楽曲を考察

ダークなイメージを引き立てる可憐なヴォーカル

楽曲は悲しげなストリングスの響きから幕を開けます。

クラシック楽器の醸し出す音色って、やっぱりどこか古めかしさがありますよね。

その古めかしさがサウンドの悲壮感をまた際立てています。

後を追って入ってくるのは無機質な打ち込みのビート。

ここまでなんともダークなイメージですが、それを更に引き立てるのは可憐な少女を思わせるmomocashewのヴォーカルです。

暗い雰囲気の中に可愛らしい要素が入ってさらにそれが強調される。

黒の中に白が少し入るとその存在感が増すのと同じですね。

緩急の効いた曲構成

次の瞬間、心拍数が上がったかのように脈打ち始めるビートに楽曲は急展開。

手に汗握るような焦燥感を覚えます。

そしてそれに続くのは子守唄のような優しいパート。

緩急の効いた曲構成が、聴く人を混沌の中へと誘います。

まさに一筋縄ではいかない、複雑な心理を表したような楽曲となっていますよ。

MVを紹介

それではいよいよMVをご覧いただきましょう!

映像の内容も興味をそそられるもの。

一人の男が偏った食生活から身体に奇妙な変化をきたしていく様子が描かれています。

映像と音楽がシンクロし、禍々しい世界を芸術的に表現していますよ!

登場人物を想って書いた歌詞の内容は

「Rightfully」はカナダ人のヴォーカル、momocashewによる全編英詞で描かれています。

その内容もやはり「ゴブリンスレイヤー」に関するもの。

主人公や登場するゴブリンたちの心情に想いを寄せながら作詞したとのことです。

MVでも和訳が字幕で表示されていましたね。

ここではその内容を独自に解釈していきましょう!

縛るものは幼い頃の心の傷

Chained onto me 
My adolescent dreams
Pulling , dragged me deep
All my body exposed
Marked up by your shadows

鎖で身を結ばれた幼い夢
深くまで僕を引っ張って行く
体をさらけ出し影に刻まれた痕

出典: Rightfully/作詞:momocashew 作曲:Yamato Kasai、momocashew

ここで表現されているのは、主人公が幼い頃に負った心の傷でしょう。

深く刻まれたその痛みはまるで鎖で繋がれているかのように、主人公をゴブリン討伐へ向かわせます。

物語の中にある、主人公は戦闘中じゃなくても兜や鎧を脱がないという描写を思わせる表現も。

その素顔はきっと深く傷ついているのでしょうね。

Tighten up
Numb your senses
No fairness is needed for pigs
Laughters above
Playful smiles
Die gets rolled

引き締め感覚を麻痺させろ
豚なんかに公平性など必要ない
空からの笑い声
陽気な笑顔でダイスを転がす

出典: Rightfully/作詞:momocashew 作曲:Yamato Kasai、momocashew

ゴブリンだけを討伐する日々は決して楽なものではないのでしょう。

余計なことは考えるなと自分に言い聞かせる主人公の姿が浮かびます。

ここで言う「豚」はゴブリンのことでしょう。

あんな奴らに慈悲など掛けるものかという主人公の心情が描かれます。

聞こえた笑い声もゴブリンのもの。

嘲笑うように人を手玉に取る様子が、ダイスを転がして遊ぶ姿に例えられているのでしょう。

Bathe in sorrow
My tomorrow is built upon your flesh
Slay the last of your kind
To reclaim what's rightfully mine

悲しみに浸され
肉の上に構築される僕の明日
残らずに刎ね落とす
僕が所持すべきものを取り返すため

出典: Rightfully/作詞:momocashew 作曲:Yamato Kasai、momocashew

この部分からは、ゴブリンを狩ることだけが主人公の希望になっていることが垣間見えます。

「所持すべきものを取り戻す」という表現は「家族や故郷を返せ」という彼の気持ちを表しているのでしょう。

救いのない復讐劇に、胸が締め付けられる想いがしますね。