若さとは残酷なもの
唯一の願い
堕ちてく脱走者のよう 三つ数え息を隠した一人
感じ取れるものは何 想像出来ないような光
音に混ざる 最後の日
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
罪悪感が彼を後ろから引きずるように追いかけてきますがその身を隠してまでも抗います。
欲望のままに突き進むことで手に入れたい何かがあるのでしょう。
彼にとって思い描く先の景色は眩いばかりの世界です。
そして彼の心の中には一点の雑音もありません。
それを邪魔するものから離れられることだけが唯一の救いであり覚悟の時が来たようです。
朝焼けの空暗い灯火見えるものはなかった
もういっそ 記憶の海に ああ 溺れたい
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
この場所でひと晩を過ごした朝、明けてくる景色を待っているようにもみえます。
その先にはまだ光は見えないことと自分の心象を重ねているようです。
決意した心の中にもまだ揺らぎのようなものがあるのですね。
すべてを捨てることに激しい喪失感を抱いているようにも見えます。
幸せだったことも脳裏から消えることはありません。
自分を追い込む自分
閉ざされたまま 象(かたど)る様に 枯れた頬を指でなぞった
壊れそうな程に 泣いていた
紅蓮の炎に塗れ 灰になるなら
孤独を喰らう事も出来ない
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
追い詰められた自分が心の中からやつれていく様を確かめています。
これは自分を再認識する作業のようでもありますね。
逃れられない苦しみは徐々に真っ黒な叫びのようになっていきます。
感情をすべて出し切ってもまだ救われないなら…。
いっその事「炎」の中に飛び込んで命を散らしたい。
そうすればこの「孤独」から逃げることができるとまで思い詰めている様子です。
彼をここまで追い込む悪魔の囁きが何なのか気になりますが彼の信念がどれほど強いかもわかりますね。
自分を呪うようにせき立て成し遂げようとする激しさと危うさがうかがえます。
小さな想い出
窓に映る 朽ち果てたこの身で 泳いだ 戻れぬ日を 騒ぐ心
いつかの願い星には君を映した 僅かな温もり
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
鏡を見るようにもう一度自分の生きてきた姿を見ているようです。
そこには成長した自分とは裏腹に失った過去も希望に繋がるような思い出もすべてがあります。
そのすべてが愛しく息苦しいのではないでしょうか。
思い出の中には小さな恋もあったでしょう。
そのやさしさもまだ残っているままです。
心に降る雨
生きようとするふたり
降りしきる雨 傷は癒えんだ 強く握るこの手には
ほとばしる希望で 震えていた
綺麗な場所を目指した 僕らこのまま
ずっと同じ夢を見てた
出典: ラストアンビエント/作詞:宮川大聖 作曲:宮川大聖
今まではただ自分のことについて深く思いを巡らしているようでしたが少し視点が変わってきています。
単なる思い出だけではなく初めて「ふたり」としての生き方に言及した場面でしょう。
ここではふたりが交わした約束など過ぎ去ったこととして雨に洗い流して欲しいようです。
しかもどしゃ降りのような激しい雨ですね。
勿論それは重く苦い記憶を消したいからです。
まだ幼い頃の思い出は純粋な心で思い描いた未来も美しいものばかりだったのでしょう。
大人になるためには醜いことも知らなくてはいけません。
本当はこの幸せが変わらぬまま一緒にいるという選択肢もあったはずです。
成長するということは沢山のことを裏切っていくことにもなります。