素敵なものより大事なもの

槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」素敵過ぎる歌詞とは?!『未発表ビデオクリップ集』収録♪【動画あり】の画像

きっとまたこの先探していれば
もっと素敵なものが見つかるだろう
その人は何度もありがとうと
嬉しそうに僕に笑ってくれた

出典: https://twitter.com/maimithu0722/status/733646279918661633

そして、手渡してしまったことを後悔するでもなく、前向きに捉えています。

もちろん拾ったものは嬉しいけれど、自分にとっては本当に必要なものではありません。

ということは、この先、本当に必要なものを追い求めていくことができます

そうやって希望を見出すと同時に、手渡したその人からの感謝の気持ちを目一杯受け取っています。

「ありがとう」という素敵な言葉を受け取ることで、この時点ですでに素敵なものを1つ見つけているように感じる歌詞になっています。

ここで示されているのはその「素敵なもの」よりも大事なものがあると示されていることです。

主人公の中では何かを「所有」することに対する執着はきっと薄いのではないでしょうか。

お人好しといえばそうですが、それ以上に欲らしい欲が実はあまりない性格といえるかもしれません。

そのかわり、人様を笑顔にするというそれ以上に大事なものをここで得ているのです。

素敵なものが何なのかはここでは示されていませんが、あくまでもそれは「」に過ぎず、いずれ大切ではなくなります。

本当に大切な物は形にならないものであるという所が示されているのでしょう。

具体的な事例から抽象的な法則を導く

槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」素敵過ぎる歌詞とは?!『未発表ビデオクリップ集』収録♪【動画あり】の画像

その後にもまた僕はとても
素敵なものを拾った
ふと気が付いて横に目をやると
また誰かがいるのに気付いた
その人もさっき僕が拾った
素敵なものを今の僕以上に
必要としている人だと
言う事が分かった

惜しいような気もしたけど
またそれをあげる事にした

出典: http://j-lyric.net/artist/a0005ff/l00287a.html

そして、もう一度同じ場面が繰り返されます。

ちゃんと歌詞の通りに、人に譲ってもまた素敵なものを拾います。

しかし、同じようにそれを求める人がいるものです。

ここでも優しさを発揮し、またあげることにしました。

結局僕はそんな事を何度も繰り返し
最後には何も見つけられないまま
ここまで来た道を振り返ってみたら

出典: https://twitter.com/radio_guitar/status/922022076713648128

そして、それが何回も繰り返されていきます。

結局自分にとって本当に必要なものは見つけられないままです。

きっとまたこの先探していれば
もっと素敵なものが見つかるだろう
なによりも僕を見て嬉しそうに
笑う顔が見れて嬉しかった

出典: https://twitter.com/Mackey_lyrics/status/920061999605624832

そして、ここでもポジティブな歌詞になっています。

きっとまた同じように素敵なものに出会えるはずで、それよりもあげた人の笑顔の方が素敵なものを拾ったことよりも嬉しいことに気付きます。

同じ出来事を繰り返すことによって、そこからある1つの抽象的な法則を導き出すというベタな手法が用いられます。

まあこれは槇原敬之の歌でありがちな法則で、1番の歌詞を2番でも繰り返しながら変化をつけて物語性を持たせるのです。

今回でいえば、主人公は拾った素敵なものを他者に与えて他者を笑顔にすることがとても大事なことだと気付きます。

しかし、本当に大事なものは何なのかという自身の幸せに関しては全く見つからないままなのです。

他人の幸せが自分の幸せ追加

槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」素敵過ぎる歌詞とは?!『未発表ビデオクリップ集』収録♪【動画あり】の画像

僕のあげたものでたくさんの
人が幸せそうに笑っていて
それを見た時の気持ちが僕の
探していたものだとわかった

出典: https://twitter.com/radio_guitar/status/922022076713648128

今までで一番素敵なものを
僕はとうとう拾う事が出来た

出典: https://twitter.com/radio_guitar/status/922022076713648128

しかし、これまで人に手渡してきたものを振り返ってみると、そこには喜ぶ姿や笑顔が必ずあることに気付きます。

そして、それを見た時に「嬉しい」と感じた自分の気持ちが、本当に自分が必要としていた素敵なものであったことに気付くのです。

ここで改めて主人公は素敵なものを人に与え続けることで人を幸せにすることこそが自身の幸せだと気付いたのです。

他人のためが自分のため」とよくいいますが、他者に向かってしたことは良くも悪くも自身に跳ね返ってきます。

人に親切にすれば親切で跳ね返ってきて、他者に酷くすれば酷い形でしか返ってきません。

主人公は目先の短期的な幸福よりも他者の長期的な幸福こそが最も大切であると気付いたのではないでしょうか。

当たり前といえば当たり前かも知れませんが、何故こんなに響くのかというとその当たり前こそが最も難しく尊いことだからです。

頭では分かっていても人はついつい自身の利益を先に追求してしまう生き物であり、他者の幸せには目が向きません。

ましてや複雑化している現代社会において、それはとても難しいことなのではないでしょうか。

匙加減を間違えれば単なるありがた迷惑で終わり、相手を選ばないと損しただけで終わってしまいます。

しかし、まず根っこに他者を思いやる気持ちこそが人を幸せにするということが大事だと訴えているのです。

この曲が伝えてくれること

ここまで読み解いた上で、改めてこの歌に込められたメッセージというか教訓を読み解いていきましょう。

果たして、この歌は何を聞き手に伝えてくれるのでしょうか?

「商品」ではなく「体験」