『SAW』
発売後即完売した限定シングル!
90年代、日本が誇るエモーショナルシーンを牽引していた“紅麗死異剛市(クレイジータケシ)”。
彼が本名の上田剛士に改め2008年からスタートしたソロプロジェクトがAA=(aaequal)です。
活動10周年の節目にオンライン限定で販売され即完売したのが幻の名曲『SAW』。
作品を手にすることのできなかった多くのファンの要望を受け晴れてサブスク配信が解禁されました。
そして2019年2月には壮大な世界観を表現したMVが公開されたのです。
今回はAA=の『SAW』の歌詞に込められた終わらない闘争への決意を紐解いていこうと思います。
幻想的なMV
孤独に負けず戦う少女、豚の面...
『SAW』のMVにはAA=の、上田剛士のこれまでの闘争の記録が収められています。
孤独に負けず世界の果てで、そして都会の喧騒で怒りを叫ぶ少女。
彼女が手にしたPIG FACE(豚の面)はAA=が常に社会の家畜の象徴として使用してきたものです。
中盤に登場するのは準メンバーとして欠かせない存在であるBACK DROP BOMBの白川貴善。
そしてAA=の圧巻のライブを追体験できる映像も随所に挿入されます。
これはおそらく『SAW』を初披露したアニバーサリーライブ「THE OIO DAY」のものでしょう。
極限までエッジを利かせたサウンドとメランコリックなメロディが魅力の『SAW』。
僕たちは狂っていたの?
つらく、悲しい闘争
「狂っていた」って言ったね、まるでDEEP SAW
悲しかったんだ、無理さ、
まるでGreed... 、Destroy、黒い、Cry
出典: SAW/作詞:TAKESHI UEDA,TAKAYOSHI SHIRAKAWA 作曲:TAKESHI UEDA
『SAW』、つまりノコギリと題された楽曲。
そこには上田剛士の、人類の共通の闘争の歴史が刻まれているのです。
かつてジョージ・オーウェルが「管理社会」への警鐘を鳴らした腐敗した近未来像。
21世紀を迎えた今、それは現実のものとなり私たちの生活に忍び込んできました。
欺瞞に満ちた新自由主義経済、偽りの平和を享受する民衆。
そして搾取するものとされるものが曖昧になった社会、これは上田剛士の永遠のテーマなのでしょう。
レジスタンスのように音楽で闘争を続けてきた自らを鋭利な刃物=ノコギリに例えているのです。
しかし正気を失った民衆からは狂人と罵られる日々が続きます。
そんな戦いの日々にいいようのない徒労感を感じているのでしょう。
強欲な集団、破壊活動従事者と罵られ黒い涙を流す日々。
それでも闘争の歩みを止めることのないAA=をどのような結末が待ち受けているのでしょう?
狂気の果て
「狂っていたい」って言ったね、まるでシーソー
苦しかったんだ、無理さ、
まるでGreed... 、Destroy、黒い、暗い
出典: SAW/作詞:TAKESHI UEDA,TAKAYOSHI SHIRAKAWA 作曲:TAKESHI UEDA
それでも世界への怒りを抑えられない...。
だから狂人のフリをして、どす黒い狂気の沼にのめり込んでいったのです。
「ぶち壊せ!ぶち壊せ!全部破壊してしまえ!」
いつしか目的も忘れレジスタンスとしての一線を踏み越えそうになってしまいます...。