会えぬ辛さを語れぬ日々よ 私は想う せめてこの髪があなたのもとへ のびるくらいになれと
出典: 万里の河/作詞:飛鳥涼 作曲:飛鳥涼
実に女性らしい一節です。初期のチャゲアスは女性目線の曲が沢山あります。
そして男性のはずなのに、どうしてこうも切ない歌詞が…という名曲揃い。
当時大学出たての2人の才能に、改めて驚かされます。
後に日本のみならず、アジアを代表するデュオとなる彼ら。
90年代の世界レベルでの功績の数々は伊達じゃないです。
最初から片鱗を感じます。
この時の彼らは若干22歳!それなのにこの完成度はただごとではないなぁと思いますね。
歌詞の中の、せめて、ってところが良いですよね。
会えない距離なら、せめて私の髪だけでも…悲しいけどわかる…
抱きしめる事も叶わない遠い距離にいるあなたの元へ、せめてこの髪だけでも…
悲恋ですね…
私の愛をさえぎるものは
心の距離感
愛しい人よ 帰らぬ人よ 私の愛をさえぎるものは 深く冷たいこの河の 流れだけなのでしょうか
出典: 万里の河/作詞:飛鳥涼 作曲:飛鳥涼
ここまで来ましたが、帰らぬ人を待つ女心って今もあるのでしょうか…
この曲が発売された当時と現在じゃ、女性のメンタリティもだいぶ変わっています。
それでも未だにこの曲が愛されるのは、やはり普遍的な心の機微が描かれているからかなと。
この部分で歌われている河の流れ、それは言うなれば運命に翻弄されているという比喩なのかなと思います。
ASKAはよくもまあこんな歌詞を書けたものだなーって感心してしまいます。
サビへと向かう部分ですが、ここからのサビは本当にかっこいい!
主人公の問いかけの意味
2人の距離はこの冷たい河の流れだけなのかと主人公は空に尋ねます。
それは目の前の障害だけではなく、悲運とでも言うべき2人の運命をも内包した問いかけでしょう。
何故2人は離れてしまったのか、そしてあなたは私をいつまで待たせるのかという悲しみを感じますね。
あみんの待つわなんて曲もありますが、この頃の女性は慎ましやかに待つ美徳があったのかな。
非常に日本的で素敵だなと思います。
今の世の中では、待ってる場合じゃねぇ!って感じなので、いまいちわかり辛い部分もありそう…
淡い夢
淡い夢とは…!
サビで歌われる淡い夢とは一体どんな夢なのでしょう…
憶測ですが、この主人公の願いなんだと思います。
いつかまたあなたと再会して、幸せに暮らす事。
これでしょう。
しかしそんな2人の運命を知らずに、万里の河は流れていきます。
深く冷たい河が。
万里の…ときたら長城って感じですが、そこで万里の河ってタイトル。
秀逸!
最近の曲だと情景が浮かぶ歌詞はなかなか少なくなってしまいましたが、タイトルだけでパッと絵が浮かびます。
ヒットするのもさもありなん。
編曲はあの人
万里の河はイントロから、おそらくケーナのような笛が使われています。この音色が郷愁を誘うというか。
その中で描かれる歌詞は、どこかおとぎ話のような悲恋。
編曲は瀬尾一三さんという当時超有名な方が手がけています。
中島みゆきや吉田拓郎など、フォークのアレンジャーならこの人!って感じの。
チャゲアスも所謂演歌フォークなんて呼ばれたのは、この方のおかげも多分にあったでしょう。
ASKAはSAY YESでブレイクした後も、この頃のイメージに悩まされたといいます。
デビューしてすぐに売れた事によってついたイメージは、その後10年以上チャゲアスについてまわります。
しかしながら、節目節目のライブでは万里の河は歌われ続けました。
それこそ、20周年のカウントダウンライブや、25周年のお台場でのライブでも。
現在の彼らの作風とは全く違う作品ですが、それでもやり続けてくれています。
それはやはりこの曲の持つ普遍的な良さを、本人たちもわかっているからこそだと思います。
最後に
どれだけ待てばいいのですか…ってなってた!
そしてチャゲアス、2019年にデビュー40周年です。
事件などもあったためチャゲアスとしての活動はしないそうですね。
個人的にも残念ですが、今の状態でチャゲアスはやれないと。
CHAGEもASKAも、お互いソロで充分やれる人たちです。
活動休止という状態ではありますが、名曲がめちゃくちゃ多いので寂しいですね…
ですが、また2人が並ぶときにこの曲もきっと歌ってくれるでしょう。
チャゲアスファンの方も、最近好きになった方も、きっと心中は万里の河のサビのような気持ち…
ですかね…
ここ数年、色々とファンには辛い時期でしたがASKAも無事に活動を再開しました。
声も復調し、新しい楽曲は過去最高ぐらいのクオリティでコンスタントに。
でライブ活動も再開!あとはチャゲアス復活をファンの皆様は髪をながく…ではなくて。
首をながくしてゆっくりのんびり待ちましょう。
淡い夢かもしれませんが、2人は会えるのだから。
いつか2人がまたチャゲアスとして活動してくれる事を願って終わりたいと思います。
最後にオススメ記事を!