変わった誕生秘話

発端は曲名の言い間違い

「東京」フジファブリックの曲の中でもとりわけキャッチーな曲です。

後述する歌詞の内容からするに、かなりメッセージ性の強い作品である印象を受けます。

しかしこの曲が誕生したきっかけは、なんともあっけらかんとした出来事でした。

なんとボーカルの山内総一郎が曲の前振り間違えたことがきっかけとなって作曲されたそうです。

普段から茶目っ気のある彼らですが、このエピソードも例に漏れず茶目っ気たっぷりですね!

テクニックとセンスがあるからこそできる、いい意味での「大人の悪ふざけ」のようにも思えます。

そんな経緯で作った曲をストンと大勢の人に届くようなものに仕上げてしまう。

それは日本のロックシーンの最前線で戦い続けてきた彼らだからこそできることなのでしょう。

フジファブリックで東京といえば

ところで山内はいったいどの曲のことを間違えて「東京」と言ってしまったのでしょう。

過去の楽曲で「東京」と名のつく曲や東京が題材になっている曲はたくさんあります。

まずすぐに思いつくのが2008年にリリースされた楽曲「東京炎上」でしょう。

サビで一気に曲の雰囲気を加速させる手法は「東京」に通ずるものがあります。

次に代表的なのが2004年にリリースされた「TOKYO MIDNIGHT」でしょう。

この曲は古き良きロックンロールテイストな構成で非常にリズミカルな仕上がりです。

他にも「東京」を題材にした曲をあげるなら「茜色の夕日」「環状七号線」などがあります。

なかなか粒揃いな作品群ですね。

ここまで紹介した曲は全て前ボーカルである志村正彦が作曲したもの。

そんな曲たちが持っている空気感(志村イズムといったところでしょうか)。

それらを今のフジファブリックとして、しっかり余すことなく作品に落とし込んでいます。

注目のMV

新進気鋭の製作陣

アルバムリリースに先駆けて公開された「東京」のMV

監督に抜擢されたのは若手ポップスユニット「sui sui duck」の高橋一生です。

彼は音楽家として活動する傍ら映像作品のアートディレクターとしても活動しています。

現場の指揮系統に思い切って若手を採用する。

これはとても重要なことです。

前述した通り「東京」は都会に生きる若者の曲です。

若さ故の発想力と発信力をフルに活用した映像にしたかったのではないでしょうか。

他にも大規模アイドルオーディション「ミスid」の受賞経験者など多くの若手を採用。

まさに本物の「東京」に生きる若者たち。

フレッシュではなくリアルを追求した姿勢。

この要素が重なりあることで「現代のリアルな東京」の雰囲気を再現することができています。

まさにパーフェクトなキャスティングだったといえるでしょう。

どこが「東京」なのか

このMVは激しいダンスだけが見せ場ではありません。

多くの若者たちが行き交う人々の中に佇む光景もまた印象的です。

彼らは様々な立場持っており、ファッションアイテムを身につけています。

佇んでいる場所もまちまちです。

そんな多様性と個性が溢れる彼らですが、全ての登場人物部共通することがあります。

それはみんな同じ「東京」の空の下にいる、ということです。

ここが一番「東京」が出ているところだと思います。

決して広くない場所に様々な若者がいる。

個性と個性がすれ違う魅力溢れるランデブー。

それが日常的に起こっている「東京」。

その側面を非常にリアルに描いているのです。

大胆な曲構成

フジファブリック【東京】歌詞&MV考察♪東京の街で歌い踊る若者たち!導かれ…あなたの青春も光を放つ!の画像

「東京」の曲構成は以下のように大きく分けることができます。

おどろおどろしながらも都会を匂わせる前半パート。

この2つのパートをつなぐ意味深な間奏。

弾けるように通り抜けてくような後半パート。

リズムなどもかなりはっきりと分かれていますが違和感は全くありません。

むしろ大胆不敵ながらも聴いている人を引き込み、退屈させない魅力があります。

そこが狙いだったのでしょうか。

若者が聴けば深く入り込めて、大人が聴けば懐かしい。

都会に生きる人必聴のポップナンバーとなっています。

若者が抱える矛盾

若者のあるある

ここからは「東京」の歌詞を考察していきます。

泣きたいくせに 笑っちゃうの
寂しいくせに 強がっちゃうの
飛び出したいの 繋がりたいの

出典: 東京/作詞:山内総一郎 作曲:山内総一郎