「ぜろ」が持つ「意味」とは?

アルバム「零号」に収録

ピノキオピー【ぜろ】歌詞を解説!「ぜろになる」に込められた意味とは?「数字の服」を脱いでしまおう!の画像

ピノキオピーが2019年2月27日に発売したアルバム「零号」。

その終盤に収録されている楽曲「ぜろ」は、このアルバムが制作された「意味」を示しています。

「零号」発売までの約2年間、ピノキオピーは人間の「意味」を追求し、楽曲を生み出し続けました。

「零号」に収録されている楽曲の数々では、人間の泥臭い側面や不条理が歌われているのです。

これらの楽曲を締めくくる役割を担っているのが、今回ご紹介する「ぜろ」。

深く思考を巡らせた結果、ピノキオピーはどのような結論を導き出したのでしょうか?

宇宙を連想させる演出

しがらみからの解放

「ぜろ」のMVでは、ロケットに乗って宇宙へと旅立つ様子が描写されています。

また、ピコピコとしたサウンドはUFOや宇宙空間を連想させるのではないでしょうか。

皆さんは「宇宙」にどんなイメージを持っていますか?

この楽曲での「宇宙」は全てのしがらみから解き放たれることを示しています。

様々な悩みも、宇宙規模で考えてしまえば全てがかけがえのないものに変わるはず。

ただ、それが簡単にできないから人は彷徨うのだと思います。

実際に困難に直面している人にとって「綺麗ごと」にすら感じるかもしれません。

壮大なテーマ

MVに登場する人物からはとある「意味」が読み取れます。

ロケットに乗って大気圏を突破するように、しがらみの壁を突破する…。

そして、重力から解き放たれるように、全ての重荷から解き放たれて素直な思考で生きる…。

そんな壮大なテーマが「ぜろ」では歌われているのです。

続いて、歌詞からもこの楽曲に込められた「意味」を読み解いていきましょう。

疲れ切った心

孤独に生きている

10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0
ねえ まだ起きてる?
今日も眠れないや
生きづらくてさまよう
幽霊船みたいだ
はじまりは純粋で
浅はかな希望 弾に込めて
自信過剰で 時に過小な的外れ

出典: ぜろ/作詞:ピノキオピー 作曲:ピノキオピー

ロケットを発射するかのような数字のカウントから、楽曲は始まります。

そしてこの楽曲の主人公は、人生という航海において迷子になっているようです。

自分のことを「幽霊船」に例えています。

怪奇現象のひとつとして知られる「幽霊船」は人々に恐れられ、孤独に海の上を彷徨っている…。

主人公は荒んでしまった心を抱え、孤独に耐えながら必死に生きているのかもしれません。

演じてきたのは

足したり 引いたり
掛けたり 割ったりしながら
生きてきました
身の丈以上の自分のハリボテ作って
よくできました
溜め息吐き出して
そう 見上げた 白い月のように

出典: ぜろ/作詞:ピノキオピー 作曲:ピノキオピー

タイトル「ぜろ」に繋がる表現がなされていますね。

様々な計算をしながら生きている…。

どう生きたらいいのか分からず、試行錯誤している光景が想像できます。

この主人公は、環境に順応するために「自分のキャラクター」を変えてきたのではないでしょうか?

いわば「役割」を演じて生きてきたともいえます。

だから「ハリボテ」という言葉が出てくるのです。

周囲に認めてもらうために偽りの自分を演じ、その「役割」を褒められる…。

でも、「役割」を認められたところで、本当の自分はずっと押し殺されて苦しいはず。

いつまでたっても満たされない虚無感に気づき始めているようです。

「ぜろになる」ことで生まれるのは