ビジュアル系バンド「Royz」
2009年の活動開始以来、キャッチーな楽曲とクリアなボイスで人気を獲得し続けてきた彼ら。
そんな彼らですが、2019年5月にシングル『IGNITE』をリリースしました。
ビジュアル系らしさを感じさせる重々しいサウンドに、妖艶なメロディがぴったりマッチしたこの楽曲。
激しく荒々しいサウンドは聴きにくい…という方も、そのメロディの美しさにうっとりすることでしょう。
タイトルの英単語には、着火・点火という意味があります。
いったい何に火をつけるのか。何を燃やしたいと思っているのか。
主人公の心理に寄り添いながら、歌詞を詳しく解説していきましょう。
現実世界とは
思いどおりにならない
なぞるだけのシナリオ
伸ばされた手さえ跳ねのけた
今は強く言わないで
[Real or Ideal choice, Real or Ideal choice]
出典: IGNITE/作詞:昴 作曲:杙凪
1行目で登場するシナリオという言葉。
これはドラマや舞台、またテレビ番組などでの進行をまとめた台本のことを指しています。
それをなぞるだけ、つまり書いてあることしか実際にやらないということです。
この曲中ではシナリオという言葉が、代わり映えしない日常生活を皮肉っぽく表現しています。
この楽曲の主人公は2行目に描かれているとおり、そんな状況に違和感を覚えているようです。
自分自身が理想として描いている日常。そしてそんな理想なんかお構いなしに迫りくる現実。
主人公は両者の狭間で深く悩んでいるのかもしれません。
だからこそ3行目、周囲の支えや助け、そしてわずかに見えた希望さえ振り払ってしまったのでしょう。
この心の迷いは、5行目にある英語詞部分にも表れています。
この部分の和訳は「現実か理想の選択」です。まさに主人公の心の中を映し出した表現といえますね。
期待なんてしない
Wish I could tell you everything on my mind
期待する事も忘れてたんだ
All we crave for is recognition That’s it
‐自分に‐ 裏切られるって
出典: IGNITE/作詞:昴 作曲:杙凪
心の中で悩んでいることをすべて伝えられたらな…。
僕たちがほしいのは正しい評価だ。
英語詞部分はこんな風に綴られています。
主人公は思い通りにならない現実世界に染まりすぎた結果、希望を持つことを忘れているようです。
そしてその希望は周囲に向けたものだけではなく、自分自身に対しても同様です。
周囲の人たちを信じられないだけでなく、主人公は自分自身のことさえも信じられなくなっているのです。
そんな主人公を支えたのは
唯一希望をくれたもの
口ずさんだ歌
それが唯一の希望だった
出典: IGNITE/作詞:昴 作曲:杙凪
主人公の希望がここで明かされています。
思い通りにならない現実において、主人公の心の支えになったのは歌でした。
そんな希望を頼りに、主人公はもう一度立ち上がろうとします。しかし…