その後、曲調は軽やかになり、MVのペインティング映像も早回しされて一気に進んでいくイラスト。

しかし、歌詞を見るとここでもまだセンシティブな心模様が歌われています。

ちょっとしたことで激しく動いてしまう不安定さをのぞかせ、自己嫌悪に陥ってしまっているようです。

真っ白なキャンバスには、花をつけた植物やクラゲのような浮遊する生物が一つずつ描かれていきます。

まだ地に足のついていない、雑然として整理されていない心の状態が表されているのかもしれません。

重苦しさを抱えながら、それでもネガティブな感情をどうにか吹き飛ばそうとする気持ち。

そして、そんな思いが爆発する軽快なサビへと入っていきます。

イラストに現れるものは?

DANCE DANCE DANCE
未だ僕らアンバランス
UP SIDE DOWN
宇宙の片隅で
もういっそ狂ってしまいそうな程に さあ
DANCE DANCE DANCE
夢見させて

出典: 緑風/作詞:ササキハヤト 作曲:ササキハヤト

軽やかなメロディーに乗せて歌われるサビの歌い出しによって、重苦しさのあった「緑風」の世界は変化します

ここでもまだ不安定な一面も見せてはいますが、ダンスによって吹き飛ばしてしまう力強さも感じられますね。

狂ってしまうほどに踊り、前を向いて進もうとするエネルギーのほとばしるようなサビとなっています。

すると、ペインティングにも変化が。

植物や生物がどこだかわからない場所に浮いているだけだったイラストから、次第に何かが現れてきます……。

穏やかで強い「緑風」の世界

浮かび上がる穏やかな女性の顔

軽快で印象的なサビが終わると、キャンバスに人の顔が浮かび上がってきます。

女性のように見えるその顔は、浮遊する生物たちに囲まれて目をつぶって眠るような穏やかな表情。

ちょうど女性の顔が浮かび上がってくる部分で、歌詞は以下のように歌われます。

月は流れていく 眺めている もう戻れない
踊らされていても気付かないように 目を瞑っていよう

出典: 緑風/作詞:ササキハヤト 作曲:ササキハヤト

前半の孤独な戦いから次第に覚悟を決めたような悟りの境地へと移り変わっていく。

そんな「緑風」の世界観が、キャンバスに浮かび上がる女性の表情ともリンクしています。

もしかしたらダンスさえも誰かにやらされているのかもしれない。

そう感じながらも、全てを受け入れて前に進もうとする静かな決意が伝わってくるようです。

浮遊していたものの正体とは?

MVのペインティング映像はここで一度早回しを止め、再びゆっくりと筆が進められます。

いつも僕らアンバランス
無重力の世界で
もういっそ呼吸も出来ないくらいに さあ
DANCE DANCE DANCE

出典: 緑風/作詞:ササキハヤト 作曲:ササキハヤト

どことなく地に足のついていない感じのする歌詞

MVの前半で描かれていた生物たちの浮遊しているイラストの状態を連想させます。

そこに浮いていたのは、ここで歌われているように心の不安定な自分の姿だったのかもしれません。

「緑風」とイラストが重なるラスト

「緑風」の歌詞は、最後にこう歌われています。

泣いたって叫んだって構わないから
輪になって笑い合って過ごす日々を
何度だって思い出して 変わらないまま
灰になって燃え上がって
夢みたいに さあ

出典: 緑風/作詞:ササキハヤト 作曲:ササキハヤト