード動画をご紹介します。
3分54秒付近から「トイパトリオット」の一部が試聴可能です。
サビを歌う米津玄師の声が終わると、独特な音が聞こえてきます。
ケルト音楽に使われるバグパイプのようです。
この音を用いたことに、なにか意味があるのでしょうか。
「トイパトリオット」の物語に潜入!
君のためなら人を殺す「遊び」
「あなたのためにやったことなのに」
助かったと感じることもあれば、いい迷惑だと思うこともあります。
「トイパトリオット」で僕は「君のため」を思って行動し続けます。
愛国者の愛は一方通行
僕は君の友達
君の愛を守るパトリオット
出典: トイパトリオット/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
自分だけが一方的に想いを寄せている人がいる。
相手から見れば、自分はただの友だちか、あるいはそれ以下の可能性もあります。
関係がどうであれ、気になる存在は目で追ってしまうもの。
親しい間柄で常にそばにいる人たちとは別の視点から相手を見続けます。
「離れているからこそ相手の異変に気づく」ということもあるのでしょう。
この曲ではまず「あくまでも友だちです」と関係性を固定しています。
「愛」は幸せの象徴で、君は僕ではない他の誰かにその愛を贈るかもしれません。
それでも僕は、君の愛を守るといいます。
「パトリオット」は『愛国者』を表す英語です。なぜこの言葉を使ったのでしょうか。
愛国者は当然、国を愛しています。国が栄えるように、国が幸せであるように常に考えています。
しかし、国はどうでしょうか?愛国者を愛してくれるでしょうか?答えは「NO」。
つまり、君を一方的に愛する存在を「パトリオット」と表現しているのです。
ちなみに、曲中でバグパイプが使われているのも「愛国心」や自民族への愛を表しているのかもしれません。