スピッツ「8823」とは?

スピッツの「8823」(はやぶさ)は、2000年7月26日に発売された、通算9作目のアルバム「ハヤブサ」に収録された楽曲です。

アルバムを作るにあたり、「8823」という曲ができたことが大きかったとメンバーが語るくらい重要な楽曲で、ライブでは定番曲となっています。

「8823」にはモデルがいた?!噂の真相とは...?

A post shared by Sagawa Mitsuo (@sagawa.mitsuo) on


黒沼健原作の特撮ヒーロー番組『海底人8823』が元ネタだと渋谷陽一に指摘されたが、草野自身は自分が好きな西岸良平のマンガに登場するキャラクターから連想した。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ハヤブサ_(アルバム)

上の引用によると、「8823」は西岸良平さんの漫画のキャラクターから来ているようですね。

西岸良平さんといえば、「三丁目の夕日」で有名な漫画家ですが、調べてみると漫画短編集『地球最後の日』の中で「海底人8823」という作品を描いていました。

『地球最後の日』には「海底人8823」のように、一般人が地球を救うという使命を無理矢理背負わされ、特殊な能力などを授かり努力するが、その力も微力で、結局何もすることができないというようなあまり救いのない話が多く収録されているようです。

しかし、この西岸良平さんの漫画は黒沼健さん原作の漫画、「海底人8823」のオマージュ作品のようなので、もしもこれが「8823」のモデルだとしたら、草野さんが否定していた渋谷陽一さんの「黒沼健原作の特撮ヒーロー番組『海底人8823』が元ネタだ」という指摘は元を正せば合っていたことになります。

このことから、草野さんが言っているのは西岸良平さんの別の作品のキャラクターがモデルになっているということなのか、それとも、原作を知らなかった、もしくは、原作ではなく、西岸良平さんの漫画からインスピレーションを受けたという意味で言ったのか...。

引用したwikipediaに出典が明記されておらず、筆者個人でも調べて見たのですが、これだという情報にはたどり着くことができませんでした。

仮に西岸良平さんの「海底人8823」が元ネタだとしたら、受験生がTSKRという国際科学機関にさらわれ、将来地球の異常気象によって水没化が予想される世界のため海底人に改造されてしまうストーリーです。

ここでは一旦真偽のほどは置いておいて、ごく普通の人がヒーローになるという構図だけ頭に入れて、よりスピッツの「8823」の世界を掘り下げていきましょう。

スピッツの「8823」を歌詞解釈してみた!

上にも書いた通り、結局どのキャラクターをモデルにしたのかはわかりませんでした。

しかし、歌詞の意味がわかれば、どんなキャラクターからインスピレーションを得たのかということには近づけるかもしれませんね。

というわけで、ここからは「8823」の歌詞解釈をします。

歌詞の世界からどういう人物像が浮かび上がってくるか、皆さんも考えながら歌詞を見てみてください。

生まれ故郷を後にして旅立つ

さよならできるか 隣近所の心
思い出ひとかけ 内ポケットに入れて
あの塀の向こう側 何もないと聞かされ
それでも感じる 赤い炎の誘惑

出典: https://twitter.com/spixxxa0969/status/475934264026877952

「隣近所」のような小さな世界の中だけで育ってきた自分が、そんな小さな、親しみのある場所に「さよならできるか」と自分に問いかけている歌い出し。

しかし、そんな故郷への愛着も、自分が見てきた「塀」に囲まれた世界の外側への「赤い炎」のような冒険心を止めることができないのでした。

生まれ育った小さなコミュニティーの内側が全てというような昔ながらの教育、「あの塀の向こう側」は「何もないと聞かされ」て育った少年時代に別れを告げ、「思い出ひとかけ 内ポケットに入れて」 旅立ったのでした。

大切な人のためなら誰よりも早く駆け抜ける「8823」

誰よりも速く駆け抜け
LOVEと絶望の果てに届け
君を自由にできるのは
宇宙でただ一人だけ

出典: https://twitter.com/nicelyricsbot/status/924827532322537472

ご近所というコミュニティーから飛び出した世界は広く、大切な人と出会ったこの曲の主人公。

そして、愛する人のピンチには、はやぶさのように「誰よりも速く駆け抜け」助けに行くのでした。

囚われた「君」を助けて、「自由にできるのは 宇宙でただ一人」、自分だけなんだという使命感のもと、どんな所へも助けに行くという姿は、まさにヒーローですよね。

ヒーローといっても、最近の戦隊モノや、アメコミの「アヴェンジャーズ」のようにたくさんいて、かっこいいヒーローではないですよね。

きっと、「君を自由にできるのは宇宙でただ一人だけ」と自分を奮い立たせて走り出す姿は、悪の組織対して、世界にたった一人使命を負わされたヒーローがいて、そんなヒーローの想い人であるヒロインがいてという、ちょっとダサいけど、何回倒れても立ち上がる昭和のヒーローのような世界観だと思います。

小さな女の子が自分がお姫様で好きな男の子がたった一人自分を助けにきてくれる王子様という妄想の男の子バージョンのような、少年の夢のような世界観で可愛らしさも感じられます。

ヒロインへの「LOVE」と幾度となく迫り来る「絶望の果て」に最後はヒーローがヒロインを助けて笑う、そんな世界観だといえるでしょう。

大切な人を絶対に不幸にしたりしない

夜明けの匂いを吸い込みすぐ浮き上がって
裸の胸が触れ合ってギター炸裂!

荒れ狂う波に揺られて 二人トロピコの街を目指せ
君を不幸にできるのは 宇宙でただ一人だけ

出典: https://twitter.com/karairikujira/status/795968590717460480