太陽は出ていても

低く晴れた空 ちぎれた雲ふたつ
「まるで明日からの 二人ね」とつぶやく

出典: 今夜だけきっと/作詞:根本要・手島昭 作曲:根本要

晴れてはいるけれど高くはない『低い』空が表すものは何でしょう?

普通なら低く垂れこめた灰色の雲…などと使われます。

低くても太陽が見えている空の下では、輝く恋が見えてきません。

空は晴れていても空を見ている2人の心の中は曇りがち。

空を自由に移動する雲さえも2人の恋の行方を示しているなんて台詞まで出てきました。

空を見ながら切り出された別れの言葉が他人事のようにしか聞こえません。

並んで座る君の顔を思い出そうとするけれど、出てくるのは涙の向こうでぼやけた表情だけです。

君はこちらを向いていません

海に向けた目は ふいに軽いめまい
あいそわらいの君 この胸つき落とす

出典: 今夜だけきっと/作詞:根本要・手島昭 作曲:根本要

今日のデートいつものように楽しい1日になると思っていました。

季節は少し外れていても2人で来る海は、新しい思い出を作るはずです。

でも海を眺めながら耳にした言葉は予想もしないものでした。

前触れもなく不意打ちで聞こえた別れの言葉が、頭の中でグルグルと回っています。

言葉を口にした君は海を向いたままです。

白い波が打ち寄せるいつもと変わらない青い海を君が眺めています。

嘘ではない自分の思いに忠実になったから出た別れの言葉。もうすでにこの日を決めていた君の横顔。

その表情を笑顔と判断したのは、もちろん別れなんて嘘だから…。

いつもと違う笑顔と分かってはいたけれど、笑っていると信じたいのです。

仕方なく笑っている君に向かって、ダメ出しのように問いかけをしました。

別れなんて…なんちゃってだよね

もう終わりなんて口にしたこともあったけれど、それは2人が分かり合ってるから。

別れようと言いながら、その後に何を食べようか?などといつも言っていた君。

だから今日だっていつもと変わらない君のはず…。

あの日のように…いつものように…

ねえそっと ほんのジョークと
耳もとで ささやいてよ

出典: 今夜だけきっと/作詞:根本要・手島昭 作曲:根本要

別れるなんて言葉を言ったことがあったけれど、それはふざけて口にしてみただけ。

子供の様にはしゃぎながら『冗談』と言えばそれでおしまい。

ケンカだってしたけれど、それだっていつも最後は笑っていました

だから今日も次に出てくる言葉はいつもと同じはずです。

そしてそれは優しく自分だけに聞こえるように言ってくれるはず…。

近すぎた2人の心の距離が気が付かないうちに、どんどんと広がっています。

いつもと同じ『冗談』と思うのは自分だけです。

あの日と同じように仲直りをして、次に会う約束をすることはもう無いのでしょうか?

崩れていく…2人で積み上げた時間が

2人で過ごす時間が長ければ長いほど別れは辛い体験になりがち。

日常生活の一部にもなっていた2人の時間が崩れていきます。

途切れた会話と沈黙が

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いつもなら君のひとみ 話好きで
ほおづえつくよな タイプじゃないくせに

出典: 今夜だけきっと/作詞:根本要・手島昭 作曲:根本要

話をしていると気になるのは話の内容では無く『ひとみ』。

2人はいつも無意識のうちに目と目を合わせて会話をしていました。

小さな幸せも大きな失敗も必ず報告をする君。目を輝かせながら話す君の姿は今も忘れられません。

他人の幸せも素直に喜ぶ君のおかげでいつも幸せを分け合うことができました。

でも今日は続かない会話と黙っている君が横にいます。

疲れた様子にも見えるすねた横顔と閉じたままの唇。

言いたいことが言えずに耐えている表情に打ちのめされました。

とんがった唇からの甘噛みで、会話を弾ませたあの日はもう遠い過去。

途切れたままの会話は2人の距離をまた広げてしまいます。