King Gnuの2ndアルバム「Sympa」収録曲「Bedtown」に注目

■Sympa
King Gnuの2枚目のフル・アルバム。2019年1月16日にAriola Japanから発売された。
■Bedtown
以前からライブで「Catch!!!」という曲名で披露されており、何度もやってきたリズムがかなりファンキーな楽曲で、アルバムに合わせて思い切ってテンポを変えている。アレンジはブレイクビーツをイメージしている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Sympa_(King_Gnuのアルバム)
ドラマ主題歌「白日」や3rdアルバム「CEREMONY」でKing Gnu(キングヌー)を知った方も多いでしょう。
そこからリアルタイムで応援しつつ、2ndアルバム「Sympa」や1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」を遡る。
こうして「ヌーの群れ」に合流し、シンパ(共鳴者)が増えていきます。
もちろんKing Gnuのファンになるタイミングは人それぞれですが、これこそバンドコンセプトそのもの。
ただ、1stアルバムやそのリード曲のテーマは東京です。
前身バンドSrv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)時代には「トーキョー・カオティック」というアルバムもリリース。
バンド名だったこともあります。
東京以外に住む方にとっては、ヌーの群れに入りきれない疎外感を覚えても無理はありません。
いやいや、King Gnuのメンバー4人が東京で集結しただけ。
街の雑多な風景に音楽性を重ね、東京という混沌とした街ならではの音楽を発信したいという意味です。
常田大希:長野県伊那市出身。
勢喜遊:徳島県阿南市出身。
新井和輝:東京都福生市出身。
井口理:長野県伊那市出身。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/King_Gnu
むしろメンバー4人とも郊外出身と言えるかもしれません。
だからこそ大都会に生きる寂しさや、郊外に求める何かがあるのでは?
というのが「Bedtown」。
MVが制作されていないという意味では、2ndアルバム「Sympa」の中で地味な存在かもしれません。
ただ、アップテンポなナンバーに仕上がるまでの過程をライブで楽しんだ。
そんな古参ファンの方もいるはず。
「東京と郊外」という具体的な場所の対比だけでなく、群れに属するか、離れるか。
こうしたテーマも見え隠れします。
この辺りを踏まえつつ、常田大希さんが作詞した歌詞を見ていきましょう。
1番の歌詞をチェック
主人公はどこにいる?
永遠の雨の中から飛び立つんだ
俺たちには雲の向こうの
日差しが見えてる
出典: Bedtown/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
重要なのは、主人公がいる場所です。
常にどしゃ降り状態の「大都会」にいて、晴れた「郊外」を眺めている。
まずはそう解釈することができます。
ただ、郊外に住む主人公が大都会に憧れるという逆の話も成立しそうです。
常田大希さんは長野出身、東京在住なので、どちらも当てはまります。
二重の意味があるのか、それともどちらか一方なのか、続きを見ましょう。
暗い話にはしたくない
昔なりたかった自分には
多分なれやしないだろう
けど湿った話は嫌いだよ
身も蓋もないよな
出典: Bedtown/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
今の自分は、過去の理想どおり。
そんな順風満帆な人生を歩むことは、なかなか難しいものです。
かつて思い描いた人物像と比較して、今の自分は何をやっているのだろう。
泣きたい気分になりました。
ただ、どしゃ降り状態のまま解決策が見当たらないと悲しみに沈んでも、ネガティブな話は好きではない。
この主張ははっきりしています。
泣きたくなっても暗い話はNG!
そう言い切ると話が続きません。
表現が露骨すぎて味わいや含蓄、相手に対する配慮がないという意味です。
こうなると主人公がいるのは大都会、かつて暮らした郊外を思い出した。
そういう流れが自然なようです。
郊外にいるときは晴れやかな理想を抱いていたものの、大都会ではなかなか叶わず、泣きっぱなし。
それでも暗い話にはしたくないので我ながら仕方がないとあきれています。
大都会に生きる寂しさ
主人公は暗い話に無関心
知るかよ
どいつもこいつも勝手にしやがれ
ただ命を揺らして 君と二人で
吹き抜けた未来も
閉ざされた未来も
鏡に映る自分自身だ
身も蓋もないよな
出典: Bedtown/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
それでも大都会は常にどしゃ降り。
これは主人公自身の心情ですが、同時に表しているのが、大都会に生きる人々全体の心情です。
主人公からすると、大都会の人々は誰もが泣いているように感じられます。
実際、ネガティブな心情を吐露し、暗い話ばかりしているということ。
これが大都会に生きる人々の寂しさになるでしょう。
しかし主人公は暗い話が苦手です。
むしろ関心がないので、お好きにどうぞといった流れになっています。