Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

But you and I, we’ve been through that
And this is not our fate
So let us not talk falsely now
The hour is getting late”

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

「お互いそのことをずっと考えていても仕方がない

それは俺たちが決めることじゃあないだろう

それは良くない考え方だ、もう時間も遅くなってきた」

(解釈)

ペテン師はあまり深く考えるなと諭しています。

現実をみたくないのか、そんなことは「嘘だ」と言っていますが本心はわかりませんね。

彼を操る音楽業界の仲間としての言葉かもしれません。

結局のところ、ペテン師も何かを恐れているのです。

そして店を出る時間がやってきます。

話に疲れたのか、それとも出掛ける先があるのでしょうか?

摩天楼から見下ろすと

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

All along the watchtower
Princes kept the view
While all the women came and went
Barefoot servants too

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

成功者達は摩天楼からしばらく遠い地上を眺めていた

大勢の女達や労働者達がせわしなく歩いているのが見えた

(解釈)

ここから登場人物も場面も変わってきます。

現代社会に置き換えてみましょう。

摩天楼から地上を見下ろすキング達(成功者)がいます。

摩天楼はビジネスに成功した者が辿り着ける高層階のビルのことです。

成功者達は何を思い地上見つめているのでしょう。

監視しているようでもありますし、暇つぶしかもしれません。

一番高いところから地上を見下ろすというのは主従関係とか階級社会の象徴です。

ですがこのあと事態は一変します。

嵐の前触れ

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

Outside, in the distance
A wildcat did growl
Two riders were approaching
The wind began to howl

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

何処か遠くで野良猫の呻き声が聞こえる

大きな音を響かせてバイクにまたがり二人の使者がやってきた

(解釈)

動物の不気味な鳴き声が聞こえた後二人の使者がやってきます。

二人というのは誰でしょうか?

後で考察したいと思います。

栄華盛衰という言葉がありますが壊れる時はあっけないのです。

摩天楼の人達も真っ逆さまに落ちて行きます。

迎えにきたのは死神かもしれません。

大切なのは絶えず危機感を持ち続けその変化を敏感に感じ取れるかどうかです。

ここまでは私達の身近な問題として解釈してみました。

次は聖書に基づいて解説してみたいと思います。

しっかりと読み解く

旧約聖書へのオマージュ

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

このお話は二人の人物が何やら世間話をしているところから始まりましたね。

そしてその場面は二人が話を終えて帰って行くところで終わります。

その後場面は別の時代へと移動し、王子たちが見張り台から使用人を監視している情景に変わりました。

そこから見える景色はせわしなく出入りする女達や裸足の使用人たちです。

裸足というところに時代設定や権力者と労働者の関係が盛り込まれています。

そうするうちにこの国に不吉な予兆が現れるのです。

歌詞の内容にそって訳すとこのようになります。

では聖書の内容を取り入れるとどのように意味合いが変わるのでしょうか。

歌詞の題材とされている旧約聖書のイザヤ書には古代帝国バビロニアの様子が書かれています。

当時栄華を誇っていたバビロン帝国のことです。

そこでその大国が衰退するであろうことを予言したユダヤ人が現れます。

実はこのユダヤ人は捕虜としてすでにこの帝国にいた人物なのです。

これは自由を無くしているディランのことを示していると思われます。

ですが傲慢な王はそれを信じず国は滅亡していったということです。

そこで気になるのが「二人の使者」のことですね。

これはやはり「うぬぼれ屋」が「ペテン師」とともに預言者として訪れたということだと思います。

この二人は預言者であり死神でもあるわけです。

その時すでに国の外側(遠く)から山猫の唸る声が聞こえてきます。

そこで敵陣がバビロン帝国にやって来ている事がわかるのです。

時すでに遅し。

国の滅亡を防ぐことはできなかったのです。

聖書の内容と照らし合わせることでわからなかったことが見えてきました。

まとめ~巧みな構成

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

ボブ・ディランはこの短い歌詞の中に複数の要素をちりばめました。

自身のおかれた環境を道化だと言い、憂いながらも経済優先や階級社会への皮肉をこめます。

古代帝国の滅亡も現代における大国への警告ともとれますね。

聖書の中の預言者に自身をすり替えているところも巧みです。

自身の移民としての誇り苦労も垣間見えました。

そして意味を隠すことで、かえって人々の関心を惹き寄せています。

急な場面展開などもあり物語としても楽しめましたね。

中々一筋縄ではいかぬ人物だということがよくわかりました!

その他の曲紹介

「 Down Along the Cove」