青春は今も輝いている

漢&D.O【スタンド・バイ・ミー】MVを徹底解説!ヒップホップが好きな4人の少年…彼らの青春物語に涙の画像

日本のヒップホップを代表する2人、漢 a.k.a. GAMIとD.Oが歌う『スタンド・バイ・ミー』。

未熟ながらも必死に生きていた少年時代が描かれた曲になっています。

大人には分かってもらえない理想を抱きながら、かけがえのない仲間たちと過ごした日々。

良かったことも悪かったことも、すべてをひっくるめて青春と呼ぶのでしょう。

子供は子供で、辛く厳しい社会を生きている。

大人になった今こそ、子供時代の葛藤を思い出すべきなのかもしれません。

込み上げる懐かしさと苦しさの中から、消えない輝きを見つけ出せるはずです。

少年の思い出

『スタンド・バイ・ミー』のMVは、歌われている歌詞とマッチしています。

ということで、MVの解説に入る前に、歌詞についても少し触れていきましょう。

曲中で歌われていることが分かると、MVへの理解がさらに深まることと思います。

仲間と過ごした日々について

少年時代の思い出は人それぞれ。

この曲に登場する少年は、なかなか苦労の多い毎日を送っているようです。

歌詞の中にも「少年課」だったり、「盗んだ原チャリ」というワードが出てきます。

曲で歌われている少年は、いわゆる不良少年。

周囲の大人や地元の人間関係にうんざりしている気持ちが、曲中で何度か歌われています。

しかし歌われているのは少年の鬱屈とした気持ちだけではありません。

この曲は大切な仲間について歌ったもの。

それはタイトルの『スタンド・バイ・ミー』にも表れていますね。

大人に理解されなくても、自分を受け入れてくれる仲間がいた。

仲間との溜まり場、そこだけが自分の居場所だった。

少年と仲間たちは、互いに同じような苛立ちや焦燥を抱えていたから、繋がることができたのでしょう。

どんなに苦労の多い少年時代を送っていたとしても、仲間と過ごした日々だけは大切な思い出です。

映画『スタンド・バイ・ミー』を意識

漢&D.O【スタンド・バイ・ミー】MVを徹底解説!ヒップホップが好きな4人の少年…彼らの青春物語に涙の画像

この曲が不良少年と仲間たちとの思い出を歌った曲であることを踏まえ、MVを解説していきます。

『スタンド・バイ・ミー』と聞いて最初に思い浮かべる作品と言えば、あの有名なアメリカ映画でしょう。

映画『スタンド・バイ・ミー』がそうであるように、この曲のMVにも4人の少年が登場します。

どうやらこのMVは、歌詞の内容だけでなく、映画のストーリーも意識して制作されたようです。

映画『スタンド・バイ・ミー』と同じく、MVを見た後は少年たちの絆に胸が熱くなります。

少年時代のD.Oが登場

MVは1人の少年が母親らしき女性に三つ編みをしてもらっているシーンから始まります。

三つ編みといえば、D.Oのトレードマーク。(このMVでは髪を下ろしていますが……)

つまり、この少年はD.Oの子供時代の姿なのです。

MVの中で少年D.Oは、三つ編みをし、帽子とサングラスを身につけ、母親の勧めで香水を振りかけます。

実は歌詞の中にも香水を振りかける場面があり、その理由は「ナメられないように」というもの。

香水をつけていると、なんだか大人に近づいたような気持ちになれる。

こういった背伸びをしている描写に、彼の少年らしさが表れています。

母親も「ナメられたくない」という息子の気持ちを汲み取って、香水を貸してあげたのかもしれませんね。

夜の街に繰り出した少年たち

少年D.Oが窓を開けると、そこには彼と同い年くらいの少年が3人立っていました。

注目したいのは、青いトレーナーを着ている少年。

D.Oの姿を確認すると、少年は着ているトレーナーを捲り上げ、おどけた仕草をしてみせます。

この青いトレーナーの少年が漢 a.k.a. GAMI(以下、漢)です。

D.Oと漢は子供の頃からの親友という設定なのでしょう。

D.Oは漢のおどけた仕草に笑いを漏らします。

このシーンだけで、2人の仲の良さが分かりますね。

そうしてD.Oと漢たち4人の少年は、夜の街へと繰り出します。

街灯の光が妙に優しく見える夜の街。

まだ幼い少年たちは、横並びで楽しそうに歩いています。

微笑ましいシーンですが、どこか切ない雰囲気も……。

それは彼らが、自分たちの居場所を探し彷徨い歩いているように見えるからかもしれません。

仲間とヒップホップが救ってくれた

幼い笑顔で笑い合っていた少年たちですが、続くシーンでは彼らの苦悩が見え隠れします。

大人になじられたり、怒鳴られたり、時には暴力を振るわれることもあったかもしれません。

そんな薄暗いシーンを見るたび、彼らが抱えている孤独や痛みが伝わってきます。

少年たちは苦労することも多いようですが、彼らには救いとなるものがありました。

それは仲間の存在とヒップホップ。

夢中になれるものがある。

そして夢を語り合える仲間がいる。

彼らが笑顔を忘れずにいられるのは、そういった救いがあったからなのでしょう。