4thフルアルバム『boys』からのリード曲
ライブツアーの感動をもう一度!
北海道から沖縄まで、全国を行脚して行われたファンタスティックホームランツアー。
その中で演奏された曲たちを収録した、My Hair is Bad渾身のアルバムです。
全国のマイヘアファンを感動の渦に巻き込んだライブツアーの再現とも呼べる仕上がりです。
ライブへ参戦した人はその余韻を思い出すことができることでしょう。
残念ながら参戦できなかった人は、その感動をこのアルバムで感じることができます。
そんな、思いの詰まったアルバムからのリードトラックが、今回ご紹介する『化粧』です。
では『化粧』の世界観はどのようなものなのでしょうか?
『化粧』の世界観

4thフルアルバム『boys』の4曲目に収録されているのが『化粧』です。
好きな人がいて、その好きな人には思い人がいて、それを余裕なフリをして見送る主人公。
こんな切ない三角関係を描いた、まるで映画のようなストーリーを歌い上げています。
これを聞くだけでも胸を締め付けられる展開となっていますが、曲を聴いてください。
そして、ミュージックビデオも見てください。
その切なさはさらに大きなものになり、心がギューっと苦しくなります。
居た堪れないけれど、それに似た経験は、皆様にもあるのではないでしょうか。
叶わぬ想いと激しい後悔。
悲しい恋愛の心模様を見事に表現したMy Hair is Badの『化粧』。
その歌詞について、考察していきましょう!
浮気に翻弄される主人公
登場人物の関係性
この歌詞において、最も重要なのが主人公の立ち位置です。
歌詞の中での登場人物は下記の3人。
- 主人公(女性)
- あなた(男性)
- あの子(女性)
(性別は、語り口調からの判断です)
そして、歌詞を最後まで読むとわかってくる関係性があります。
それはどのようなものかというと、一行でいえば下記のようなものです。
「主人公」が「あなた」と親密な関係にあるものの、「あなた」は「あの子」の元に帰っていく。
そう、「あなた」と「あの子」は恋人であり、「主人公」は浮気相手なのです。
「あなた」は「主人公」の元には絶対に帰ることがなく、「あの子」の元へと帰っていくということ。
この立ち位置を理解して読み進めると、全てにおいて合点がいきます。
まずは、この立ち位置を理解しておきましょう。
「あなた」は浮気であることを隠していない
「あなた」のセリフから、浮気だとわかって交際していることが伺えます。
例えば、この歌詞。
あの子のこと まだ好きだって分かっているから
ほら 早く愛してあげなよ
出典: 化粧/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
この歌詞から、付き合うに至ったきっかけは「あなた」と「あの子」の不仲にあるとわかります。
これは「あなた」は「主人公」に対して、「あの子」との関係性を相談していたのだと読み取れます。
そういった相談から浮気関係になるに至った2人でしたが、深い関係になるに従って気付いたこと。
それが上記の歌詞なのです。
浮気を経て「あなた」の中の「あの子」が確固たるものになっていきました。
これにより、「主人公」は羽休めとしてとても心地よい場所になってしまったのです。
「あの子」との関係に疲れた「あなた」は、「主人公」に癒され、また「あの子」の元へと戻る。
この切なく、どうすることもできない状況のなかで、「主人公」はもがき苦しみ続けます。
なぜ苦しむのか。
それは、「主人公」は「あなた」のことが好きだからです。
その中で、「あなた」はなぜその関係を許容していたのか、という疑問が残ります。
この疑問は、もう少し後で解説します。
その前に、「あなた」と「あの子」の関係性について整理しておきましょう。
夫婦ではなく恋人であると思う理由
歌詞の中で、「主人公」は素直になれなかった自分を酷く後悔しています。
もしかしたら自分に振り向いてくれたかもしれない、という後悔。
夫婦関係を壊してまで振り向かせようというのは、かなりのハードルです。
しかし、恋人関係ならそれもあり得ることではないでしょうか。
「あなた」が妻帯者なら諦めもつくだろう思うからです。
しかし、この「主人公」はそうではないように見えます。
これらのことから、「あなた」と「あの子」は恋人同士であった、というのが結論になるのです。