勇気をもらう応援ソング
楽曲「未完成な光たち」は、晴れやかな門出をイメージさせる歌詞となっています。
卒業、引っ越しなど、明るい別れの歌かもしれません。
共に過ごしてきた人たちと別れるのは寂しい経験ではあります。
同時に主人公の「わたし」は、夢に向かう仲間の姿から勇気をもらってもいるのです。
ところで、この「わたし」とは一体どんな人物なのでしょう。
曲全体の解釈にも影響してくるところです。
私は学校の先生、あるいはそれに相当する人物ではないかと予測しました。
根拠となるのは、後の歌詞に登場する複数形です。
歌詞の内容と併せて、詳しく見ていきましょう。
それぞれの春へ
別れの季節
すれ違った風はもう
新しい季節の匂い
君が手を振る 少し照れ臭そうに
出典: 未完成な光たち/作詞:H.Aoda 作曲:H.Aoda・N.Sasaki
春の風は独特な空気を持っています。
冬ほど鋭くはないけれど、どこかまだ冷たい。
けれども、丸みを帯びて温かい。
主人公をすり抜けた風も、そんな風味を持っていたのでしょうか。
季節の変わり目は、新鮮な気分を運んできてくれます。
同時に主人公にとっては、「君」との別れをも意味するもののようです。
「光」の表すものとは
未完成な光たち
出典: 未完成な光たち/作詞:H.Aoda 作曲:H.Aoda・N.Sasaki
曲のタイトルでもあるフレーズが、さっそく登場してきました。
前述の通り、「光たち」が複数形であることが大きなポイントです。
この箇所を目にしたことで、曲の主人公は教師なのではないか?と考えました。
光には、完全も不完全もありません。
どの光も明るく眩しいものです。
ここで言及されている光とは、電球などの光ではなく「生徒たち」ではないでしょうか。
学生たちはまだ若く、良い意味で世界を知りません。
だからこそ、彼らの心の中に無限の可能性が秘められている。
主人公はそれを経験的に知っているのでしょう。
学校から巣立つということ
重なってはまた散らばる
ねぇ どこへ行くの?
それぞれの明日へと
出典: 未完成な光たち/作詞:H.Aoda 作曲:H.Aoda・N.Sasaki
光の重なりは、学生たちが人生の中の数年間を、同じ学校で過ごすことを象徴しています。
学生時代は長いようで短く、人生全体から見ればほんの一瞬の出来事に過ぎません。
一時的に集まり、共に時間を過ごしますが、卒業すれば各々が旅立っていきます。
それが光の散らばりとして表現されているのです。
彼らがどこに向かうのか、どこに辿りつくのか先生には分かりません。
ただ教え子の未来を見守るだけです。
見届ける覚悟
Ah 真っ直ぐな その瞳のままで
思い描いた夢を掴むまで
そう 君の歩幅で 刻む足跡
ちゃんと見てるよ
出典: 未完成な光たち/作詞:H.Aoda 作曲:H.Aoda・N.Sasaki
瞳の素直さは、学生の純粋さをイメージさせます。
卒業とともにそれぞれの目標に向かう彼らは、期待と少しの不安に満ちていることでしょう。
先生はそれも分かった上で、彼らの行く先を見守っています。
引用の3行目は、歩くペースになぞらえたメッセージです。
大事なのは、自分のやり方を守ること。
人と自分を比べても、得るものは何もありません。
自分は自分らしく、人は人らしく頑張っている。
みんな頑張っている。
そう思えた方が建設的です。
人と自分を比べずに、自分が思うやり方で夢を目指そう。
先生の思いが溢れています。