タイトルナンバー「Marble」
タイトルの通り、とってもカラフルなPV。
でも、その色はどれも光の色なので、見ていて目に優しいトーン。優しいこの曲によくマッチしています。
SKY-HI自身「とても大切な曲」とコメントしている楽曲で、歌詞の内容は非常にメッセージ性の強いものになっています。
では、いよいよ「Merble」の歌詞の世界に踏み込んでいきましょう。
「Marble」の歌詞
平和への祈りの曲
We got it, black, white, yellow, red and blue
You know there ain’t no need to fight
Listen, we don’t need to choose
出典: Marble/作詞:SKY-HI 作曲:SKY-HI・KM
ここは英語歌詞。和訳すると、こんな内容です。ちょっぴり意訳しています。
「黒、白、黄色、赤、青/わかるだろう、戦う必要なんてない/なあ、選ばなくていいんだ」
この部分とタイトルだけでこの曲のテーマが浮かび上がってくるようです。
「マーブル模様みたく、いろんな色があっていい、争い合うなんてやめよう」
そう、この曲は平和への祈りの歌なんです。
そんな、ぎゅっと濃縮されたメッセージを提示しながらも、whiteとfight、blueとchooseでライミングしたり、すごくおしゃれ。
これ以上ないと思わせる導入です。
どんな色にしようか?
お好きに選びな坊や
混ざるようで混ざらないマーブル模様が綺麗だ
自分と違う色の輝きが羨ましい?
混ざりゃとても綺麗 汚し合うなんて馬鹿馬鹿しい
はみ出したり 間違えたり
繰り返して僕ら触れ合えたみたい
あっちこっち一人ぼっちにならないように
そうさ色んな色で出来た STORY
出典: Marble/作詞:SKY-HI 作曲:SKY-HI・KM
どんな色にするか、いつだって選ぶのは自分です。でも、その時についつい周りを気にしてしまいませんか?
「あの人はこういう意見だから」だとか「こうしたらあの人は喜ぶかな」だとか「本当は違うと思うけど、争いたくないし言えないな」だとか。
でも、SKY-HIは「お好きに選びな坊や」と優しい姿勢。そして続けます。
「混ざるようで混ざらないマーブル模様が綺麗」「混ざりゃとても綺麗」。
マーブル模様って綺麗です。そしてマーブル模様が成り立つには、たくさんの色がぐちゃぐちゃに混ざり合っていないといけません。
でもそれはお互いに色を染め合って一色にするんじゃなくて、違う色同士が柔軟に形を変えながら隣り合っているから綺麗なんですよね。
たくさんの色が混ざれば、行きつく先はいつも黒になってしまいます。
空に太陽を
雨に咲く花を
君に愛をもっと
それはそれは綺麗だった
鳥に舞う自由を
風にステップを
僕に君の今日を
それはそれはとても眩しく見えた
出典: Marble/作詞:SKY-HI 作曲:SKY-HI・KM
空に太陽、雨に花。とても色彩感のあるリリックです。
「君に愛をもっと」の「君」に誰を当てはめるかで、解釈が変わりそうです。
筆者の個人的な感覚では、不特定多数の誰かを指して「君」と呼んでいるような気がします。
一人一人に語り掛けるようでいて、争いをやめてお互いに認め合おう、というメッセージがあるように感じるからです。
そういう意味では「愛」も、恋愛というよりも、お互いに対する思いやりやいたわりの気持ちを指しているのかな?と感じました。
そして「鳥に舞う自由を/風にステップを/僕に君の今日を」と歌詞が続きます。
サビ後半はとても動きのあるリリック。それを踏まえると「僕に君の今日を」は「(君の今日を)教えてよ」というメッセージにも取れます。
そういう関わり合いの中から生まれるお互いを尊重する気持ちが、僕と君、違う色同士をマーブル模様に仕立てるというというメッセージでしょうか。
モノクロの世界を抜けて
ふわりと揺れる気持ちに浮かぶ
無愛想な雲がよろけぶつかる
プライドを寄せ集めたアルバム
かざす“ライト”で足下が暗くなる
誰かが影で見ててくれた事やかけてくれた言葉すらも乾いては零れ落ちた
ほこりまみれなキャンバスのその目の下
続きを描くための絵の具はどこへ置いたっけ
でもこの世界って奴は確かに君を選んだはずだ
同じように選ばれた僕と出会って今があるんだ
目を背けたい過去に色を足して
なぁこの世界はモノクロじゃないぜ
出典: Marble/作詞:SKY-HI 作曲:SKY-HI・KM
比喩的な表現が感じられるパートですね。
「プライドを寄せ集めたアルバム」は、自分の心の拠り所とするもの、という意味にも取れます。
が、「Marble」というアルバム自体、半分はベストアルバム的な位置づけになっていますから、まさに「プライドを寄せ集めたアルバム」ですよね。
かざす「ライト」は、light(光)でしょうか?それともright(権利)?right(右翼的な姿勢)の可能性もありそうです。
確かにlightをかざせば、足元は自分の影ができますね。
でも、「right」は…どちらの意味にしても、振りかざすものではないですよね。
そういったものを振りかざせば、足元が暗く、時として立場が危うくなることもあるでしょう。
もしかすると、誰かの思いやりや期待を裏切ってしまったり、ムダにしてしまうこともあるかもしれません。
そんな風になってしまうと「続きを描くための絵の具」がない、次の一歩を踏み出せなくなってしまっても無理もありません。
「でも」とSKY-HIは続けます。
世界に選ばれた僕と君が出会って今がある、水面に落とされた絵の具の1つ1つがマーブル模様をつくるように、無駄なものはない。
この世界は薄暗い「モノクロじゃないぜ」、モノクロの過去には「色を足して」しまえよ、と言うんです。
辛い経験だからこそ学べることって、実際あると思います。
そうやって「過去に色を足して」、暗い顔はやめて前を向こうよ、というSKY-HIの暖かいメッセージではないでしょうか。
確かに、ここまで読んでみるとこのパートに登場する単語って「雲」「影」「ほこり」、モノクロのものばかり。
いやぁ、本当に上手くできているリリックです。
白と黒の鍵盤 そこに乗る音は虹色
赤と青の血管 バスドラを鳴らす心臓
デッドヒート 急かして来る黄色信号すり抜けて飛び出そうぜヒーロー
夢に賢さを
嘘に理解者を
拳に手のひらを
それはそれはとても輝いていた
出典: Marble/作詞:SKY-HI 作曲:SKY-HI・KM
ピアノは白と黒の鍵盤ですが、そこから奏でられる音色は無限大で、まさに虹色。
モノクロの過去の上にも、虹色の未来が広がっている、という意味でしょうかね。
生きているなら、動脈と静脈、赤と青の血管があって、ドクンドクンと心臓が鳴っていて。歌詞に色が戻ってきます。
続く歌詞がまた深い。
「夢に賢さを/嘘に理解者を/拳(けん)に手のひらを/それはそれはとても輝いていた」
夢見るだけじゃダメ、実現させるならゴールに向けて知恵を絞らないといけない。
嘘はよくない、けれど嘘をついた理由があるはず。単によくないものとして非難するんじゃなくて、裏側に隠れた悩みに寄り添ってあげないと。
拳=暴力で解決するのは本当の解決じゃない、暴力的な解決を止める手のひらが世界には必要だ。
私にはそんなメッセージに感じ取れました。