何よりもきらめくもの

運転席の窓の外に広がる、海の青と空の青

キラキラとした太陽の光が差し込んで、景色は一層美しく見えます。

「なあ、きれいだな」

助手席に座る親友の一人に、そう話しかけよう。

そう思って、右側(アメリカの車ですから、助手席はそちらになるでしょう)を向いてみると。

彼もまた西側に広がる景色を眺め、美しさに感動していました。

「ああ、すごいな!」

西側の窓から差し込む光を反射して、応える彼の目がきらめきます。

その瞬間、太陽の光を映した親友の瞳

それが、歌い手である運転席の彼にとって、とても美しいものに感じられたのです。

ともに心を動かせば

分かち合うこと、わかり合うこと

きれいなものを見た時、楽しい経験をした時、美味しいものを食べた時。

そんな「素敵だと思える経験」をした時。

この感動を誰かと分かち合いたい、そう思うことはありませんか。

もちろん、一人でその感動を噛みしめたいという人もいるでしょう。

しかしこの曲の主人公は、「favorite allies」、直訳すると「大好きな盟友」と旅をしています。

盟友や親友とは、つまり気が合う存在。

気持ちのリズムが重なるような存在ともいえるでしょう。

だとすれば、同じものを見た時、ぴったりとまではいかなくとも、同じように心が動くのではないでしょうか。

分かち合えば、一層

その心のリズムが少しでも重なった実感を得た時。

人はよりその感動を増幅させるものです。

「きれいだね」「楽しいね」「おいしいね」といった心の動きを共有できるということ。

それはその元となる経験によって引き起こされた感動をより一層引き立てるのではないでしょうか。

美しい太陽の光を映し、感動にもきらめいた親友の瞳。

歌い手はそこに、自分たちの気持ちの重なりを感じたのかもしれません。

だからこそ、より美しい光景として胸に焼き付いたのでしょう。

さまよう彼らの向かう先

日暮れの道を行く

さて、太陽の光が西側から差し込んできたということ。

それは夜が近づいているということでもあります。

彼らは一旦、その日の滞在場所を決めました。

In Big Sur we take some time to linger on
We three hunky dory’s got our snakefinger on

Now let us drink the stars
It’s time to steal away

Let’s go get lost
Right here in the U.S.A

出典: Road trippin’/作詞:Anthony Kiedis,Flea,John Frusciante,Chad smith 作曲:Anthony Kiedis,Flea,John Frusciante,Chad smith

「Big sur」は、アメリカ西海岸にある名勝です。

海と木々が共存していて雄大な自然が体感できる、観光地としても有名な場所です。

ビッグ・サーでしばらくダラダラしてよう
サイコーの俺たち3人と、我らがスネークフィンガーも添えて

星空を飲み込んでしまえ
こっそりと出て行くんだ

さまよっていこう
アメリカの、ここから

出典: Road trippin’/作詞:Anthony Kiedis,Flea,John Frusciante,Chad smith 作曲:Anthony Kiedis,Flea,John Frusciante,Chad smith

音楽とともに行く旅

Red Hot Chili Peppers【Road Trippin'】歌詞を和訳して意味解説!の画像

「スネークフィンガー」とは、フィリップ・チャールズ・リスマンのステージネーム。

彼はイギリスのミュージシャンです。

そして「Chilli Willi and the Red Hot Peppers」というバンドで活動していました。

どこかで聞いたような…そう、Red Hot Chili Peppersと似ていますね。

バンド名を時々混同されることがあったために、皮肉として歌詞に入れたとも言われています。

ともかく、共通の趣味である音楽を流しながら行く車の旅。

それはより一層楽しいものになることには違いないでしょう。

あてもなく、赴くままに

大自然の中では、空に浮かぶ星もきっと幾千も見えるはず。

そんな美しい光景も「飲み込む」、つまり思い出として心にしまい込み、彼らは旅を続けます。

アメリカの「ここ」から、アメリカの「どこか」へ。

行くあてのないような旅、目的を持たない旅は、人によっては心を苛むものです。

しかし彼らに悲壮な感じは見当たりません。

そればかりか、自然の生み出す景色、そして仲間と共有する思い。

些細にも見える一つ一つの物事に心を震わせている。

そんな心の赴くままに旅をするような生き方は、ある意味ではとても自然なものなのかもしれません。