ゴーレムの手は大きいので、ソマリは指をつかみます。

これは原作でも象徴的に描かれているシーンです。

ゴーレムにどのような過去があったのかは、明らかになっていません。

歌詞を見てもそれを明言するようなセリフはありません。

しかし、ただ1つ言えるのはゴーレムが今の生活を謳歌していること。

種類は違えど、ゴーレムとソマリの間には確かな絆があります。

そして親子のような信頼関係も。

歌詞において笑っているのは、おそらくソマリでしょう。

向かい側に座って食事をする情景が浮かびます。

ゴーレムが過去にこのような経験をしたかは不明です。

しかし、おそらくこんな暖かな気持ちは初めてでしょう。

動揺しつつも、それに心地よさを覚えるゴーレム。

1,000年生きていたゴーレムでも、愛情というものを今初めて知ったのです。

感情の芽生え

最果ての地を君と目指した
ありがとうはこっちの言葉
迷子になったのは 君なのか僕なのか
香る花のその横 妖精たちが通る

出典: ありがとうはこっちの言葉/作詞:森山直太朗 作曲:御徒町凪

元々は「森を守る」というミッションを持ったゴーレム。

しかし作中ではもはやソマリの良き父のような存在です。

これに対して、ゴーレムも少々戸惑っている様子。

ソマリがゴーレム自身の運命も変えたことを示しています。

しかしゴーレムはそれを悪く思っていません。

今となっては世界がより美しく見え、感情も芽生えたのですから。

そんなことを考える間もなく、忙しく2人の1日は過ぎていきます。

ここで今一度、タイトルの意味を考察してみましょう。

ソマリはゴーレムを「お父さん」と呼びます。

ゴーレムはいつでもソマリを守り、助けてくれる存在です。

その上、命の恩人でもあります。

ソマリにとってゴーレムには感謝が尽きないでしょう。

もちろん幼いのでこういったことをソマリ自身が口にすることはありません。

しかし立場でいえば、ソマリがゴーレムにお礼を言うのは当然です。

が、タイトルは【ありがとうはこっちの言葉】

つまりゴーレムがソマリに感謝を述べているのです。

ソマリとの暖かな時間が、彼にとってかけがえのないものだからでしょう。

朗読のような歌詞

世界との約束とは

わたしがわたしになる前に交わした
世界との約束
森の木立に守られて
何もかもが輝かしく不明
たとえこの体が砂になろうとも
包まれている音と光と温度と香り

出典: ありがとうはこっちの言葉/作詞:森山直太朗 作曲:御徒町凪

歌詞には「約束」という言葉が登場します。

しかもそれはゴーレムが自身として成立する前のものなのだとか。

この約束とは一体何なのでしょうか。

それはおそらく、ゴーレムに与えられたミッションです。

つまり「森を守る」ということ。

アニメのタイトルは「ソマリと森の神様」です。

神様とはいわゆるゴーレムのこと。

ゴーレムは森の守護神のようなものです。

つまり森を守るための存在。

これが彼が古くから与えられた約束です。

ではゴーレムがゴーレムになった時とはいつでしょうか。

それはおそらくソマリと出会った時でしょう。

ソマリとの出会いが彼を大きく変えました。

今までは無かった感情が芽生え、愛を知ったのです。

これにより彼はどこか人間らしくなったといえます。

彼にとっての「自分」が形作られたのは、おそらくここからでしょう。

自問自答を続けるゴーレム

破れた地図を逆さまに見つめる
君の笑顔をただ守りたいと心がさとす
わたしは木々だと木々は言う
わたしは時だと時は言う
思い出はもういらないからと
夢に七色の貝殻を探した
たかだか三、四分でできた世界
りんごの木だという証拠はどこにもない

出典: ありがとうはこっちの言葉/作詞:森山直太朗 作曲:御徒町凪

感情が芽生えたことで、ゴーレムは非常に曖昧な存在となりました。

元々は森を守るという使命のためだけにいたゴーレム。

それがなぜか今は、子守りをする毎日を送っています。

それについてはゴーレム自身も複雑な思いがあるようです。

歌詞を見ると、自分の立場と思いの間でゆらいでいることが分かります。

自分は本当にこんなことをしていていいのか。

自分はなんのために生まれたのか。

しかし彼は新しい一歩を既に踏み出しています。

彼がソマリとの旅を辞めることはないでしょう。

世界の始まりが林檎の木だなんていう確証はありません。

何事も、常に曖昧なものなのです。

ゴーレムもきっと自分にそう言い聞かせていることでしょう。

2人の行方は…

ゴーレムの正体

夢をみるよりも 夢になりたいな
遠い空は近くにあって 幻灯の砂漠を渡る
「永遠」と口にするように 千夜一夜を確かめ合った

出典: ありがとうはこっちの言葉/作詞:森山直太朗 作曲:御徒町凪

歌詞には「私」という表現が出てきます。

これはゴーレムが自分自身を表す言葉。

ゴーレムは先ほどもご説明した通り、森の守り神です。

森を守る人、というのがゴーレムの正体でしょう。

しかし今やゴーレムのミッションは変わっています。

今は「ソマリを守ること」

そして「親元に届けること」。

それが彼のミッションです。

自分の立場が変わったことは本人も承知しています。

そしてそのミッションこそが自分をより、自分たらしめることも。

つまりゴーレムの正体は森の守護者であり、ソマリの保護者といえます。

2人の行き先