春が終わる前に
Halo at 四畳半がリリースした2枚目のミニアルバム「innocentpia」に収録されている「春が終わる前に」。
優しいメロディの裏にある激しさは、まるでくすぶる炎が歌うにつれて猛々しく燃え上がるかのようなイメージが浮かび上がります。
数ある彼らの楽曲の中でも「春が終わる前に」は代表曲といっても過言ではないでしょう。
この曲を聴いてファンになった方も多いはずです。
アルバム情報
先程も述べましたが、この曲は2ndミニアルバム「innocentpia」に収録されています。
この他にも7曲収録されており、どの曲もHalo at 四畳半の世界観、つまりは物語のような楽曲達ばかりです。
1.ep
2.春が終わる前に
3.飛行船
4.ペイパームーン
5.海鳴りのうた
6.トロイメライ
7.アストレイ
8.怪獣とまぼろしの国
出典: innocentpia/Halo at 四畳半
MV
彼らが出している曲の中で二つだけMVが作られたのですが、その内の一つがこの曲です。
登場人物は、Halo at 四畳半達と一人の少女。
演奏風景などを観る限り、サビ前のBメロで着火し、サビになったとたん花火の如く弾け飛ぶようですね。
ここで軽く解釈を交えるとするならば、登場する少女が鬱屈した毎日に終わりを告げたいのではないでしょうか。
圧倒的世界観を構築した歌詞
それでは歌詞解釈に移っていきたいと思います!
MVの時にも述べましたが、歌詞ともなぞらえると「春が終わる前に」というタイトルの物語には、一人の少女と「僕ら」が登場します。
「春」というのは多くの人にとって新しい生活、人生の始まりとも言える季節です。
ただ、この曲に関しましては、春が来る前の過去の話をしているのかもしれません。
その過去がどういうものなのかはまだ分かりませんが、春に続く「終わる前に」というタイトルから鑑みると新生活が馴染む前に何かを成し遂げたいのでしょう。
そんな少年少女達の想いが隠されたこの哲学的な歌詞をこれから紐解きます!
いきなり重々しい展開
春を売った少女は鉄塔の陰になった
空を飛びたいんだと嬉しそうに話していた
僕らの抱えていた幾つかの苦悩は
その日から姿を眩ました
出典: 春が終わる前に/作詞:渡井翔太 作曲:渡井翔太
全て過去形で書かれている「春が終わる前に」の序文。
鉄塔という巨大な建造物でありながらその陰となった少女。そこには、「光と陰」が展開されています。
誰もが鉄塔を見ると上を見るでしょう。下には目もくれません。つまり、「陰」は見ないのです。
最初のセンテンスを見るからに、少女は孤独のようですね。
それも、周りを雁字搦めにされて動き出せないような自由の無い孤独。
春を売ったというのも、新生活を諦めたということに言い換えることが出来ます。
そして、「僕ら」の存在。
どう見ても少女と関係している人物なのは明らかですよね。
「少女」「孤独」「僕ら」
この三つだけで少女に何があったかは大体読み解けますね。
察するに、この物語の世界観は学校での「いじめ」がテーマなのかもしれません。
それを念頭に置いて続きの解釈を行っていきます。
皮肉でしかない青春
許されない心の鈍い痛みを
青春だなんて名前で誇らしげに
呼んだのは誰だ
出典: 春が終わる前に/作詞:渡井翔太 作曲:渡井翔太
「青春」を皮肉気に謳うこの部分。
いじめという観点から考えると、許されないほどの痛みというのは「当事者」か「傍観者」でしょう。
少なくとも一人の「少女」の生活を狂わせているのは確かです。
「青春=いじめ」なんだとするならば、これほど皮肉なことはありませんよね。