2020年注目のリリース「Symbol」
「Symbol」はコンスタントにアルバムやシングル曲を発表し続ける宮川大聖渾身のミニアルバムです。
このアルバム収録曲「ラストアンビエント」はドラマ「Life 線上の僕ら」の主題歌にもなっています。
1996年生まれの宮川大聖はまだまだフレッシュな若手アーティストですね。
離島に生まれ故郷を離れ真摯に生きようとした日々がこの楽曲と呼応していくのでしょうか。
この楽曲は彼の生き方の根底にある強靭さが独自の世界観を彩っているようです。
そのような彼の心の中を深読みしていきたいと思います。
PV「ラストアンビエント」
この曲はしっとりと歌いあげられたミステリアスな曲ですね。
ミニアルバム「Symbol」のその他の曲も魅力的なラインアップです。
その中では「ミスターグリッチ」のような時代感覚溢れるアップテンポな曲もあります。
歌詞考察
饒舌な場所
欠けた月の下で 彷徨う霧の群れ
ただ ただ この迷路のような 夜が明けてく
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
満月とは違う完成されていない状態は自分が未熟であることや夢を達成できてないことの表れでしょう。
明け方の「もや」は深い闇の夜でなくともまだ手探りの状態で先のよく見えない恐怖感があります。
一本道にいても前が見えなくなり、自分の居場所がどこなのかわからないような心情でしょうか。
ですが同じ場所に留まることは危険ですし前に進まなくてはいけません。
前が見えないという状態は限界点もわかりませんし多くの敵に囲まれているような不安な状態です。
視界は途切れ右も左も前も後ろもわからないような錯覚におちいるのかもしれません。
静かに騒ぐ この景色を まぶたに映す 記憶から
ただ ただ その呼吸の意味を 知りたいだけ ねえ
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
彼が今自分の存在を確かめられるこの場所には彼の生きてきたすべてがあります。
そこは過去の時間をすべて刻んだ風景だけでなく、家族の絆や友情など目に見えないものすべてです。
終わりかけた10代の多感な心は何度も自分の存在について問いかけていたのでしょう。
今まで自分に注がれた暖かい言葉も眼差しも笑いあった思い出もみな幻のように消えてしまうかもしれません。
大人になるためにはこれからも生きていく「意味」を見つけなくてはいけません。
羽ばたく鳥のように
徒然と流れてく 毎日を消化するように
何度も逃げ出したくはなってた
混沌としてる様が嫌いで こじ開けたこの頭の中
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
ぼんやりと過ごした日々や美しい風景も今となっては自分に味方してくれているとは思えないのかもしれません。
何かに追い立てられるように前に進もうとする意欲がみられます。
これはひとりの人間としての成長ではないでしょうか。
周りから干渉されたくないといった思春期特有の自我も見受けられます。
そして自分の生きる意味や使命のようなものを感じはじめている時期だと思います。
そのような時周りに流されたくないという強い意志もみられますね。
自分だけの、自分にしかできない何かを探そうとしているのでしょう。
後戻りできない喪失感
孤高の空 ただ 静かな青に 息を奪われてしまった
何処にも往けない 星を辿る
激しく打ち付ける兩 還る場所なら
今も昔も変わる事ない
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
壮大な宇宙を感じる時自分が無になっていく瞬間が意識の中を横切ります。
目の前に広がる世界を見つめ小さな自分を再認識しているのかもしれません。
大自然の力に引き寄せられるように戻ってしまえば楽になれることはわかっています。
敢えて拒否しようとしている心の動揺がありますが、そこはもう後戻り出来ない場所なのです。