ここの歌詞は人間の黒い心理状況が描写されていると解釈します。
まずは歌詞1行目から見ていきます。
「心配」とはまさに自分からあなたという存在が居なくなることを懸念している様子。
「損得~」はあなたが居ることが得であり、離れていくことが損であるといっています。
そうした複雑な想いの中で、主人公はあなたにある言葉を放とうとしていました。
歌詞から分かるように、実際にはその言葉は外に出ることは無かったのです。
そこで歌詞の3行目の意味が少しずつ見えてきます。
「見えて~」と自身の言葉に対して思っているのです。
そこから、放とうとした言葉はただ自己利益だけを求めた心無い言葉だったと解釈が出来ます。
そして季節の情景と主人公の心情を的確に捉えているその後の歌詞が魅力的。
あなたが居なくなるだけではなく、夏さえも遠ざかっていくというニュアンスで描かれています。
しかし、あなたが居たから夏があったと感じているという視点の解釈もまた感情を揺さぶられます。
勢いよく出た炭酸がすぐ無くなっていくように、この恋も右下がりに終わってしまったのです。
舞台は沖縄
2人の思い出
空の上から見た景色
小さくてとても儚いから
君は瞳を光らせて対照的なんだけど ねぇ
初めてやって来た場所は
どこか懐かしく思えたわ
琉球 国際通り 風になって
出典: 風薫る空の下/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ここでは具体的な情景から、2人のデートの思い出が描かれています。
歌詞6行目からも読み取れるように、舞台は沖縄。
道中の飛行機からの現実味の無い景色に対して、2人の想いが綴られています。
しかし、2人がもう一緒ではないことを知ると、「対照的」という表現はどこか悲哀感を伴います。
気持ちの揺らぎ
海際で見つけた星の砂だって
元は生き物だったよ
そんなこと知って
何の得になるんだって話だよね
出典: 風薫る空の下/作詞:ぷす 作曲:ぷす
これは同じく沖縄の海にて主人公が抱いた心境です。
砂に視点を向けて、世界の無常さを表しています。
先程のアイスクリームと似ている歌詞構成だと感じた方も多いはず。
当記事の「ごめんね」の先にという上記の見出しで述べた解釈を参照します。
それを加味すれば、この時点であなたに対する想いにどこか迷いを内包しているように感じられます。
あなたに見惚れた夏の日
肥大する喪失感
せいぜい
目とか塞いで嘆いたって
それだけならマシだったのにさ
人生とかまだ先長いけど
もう終わっていいかなって
劣等生だい
出典: 風薫る空の下/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ここは誇張表現がなされながら、ただ喪失感を描いています。
特に注目すべきは歌詞の4行目「とか」。
この言葉が加わることで、人生への諦念感が形を帯びてくると思います。
塞ぎ込んだ号哭はエスカレートして、希死念慮へと姿を変えていきます。
歌詞に何度も登場する「劣等生」という言葉も見逃せません。
これは主人公の口癖とも捉えることが出来ます。
そこから解釈できるのは以下の2点。
- 自分は人より劣っているという自己憐憫
- 物事を判断するときに影響してくる煩わしい1要因
そのレッテルに心地よさと不快感の両方を持ち合わせているのです。
皮肉にも広がる茜空
停滞したって心刻んで
この茜の空 見たくもないやって
逃げてばかりだけどキモチは君一つだった
独り夏の陰 見惚れてしまったんだ
風薫る空の下
また朝が来て想ったよ
出典: 風薫る空の下/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ここの歌詞で押さえておきたいのは歌詞2行目の「茜」です。
聞きなじみのある方も多いと思いますが、そのイメージは曖昧かもしれません。
この言葉には「柔らかさ」「温かみ」というポジティブなイメージがあります。
あなたが居なくなった喪失感と虚無感に蝕まれ続けている心。
その頭上では、皮肉と言わんばかりに優しく明るい空が広がっています。
この対比を是非感じてみてください。
そして次の歌詞では、夏の日に君を好きになったことが分かります。
先程の解釈で「君が居たから夏があった」と述べました。
まさにそれを言わんとしている歌詞ではないでしょうか。
夏の虫の音色とまだ肌寒い朝風の中、ふと思い返したあなたとの出会い。