歌詞の2行目と3行目で韻を踏んでいますが、こうした言葉遊びは他にも出てくるので要注目です。
さて、具体的なネタばらしはしないと宣言されているので、この歌詞の解釈に正解はありません。
あくまでも想像になりますが、もしかしたら音楽活動についての悩みを吐露しているのでは?と考えられます。
個性的なメンバー4人の中でも、ボーカルのアヴちゃんはセンター。
謎めいた人柄やインパクトの強い音楽性から、お仕着せの人物像を求められることもあるのではないでしょうか。
自由に音楽を作れないなら、やめる。
そこまで思い詰めたのでしょうか。
あるいは仕事以外の日常では、アーティストとしてのアヴちゃんとは違う素顔があるという話も考えられます。
これが音楽活動に関する悩みなのかどうかははっきりしませんが、いずれにしても大暴れしてけりをつける。
そんな覚悟が表現されています。
悩みの具体的な内容を明らかにしない代わりに、食卓を引っ繰り返すことで例えている点が興味深いですね。
はじまりの意味
はじまらないからはじめた
それだけ
何も怖くもないのに
怯えてはいられないでしょう?
ここまで来たら帰れない
心は誰も計れない
はじまらないなら
いつしかくたばるその前に
Introduction
出典: Introduction/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
タイトルも登場するサビです。
2013年から2014年にかけて女王蜂の活動を休止し、その間に別バンド獄門島一家を結成したアヴちゃん。
例えばこうしたバンドの経緯について描かれているのではないでしょうか。
ただ、この曲の収録アルバムは2019年にリリースされているので、上記のことを指しているとは限りません。
むしろ何事でも煮詰まった時こそけりをつけるべく新たな動きを開始する。
そんな幅広い意味に解釈できます。
ネタばらしをしなかったことが功を奏して、この曲を聴く方それぞれに自分のストーリーを重ねられるわけです。
アルバム「十」を制作した意味、主題歌となった映画の内容もリンクしてくるのではないでしょうか。
あるいはこの曲単独でラブソングとして捉えることも可能です。
2番の歌詞をチェック
秘めた情熱
選ばれないことには慣れていたよ
ずっとずっと
持て余す心 くすぶるばかりで
それでも消しずみで
描き続けたんだ
出典: Introduction/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
愛する人に好意をもってもらえない。
どれほどいい音楽を作っても期待するほどには幅広く聴いてもらえないなど、様々なすれ違いが想像されます。
それでも消し去れない情熱。
着火しやすい燃え残りの炭に例えて、秘めた想いの炎を絶やすことはなかったわけですね。
恋愛、音楽活動、リスナーそれぞれの日常、すべてが当てはまり、それぞれに解釈することができます。
ラストの本気
おままごとはもうおしまい
ガラじゃないから
タダじゃ帰さない
これが最後の晩餐だって
美味しいものが食べたいね
自分のクロスを握りしめて
出典: Introduction/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
はじまりを意味するタイトルですが、アルバム「十」のラストを飾る曲ということで、極上のナンバーを届ける。
そんな気合が感じられます。
手にしているのは、アルバムのテーマでもある「十字架」でしょう。
1番の同じセクションで登場した「食卓を覆う布」と韻を踏んでいます。
アヴちゃんらしく、女王蜂らしく、最終的に本気が伝わる曲をお見舞いするといったイメージ。
ラブソングとして解釈すると、想いが届かないとわかっていても、決死の覚悟で食事に誘う。
そんな展開も想像できます。
ラップをチェック!
お茶目な本音
どんな時でも
大丈夫にしちゃうぞ
可愛くおこりんぼ
すてきに楽しく稼ご!
火を噴くハイヒール
突き刺し Just like this
アダムとイヴのハイブリッド
放つ「はいチーズ!」
出典: Introduction/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
女王蜂がこの曲でラストに魅せる本気がラップです。
平等ではないと感じる日々に不満を抱いても、女王蜂がキュートに腹を立てることによって万事丸く収める展開。
ネガティブな感情に満たされて爆発する時でも、おしゃれとお茶目はマストアイテムというわけですね。
詳細なプロフィールは非公開で、この曲でもネタばらし無しと前置きされているので、深くは突っ込みません。
収録アルバム「十」が意味する「十字架」と、この曲の歌詞に散りばめられていたキーワード。
繋ぎ合わせるとラストから2行目の歌詞が本気度マックスかもしれません。