馬が走る 黒いアスファルトの上
荒んだ並木 風もなし 香りだす雨の気配
出典: https://ilyricsbuzz.com/2016/09/kenshi-yonezu-amen-lyrics.html
東京はフラスコの中の風景
迷い込んでは泣いていたのは
遠い遠い昔
出典: https://twitter.com/Kenshi_Yonezu_R/status/912884087265804288
『amen』の歌い出しの歌詞は、これから何かが起こりそうな不穏さを予感させます。
ここで注目したいのが、「東京はフラスコの中」から始まるフレーズです。
しかしあえて入れた「東京」という言葉は、徳島から離れて暮らしている東京を、彼なりに表現していると言えます。
目には見えないものを意識
光の澱に 道草を誘う亡霊
九つの門を通り抜けて
あの山の麓へと
出典: https://twitter.com/Kenshi_Yonezu_R/status/914847027179118594
空っぽの花瓶に活ける花を探している
恥ずかしいくらい生き急いでいた
遠い遠い昔
出典: https://twitter.com/Kenshi_Yonezu_R/status/913933505159036928
歌い出しから続くBメロで目につくのは、「亡霊」という言葉。
その手前には「光の澱(おり)」というフレーズがあります。
澱(おり)というのは水の底に沈殿しているカスなどを指し、『amen』では「光の奥底に眠る蓄積した何か=亡霊」を連想させます。
そんな亡霊が花瓶に生ける花を求めて、九つの門を抜けた先の山の麓へ向かいます。
ここでチェックしたいのが花瓶に生ける花の存在。
おそらく亡霊にとって、何らかの救いのような立ち位置にあるのではないでしょうか。
これまでの米津玄師のナンバーで多いのは、幽霊や亡霊といった目に見えない何かを意識した表現です。
『amen』でも亡霊という言葉を取り入れ、米津玄師らしい世界観を感じさせてくれます。
サビ「amen」
お願い ママ パパ
この世に生まれたその意味を
教えて欲しいの わたしに
悲しい思い出はいらないから
ただただ美しい思い出を
祈りの言葉を
出典: https://twitter.com/Johnny_a_a/status/915589234253217792
Bメロから繋がるサビでは、タイトル『amen』を連想させる「祈り」をフレーズに乗せています。
サビのスタートは「お願い ママ パパ」から始まり、まるで自身の存在意義を問うかのような「祈り」を表現しています。
そのあとに続くのは、突然起きた悲しい出来事を否定したい願い。
ここから見えるのは、「衝撃的な物事から生まれる悲しみ」と「切なる祈り」といった印象です。
2番歌い出し
怒りが満ちる 黒い炎を纏って
どうかわたしの この心を
赦してくれやしないか
さもなければ その清い雷を以って
わたしの身を 灰になるまで
焼いてくれないか
出典: https://twitter.com/Kenshi_Yonezu_R/status/915262240315523072
サビの悲しみと祈りから一転、2番歌い出しでは祈っているその人自身をとがめる様子がうかがえます。
ここから読み解くと、サビで連想させる出来事は自身が原因となった可能性が大きいです。
その自責の念が、また違った「祈り」を生み出しています。
注目したいのがサビの最後で囁く「amen」というワンフレーズ。
実は歌詞を見ると、この言葉はあえて載せていません。
米津玄師ならではの演出でもありますが、あえて歌詞に入れないことで「amen」という一言を強調しているのでしょう。
2番Bメロ
音を立てて燃える部屋の中ひとり
歯軋りみたいに火の粉は舞う 酸素を食べて育つ
出典: https://twitter.com/yonedu_hachi/status/913300719872049152
ありがとう
今身をやつす苦渋の全てに
再会を願い 今日はおやすみ
また明日
出典: https://twitter.com/ko_yu_8654/status/902625249195286528
2番歌い出しでの、自身を痛めつけるような表現。
そこからBメロへと流れてきますが、ここでは自身の部屋と思われる空間を燃やしているような表現が目立ちます。
そして最後には己の人生に降りかかった出来事に感謝し、「おやすみ」と綴っています。
ここから見るに、火を用いて自身の存在自体を消し去ってしまった印象を受けます。