セロファンで 赤 青
飛び散る水しぶき
夜まで 飛び込んで
泳げば ゆらゆら揺られる
出典: 楽しい蹴伸び/作詞:YUKI 作曲:TENDRE
サビです。
ここはCharaさんとYUKIさん2人でユニゾンしたりハモったり1人になったり。
様々な歌い方が混ざり華やかです。
歌もの楽曲らしいメロディですが、ラップの歌詞のような言葉もあります。
J-POPとブラックミュージックの狭間を行ったり来たりしている雰囲気。
そして日焼けが気になる、夏の男女の恋物語は夜まで続いているようです。
ネオンがきらめくナイトプール状態。
女性主人公が決行した「男性の気を引く作戦」が功を奏したのか、仲良く泳いでいる様子です。
新調した水着の意味
フリースタイル クイックターン
2人でクロール
新しい水着に 気付いて
出典: 楽しい蹴伸び/作詞:YUKI 作曲:TENDRE
サビの続きです。
ここはかなりラップ調というか、体言止めが続く歌詞になっています。
それでもメロディのある歌い方。
2人で泳ぎつつ、「男性の気を引く作戦」の一環として、女性主人公は水着を新調していました。
ヘアスタイルやメイク、ネイル、ファッションなどを変えたとき、女性は愛する男性に注目してもらいたいもの。
これはほとんど無意識に近いくらい、日常的な感覚かもしれません。
おしゃれは自分の楽しみでもあり、モテる為の勝負服にもなり得るのです。
こうした女子力を高める努力は、相手を愛するがゆえに怠りません。
新たな魅力に気がついてほしい。
楽しく泳ぎつつ、切望する女性主人公の願いはこれに尽きるでしょう。
歌物語としては、恋する女性の健気な心理が描かれているわけです。
ただ、この曲自体は2020年1月、収録ミニアルバムは2月、真冬にリリースされました。
それなのに水着で泳ぐという夏らしいモチーフを選んだことになります。
その点を深読みすると、泳いでいるのはCharaさんとYUKIさんの2人。
この曲のように音楽を奏でることを泳ぐと表現しているのかもしれません。
つまり新しい水着とは、新しい音楽。
20年ぶりのChara+YUKIで新たなサウンドにチャレンジしていることが伝わってほしい。
そんな意味かもしれません。
2番の歌詞を見よう!
恋も人生も謳歌する
息継ぎは レモネイド
世界は オーダーメイド
エゴサも無い
出典: 楽しい蹴伸び/作詞:YUKI 作曲:TENDRE
さあ、これがChara+YUKIのニューサウンド!とばかりにラップ調のリリックをメロディに乗せて歌っています。
韻を踏んだり、濁音を散らしたり。
こうすると言葉の意味よりも響き、つまり語感のほうが耳に残るわけです。
ボーカルも楽器の一部としてサウンド全体に溶け込んでいるので、より音響的な聴き方になるということ。
一般的には、耳にイコライザーがついているかのように、歌声のみ勝手にレベルを上げる聴き方が多いわけです。
しかし、この曲の2人のような歌い方だと、サウンド全体がバランスよく耳に入ってきやすくなります。
こうした音楽性を示唆する歌詞。
そう受け取ることもできるでしょう。
もちろん歌物語に則って、自由に恋や人生を謳歌する女性主人公の姿も描かれています。
程よく脱力して泳ぐ
楽しい蹴伸び
余分な力は いらない
朝日に折り返して 6ビート
おすすめよ パドル
出典: 楽しい蹴伸び/作詞:YUKI 作曲:TENDRE
タイトルの他にも、泳ぎ方や足ひれを表す水泳用語が出てきます。
プールの壁を蹴った余力だけで前進する泳ぎ方を楽しんでいる模様。
クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライと違って力む必要がないわけです。
20年前のChara+YUKI結成時はクロールで泳いだとすると、今回は脱力した泳ぎ方が程よいのかもしれません。
オールナイトで、キックの回数を多めに、足ひれをつけて泳ぐといい感じ。
夏の男女の恋愛物語として、朝までまったり楽しんでいるイメージです。
さらに音楽制作は徹夜作業も多いといった、音楽の話を重ねることも可能ではないでしょうか。
プロデュースをしてもらいつつ、ビート(拍)やバスドラム(キック)を効かせた音楽でどこまでも進もう。
そう解釈するのも一興です。
まだ間に合う?切ない想いの行く末とは
あふれる想いがせつない
潜って伸びよう 願って呼び合う
潜って伸びよう
まだ まに あう かな
出典: 楽しい蹴伸び/作詞:YUKI 作曲:TENDRE
他の人に目移りする前に、気を引く作戦が成功するといいのだけれど。
この切ない想いは、歌物語の女性主人公の心情でもあり、Chara+YUKIの2人の願いとも解釈できるでしょう。
20年ぶりだけど間に合うかな。
そんな声が聞こえてくるようです。
真冬に放たれた、夏の恋物語の行方はご想像におまかせという結末でした。
その水着、似合っているね。
男性がそう言ってくれると万事解決。
浮気話はゴシップで、主人公の女子力アップ作戦が実ることを願います。
Chara+YUKIの音楽的な新展開は間に合うどころか、待ち望まれた話ではないでしょうか。
脱力しながらもグングン進化し続ける2人の音楽性が、素敵な曲でした。