「NEVER EVER ENDER」と未来
2018年12月12日発表、RADWIMPSの通算9作目のアルバム「ANTI ANTI GENERATION」。
このアルバムに収録された楽曲「NEVER EVER ENDER」をご紹介しましょう。
壮大な世界観を表現した雄大かつ繊細なサウンドが魅力的な楽曲です。
歌詞には大きな夢を胸に抱いた青年のモノローグが綴られています。
やさしい言葉で語られていますが、サビの歌詞は英文です。
必要な箇所は和訳して補足しながら解説いたしましょう。
生きることの意義に迫った歌詞を紐解きます。
大切なことは何か、野田洋次郎の提案を検証しましょう。
それでは実際の歌詞をご覧ください。
僕の覚醒めの日
人生は航海だから
昨日までの世界は脱ぎ捨てて いざ僕は大海へ旅に出る
こんなチッポケな 頭で描いた未来図や、荷物を
捨ててカバン一つで駆け出した
出典: NEVER EVER ENDER/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
歌い出しの歌詞になります。
登場人物は語り手の僕と愛する君です。
その他、この世界というものが背景にきちんとあります。
ときには宇宙的な規模にまで話が膨らんだりするのです。
世界の中でどうやって生きていくかを考え抜いた語り手の言葉に寄り添っていきましょう。
語り手の僕は今日からの生き方について語り始めます。
海というのはもちろん比喩です。
人生を旅や航海と結びつけて思いを打ち明けてくれます。
世界の大きさに合わせたい
これまでの自分自身を見直すのがこの歌詞の出発点です。
私たちは昨日の延長線上で生きることを模索しています。
しかし僕は昨日までの自分とはさよならすることを決めました。
自分のサイズの小ささというものと、この世界の広大さを比較するのです。
そして世界の大きさや広さというものに自分をアジャストしようと試みます。
所有しているものは最小限にとどめておいて、広い世界と対峙することを選択するのです。
かねてより持つこととあることとは違うという思想があります。
持つものが少ないほど、その人がある割合は大きくなるという弁証法的な考え方です。
野田洋次郎もこうした考え方を支持します。
持ち物は少なくするけれども、その分だけ自分の存在感を増して世界へと羽ばたくのです。
僕は本音を隠しながら
少し斜に構えたスタンス
夢を語るのがいつも苦手で 冷めた目でヨソの話聞いてて
「そんなもんかい?そんなぁもんじゃないぜ、俺のは」
心の中だけいつも吠えてて
出典: NEVER EVER ENDER/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
僕のクールなスタンスが浮き彫りにされます。
とはいっても僕のうちにだって熱い気持ちや大志があるのです。
しかし僕は夢について熱く語るということがどうしても恥ずかしくてできません。
世間に対して斜に構えたスタンスをとっているために、正直に夢を語ることを嫌ったのです。
他人の夢の話を聞きながら思うことは自分の思いの方がダイナミックであるという自覚になります。
しかしそのことを口に出して相手に挑むような真似は一切しません。
夢は戦わすものではないのでしょう。
僕にだって夢はある
僕の気持ちというものにある熱さは誰にも知られることなく存在します。
あの熱さに促されて僕も行動に出たいといつか思うようになりました。
僕が貫こうとしたクールさというものはあくまでも表層的なものに過ぎません。
一皮剥いだら僕だって夢を抱く青年のひとりなのです。
この社会では確かに夢を熱く語ることをかっこ悪いと思う風潮があります。
そこには大きな夢を抱いても叶わないままに終わることへの恐怖心が介在するのです。
僕もこの恐怖心に煽られるような形で夢については口にしませんでした。
しかしそうして自分のサイズを小さくしていることに気付きます。
その気付きの先にあるのが歌い出しに見られた世界への航海に臨む気持ちです。
僕は小さくまとまろうとする自分自身にいつしか反発するようになりました。