八丈島からやって来た超大型新人「MONO NO AWARE」って?
MONO NO AWARE(モノノアワレ)は現代に蘇ったはっぴぃえんど?
近年Tempalay、D.A.N.といった新世代のロックバンドが次々現れています。
中でも群を抜いて個性的なバンドがMONO NO AWAREです。
”もののあはれ”という極めて日本的な情緒・無常観をバンド名に冠するセンス。
楽曲の持つ確かなクオリティと行間を活かした唯一無二の詞の世界。
MONO NO AWAREを知ってもらいたい!
彼らの存在を例える語彙を私ははっぴぃえんどの登場くらいしか知りません。
はっぴぃえんどは60年代から70年代にかけ僅か3年という活動期間に日本の音楽シーンを塗り替えてしまいました。
それに比してMONO NO AWAREの知名度の低さはあまりに勿体ない!
ということで今回はMONO NO AWAREにフォーカスを当ててみたいと思います。
題材として取り上げるのは「轟々雷音(ごうごうらいおん)」という楽曲。
中国語にしか聴こえない歌詞の独創性、普遍的なポップセンス。
なぜ「轟々雷音」はこのような世界観になったのでしょう?
まずは収録アルバムから見ていきましょう。
傑作アルバム「AHA」に収録
MONO NO AWAREは2018年8月に現時点での最新アルバム「AHA」をリリース。
アルバムタイトルからすでに言葉選びのセンスが光っています。
AHA=アハッ!とは脳科学者の茂木健一郎氏が国内に広めた言葉です。
人間が何か大切なことに気付いた時の活性化した脳の状態を”アハ!体験”と呼びます。
ここで重なるのがUSインディーロックのカリスマJim O'Rourkeの1999年作「Eureka」。
90年代、世界中のインディーシーンに衝撃を与えた歴史的名盤です。
Eureka=ユリイカも同じくひらめきを指す言葉。
MONO NO AWAREの年代を考えると偶然の一致としか思えませんが彼らの才能の一端が垣間見えます。
そして「AHA」は「Eureka」と匹敵するほどの傑作にして日本人にしか作りえぬ作品なのです。
「轟々雷音」は傑作アルバム「AHA」の5曲目に収録されています。
名曲「東京」を収録
みんながみんな 幸せになる方法などない
無理くり手をつないでも 足並みなどそろわない
でもみんながみんな 悲しみに暮れる必要はない
無理くりしぼり出したら それはもう涙じゃない
出典: 東京/作詞:玉置周啓 作曲:玉置周啓
「AHA」のリードトラックとして発表された「東京」。
サウンドの軸となる玉置周啓(Vo,Gt)と加藤成順(Gt)は八丈島の出身です。
彼らは紛れもない東京育ちでありながらその心象風景は古びた島の光景。
近年では曽我部恵一、くるり、きのこ帝国、峯田和伸など多くのシンガーが歌った「東京」。
どの曲とも似ていない、優しい声で歌われる「東京」の街は現代とは思えないほど情緒に溢れています。
八丈島と都会の光景、坂口安吾からの引用などで構成された曖昧な歌詞。
徐々に盛り上がっていくエモーショナルなアレンジ。
「AHA」に収録されている楽曲はすべてが感情の隙間を付くような侘び寂びを感じる物ばかりです。
そして今回紹介する「轟々雷音」こそがアハ!体験をもたらしてくれる傑作!
歌詞を徹底解明することで見えてくる彼らのメッセージとは果たして?
「轟々雷音」の歌詞の意味に迫る!
香港で撮影されたMV
まずは「轟々雷音」を実際に聴いてみましょう。
こちらはYouTubeで公開されている全編台湾ロケの「轟々雷音」のMVです。
スクーターで田舎道を走る4人。
観光をするメンバー。地元民とカラオケに興じる玉置周啓...?
時折カットインされる演奏シーンから彼らの音楽性は感じられたと思います。
しかし「これが中国で今一番イケてるバンドだよ」といわれたら信じてしまいそうなMVです。
ここからは「轟々雷音」の歌詞を徹底的に解剖してみようと思います。
「轟々雷音」は何語なのか?
凱旋門下鬼遊可
且雷門下鬼遊可
私願世界中旅行
私願嗅初嗅良香
出典: 轟々雷音/作詞:玉置周啓 作曲:玉置周啓