暗黒宇宙 わたしは無である
森羅万象 月夜に嫋(たお)やかに

ラムの肉を 赤いワインと
足りぬ 足りぬ もっと血をくれい

今宵は 天を貫く
おまえのもとへ 我は BABEL
喜び 悲しみ 怒り
欲望の果て 我は BABEL
月光よ愛せ

出典: BABEL/作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

宇宙の神秘はまさに神の御業といえるものです。

科学が発達し、宇宙の成り立ちが判明したりブラックホールの撮影に成功したりしても宇宙にはまだ底知れぬ秘密が隠されています。

人間はそれを明らかにしようと躍起になっているというところでしょう。

宇宙に限らず自然現象や医学に関しても同じことがいえます。

森羅万象をつかさどるのは人間ではありません

自然の、宇宙の大いなる力。それを神というのかもしれません。

”ラムの血”が象徴するものは……?

”ラムの血”は生贄を連想させます

人間の発展のために壊されていくものを象徴しているかのようです。

人間がこの便利で快適な社会を作り上げるために犠牲にしたものはたくさんあります。

森や山を切り開いて道路を作り、海を埋め立てて土地を作り、温室効果ガスやダイオキシンをまき散らす……。

人間にとってのみ快適な現代社会に生きている私たちは、そのことに思いを馳せることがあるでしょうか。

あるとしてもほんの時々。

何かの拍子にそのことに心を痛めても、日常生活の中に簡単に埋もれていってしまうでしょう。

人間以外のものの痛みを忘れさる。無関心になる。それは人間の「驕り」「高慢」に他なりません。

まさに古代バビロニアの人々が神をも恐れずに天まで届く塔を建てようとしたのと同じです。

欲望の果てに人間は自覚なきままバベルの塔になり果てたのです。

その渇望は……

畏怖の念 IF YOU‥ おまえは幻想
在る 無い IF I‥ 我も夢 幻

おお 空(くう)よ 裂けよ 濡らせよ
焼ける 焼ける 渇き 気がふれる

今宵は 天を貫く
震えて眠れ 我は BABEL
喜び 悲しみ 怒り
頽(くずお)れて 尚 我は BABEL
月光よ愛せ

出典: BABEL/作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

”畏怖”と英語の”IF YOU”(もし君が……の意)をうまく韻を踏ませていますね。

”畏怖の念”を抱いたことはあるでしょうか。

この世の中全てのものに。

人間の力でが到底及ばない偉大なものに。

それがないと人間は生きていけない大切な何かに。

それは自然であったり、宇宙であったりするかもしれません。

古の人々はそういったものに畏怖の念を払い、自然と共存してきました。

今でも野生動物たちはそのようにして自然と共に生きています。

自然から恵みを受けながら、そして時には自然の恐ろしさに打ちのめされながら。

私たち人間のみが自然の世界からはるか遠くのところに来てしまいました。

畏敬の念など幻のように忘れ去って

どこまでも貪欲に便利さや快適さを求め進化し続けようとする末には、何が待っているのでしょうか。

餓鬼のような、焼け付くほどの渇望を抱えた人間はやはりベルの塔の運命からは逃れられないのです。

貪欲に求め続けた先には

おお 空(くう)よ 裂けよ 濡らせよ
足りぬ 足りぬ もっと血をくれい

今宵は 天を貫く
おまえのもとへ 我は BABEL
喜び 悲しみ 怒り
欲望の果て 我は BABEL

今宵は 天を貫く
震えて眠れ 我は BABEL
喜び 悲しみ 怒り頽(くずお)れて 尚 我は BABEL
月光よ愛せ

出典: BABEL/作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

もっともっと、と求め続けた先には何が見えるのでしょう。

そして求め続けるには、もっと多く血が、犠牲が必要なのです。

それに気付いても、人間の全ての感情を失ってもなおその渇望は留まるところを知りません。

ベルの塔はそれぞれの人間の中に。

貪欲に何かを求める人だけではありません。

気付いていながらも無関心を決め込む人にも等しくバベルの塔はあるのです。

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ゴシックなムードが美しく、ダークで幻想的な世界観に魅了されるでしょう。

終わりに

現代に生きる人間のエゴや欲望をBUCK-TICKならではの世界観で描き出していましたね

バベルの塔が登場する旧約聖書の時代でも、現代でも人間の性(さが)というものは変わっていないのでしょう。

今では技術の進歩の証のように超高層の建物が建設されていますが、もしかしたらそれが現在のバベルの塔なのかもしれません。

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