『奴隷の唄』というタイトルのインパクト
アルバムに並ぶ楽曲タイトルの中で真っ先に目に飛び込んできたのが『奴隷の唄』でした。
一体どれほど重く、苦しい歌詞なのだろうか。
「teto」といえば、軽快でパンキッシュな楽曲を次々と生み出すロックバンドです。
彼らは、重く苦しい歌詞をどうやってパンクロックに仕立てたのだろうか。
MVを視聴して、納得です。
MV視聴で全てが変わる
今回ご紹介する『奴隷の唄』は、歌詞だけを見れば確かに痛々しい状況が描かれています。
しかしその中には確かな希望や前向きな姿勢が見て取れます。
それでもなお「胸に重く残るような曲はちょっと……」とためらう方はぜひ、MVをご覧ください!
奴隷の日常と葛藤
奴隷にも意思がある
奴隷の慌ただしい一日が始まったようです
自分に相応しい振る舞い立場を今日も弁えます
出典: 奴隷の唄/作詞:小池貞利 作曲:小池貞利
奴隷は日々やらなければいけないことが沢山あります。
そして主人に対する絶対服従が鉄則です。
何を求められても「イエス」以外の返答は認められません。
もしも「いや、それはちょっと無理」と思ったとしても胸に閉じ込め、自分は奴隷なのだと言い聞かせます。
そして奴隷は奴隷らしく、主人の命令に従うのです。
聞き覚えのない笑い声は聞きたくなく反面
誰かの悲しむ顔面、断念、ダイジェストも見たくはないようです
出典: 奴隷の唄/作詞:小池貞利 作曲:小池貞利
奴隷である現状に納得している人なんていないはずです。
できれば奴隷ではなく普通の人間に、あわよくば自分が命令する立場に……と思う人もいるかもしれませんね。
奴隷が生きる世界には、主人と奴隷しかいません。主人のために日々労働をするのが奴隷なのです。
しかし、実際の世の中には奴隷と主人の他に多くの人がいます。
主人の利益になるような労働をしている奴隷にとって、笑っていいのは主人だけ。
それなのに、奴隷でも主人でもない誰かの幸せそうな表情を目にしてしまうことがあるのでしょう。
自分の不幸が浮き彫りになるような気がして、目を背けたくなります。
だからといって万人の不幸を願っているわけでもないのです。
人は「悲しい」と感じたとき、自分の中でうまく処理をしようとしますが、キャパシティを超えた悲しさは表情に出ます。
つまり「悲しむ顔面」が見えるとき、その人は相当強い悲しみを感じているはずです。
それをもし人づてに聞いたとしても、どれほどの悲しみだったのか分かるほどではないでしょうか。
嫉妬の対象となりそうな誰かの幸福も、自分を投影してしまいそうな誰かの不幸も、遠ざけたいのです。
気づけば奴隷になっている
ここまでの歌詞を読み、ピンときた方もいることでしょう。
おそらくこの曲の「奴隷」とは、特別な立場の人ではありません。
平均的な日常を何不自由なく過ごしている「普通の人」だと推測できます。
それを踏まえての歌詞考察です。
失敗を重ねるほど成功が遠くなる
透明で新しい化学強化ガラスでさえも
自分の汚らわしい振る舞い立場を写し出してしまいます
出典: 奴隷の唄/作詞:小池貞利 作曲:小池貞利