ただ鳴っているだけで、その場を掌握してしまう音楽
m.c.A.Tという男
むか~し昔。この記事を読んでいるみんながこの世に生まれる遥か前、西暦1990年代のことです。
その頃、街のショッピングセンターでもドラッグストアでも人が集まるあらゆる場所では、有線放送(U-SEN)と呼ばれる音楽配信サービスが利用されていました。
一日中、お店の中でヒット曲がかかっていたのです。
その日、私はとある地方都市のレンタルDVD店にいました。
週末の夕方。お店の中は、DVDを借りて帰ろうとする客で賑わっています。
有線放送では、m.c.A.Tの特集が流れています。「Bomb-a HEAD」、「Super Happy」、「ごきげんだぜっ!」…そうそうたるヒット曲が次々にかかっていました。
その時突然、私は音楽がもつ求心力、場の掌握力というものを知ることになったのです。
音楽の力ってすごいな。m.c.A.Tさんってすごいなぁ…。なぜそう感じたかって?
店内の客ひとり残らず全員の表情が、ある一色に染められていたからです。
それは苦笑いでした。
ふざけてなどいない
m.c.A.Tの曲は良い。すごい言葉使いとすごく大胆不敵なメロディーをものすごく大上段からぶつけてくる、独特すぎるポップ・ミュージック。
あまりにも独創的すぎてフォロワーなど生まれようもない、2018年の今から考えても、唯一無二の存在と思えます。
この音楽はもっと多くの人に届かなければならない。もっと評価されていい。もどかしい…。
私は当時そんな風に考えていました。苦笑いを浮かべながら。
DA PUMP、1997年デビュー
沖縄からやってきた男達
DA PUMP、1997年6月、シングル「Feelin’ Good -It’s Paradise-」でデビュー。
こ、これはm.c.A.Tの曲じゃないか!?
Avexの男性4人組アイドル・グループという触れ込みだけれど、ヴォーカルは艶があって伸びやかで、ハイトーンでも聴かせられる…。
アイドル離れした本格的なヴォーカル、いやアイドル以外でも、ISSA程の歌を聴かせる歌手は当時の日本のシーンでは希な存在だったと思うのです。
(久保田利伸さんや中西圭三さんの向こうを張れる存在だった、といったらホメすぎか?いや、そんな事はない!)
初期のメンバーは以下の4人です(2006年まで)。
・ISSA リーダー。ヴォーカル担当
・SHINOBU ダンス、ラップ、コーラス担当
・YUKINARI ダンス、ラップ、コーラス担当
・KEN ラップ(メイン)、ダンス、コーラス担当。振り付け師。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/DA_PUMP

初々しいなあ。この4人編成時こそ黄金期だね。
何といっても曲がいい
歌がいい、ルックスもいい、ダンスもかっこ良けりゃ、バラエティ番組でのトークも面白い。
あと、何といっても曲がいい!
初期には音楽面をm.c.A.Tさんが全面的にサポート(4thアルバム期までほぼ全曲の作詞/作曲、プロデュースを担当)。
グループの初期シングルはm.c.A.Tさんがすでにリリースしていた曲のリメイクも多く、つまりm.c.A.Tバージョンとの聴き比べも楽しめたのですが…。
m.c.A.Tさんバージョンでは思わず吹き出してしまう歌詞も(失礼!…ってここで初めて謝るんかい)、メンバーの勢い、若さとキャラクターにぴたりとハマっていました。
そんなこんなで、誰が見たってグループのポテンシャルは一目瞭然。あっという間にスターとなっていきました。
ごきげんだぜっ!の歌詞を紹介
こんな歌詞他では聴いたことがない
どきゅーん ずきゅーん胸撃つ まなざしはかなり
挑発的な奴だ
目立つんだParty ごきげんっ!
まぶいまるい胸には たくらみがかなり
あふれてるよな奴だ
DangerなLady ごきげんだぜっ!
出典: ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~/作詞:m.c.A.T 作曲:富樫明生

月日が経つごとにダンスの精度も増している!でもヒップホップ風の服じゃなくて、あくまでもスーツ着用なんだよな。