叶わなかった未来
雲は 破れ 明日は
遠くの 声
出典: 素敵だね/作詞:野島一成 作曲:植松伸夫
空にかかっていた雲は晴れ、待ち望んでいた明るい未来がやって来ました。
自分は見ることができないと思っていた、明るい世界が目の前にあります。
しかし、二人で声を弾ませて語り合った未来は、実現することはできません。
もうキミはどこにもいないのです。
手の届かないところへ行ってしまったキミの声が、遠くで聞こえるような気がします。
寂しい
月が にじむ 鏡を
流れた 心
星が 揺れて こぼれた
隠せない 涙
出典: 素敵だね/作詞:野島一成 作曲:植松伸夫
世界が平和になった喜びよりも、キミを失った喪失感が大きくなっていきます。
明るい世界を見ても、頭に浮かぶのはキミとの思い出ばかりです。
旅の途中で一緒に見た月も、今はにじんで見えます。
思い出すたびに、目に涙が浮かんでしまうのでしょう。
人前では平気な振りをしていても、ふとした拍子に涙がこぼれ落ちます。
旅の最中の決意の涙と違い、深い悲しみの涙です。
大切な人が隣りにいない寂しさに耐えきれず、涙を隠し切れません。
残された者の願い
2度目のサビは、ティーダを失い、後に残されたユウナの気持ちが表れています。
1度目のサビのときは、ユウナはティーダを残していく立場でした。
残す者と残された者が逆転したのです。
もう一度会いたい
素敵だね
二人手をとり 歩けたなら
行きたいよ
キミの街 家 腕の中
出典: 素敵だね/作詞:野島一成 作曲:植松伸夫
1度目のサビと同じ歌詞ですが、ここでは隣にキミはいません。
もう一度会って、並んで歩きたい。
いまキミのいる場所に、一緒に行きたいという切実な願いが込められています。
自分が救ったこの世界を捨てることになったとしても、キミに会いに行きたいのです。
きっと、永遠に会うことができないということはわかっているのでしょう。
それでも奇跡が起こって会えることを願わずにはいられません。
そうしてまた二人が再会できたら、それはどんなに素敵なことでしょうか。
夢の中でしか叶わない願い
その顔
そっと触れて
朝に溶ける
夢見る
出典: 素敵だね/作詞:野島一成 作曲:植松伸夫
キミに会うことができるのは、夢の中だけです。
しかし、そっと顔に触れたとき、朝がやって来ます。
朝の光と共に夢は終わり、またキミのいない現実が続いていくのです。
きっと、毎晩のように同じ夢を見ているのでしょう。
「会いたい」という切ない願いは、現実では決して叶うことがありません。
夢の中にいるときにしか、叶うことのない願いなのです。
切なさが曲の美しさを引き立てる
【素敵だね】の歌詞は夢がキーワードになっていました。
希望や未来を象徴する夢ですが、この曲の歌詞で語られる夢は決して叶うことがありません。
夢を通して、ユウナとティーダの出会いと別れ、そして一緒に歩きたいという願いが表現されています。
ハッピーエンドではないからこそ、歌詞の切なさと曲の美しさが引き立っているのではないでしょうか。
オリエンタルな響きのRIKKIさんの歌声も、歌詞の世界観にぴったりと合っている1曲です。