鬼束ちひろの世界観を代表する曲

鬼束ちひろ「眩暈」は○○の理由からあの賞を受賞!?気になる歌詞の意味を徹底解釈♪【歌詞情報】の画像

鬼束ちひろといえば、独特の世界観と力強い歌声が魅力の女性シンガーです。

そんな彼女の雰囲気を効率良く理解できる曲はいくつかありますが、なかでも「眩暈」はその最たるものとなるでしょう。

広がっていくような歌声と、なにかを訴えるような歌詞が見事に合わさり、鬼束ちひろでしか形成できない歌の世界を作り上げています。

「眩暈」を聴きさえすれば、鬼束ちひろがどういったアーティストであるのか、すぐにわかっていただけることでしょう。

眩暈という楽曲について

今回ご紹介している「眩暈」は、2001年2月9日に発売された鬼束ちひろの4thシングルです。

デビュー曲である「シャイン」からぴったり1年後にリリースされているため、かなりのハイペースであることがわかります。

鬼束ちひろは2ndシングル「月光」がドラマ「トリック」に使用されたことで有名となり、ロングヒットを記録しました。

その後も3rdシングル「Cage」がバラエティ番組のEDになるなど、ヒット歌手としての条件を整えはじめます。

そして1stアルバムインソムニア」の先行シングルとして、本作「眩暈」が発表されることになったのです。

「眩暈」はCMソングとして起用され、バラードながらも明るさを持った楽曲として多くの支持を得ます。

ヒットソング「月光」で暗いイメージがつきがちだった鬼束ちひろに、「それだけではない」という印象を持たせるには十分なインパクトがあったのでしょう。

「眩暈」と「インソムニア」のリリースがきっかけとなり、鬼束ちひろの名前はさらに広がっていくことになるのです。

歌詞によって歌が作られる

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「眩暈」は、歌っている鬼束ちひろ自身の手によって作詞作曲されました。

曲を作る方法はもっぱら詞が先で、詞に合わせて曲の雰囲気を捻じ曲げることもしばしばあるとか。

思いついたフレーズや言葉を書きあげるという手法をとっているため、歌詞のなかにきちんとした脈絡がないものもたくさんあります。

それでも歌として成立している、いやむしろそれでしか表現できないような楽曲を作ってしまうところに、音楽アーティストの才能を見ることができるでしょう。

編曲を行ったのは、鬼束ちひろのプロデューサーでもあった「羽毛田丈史」さん。

「月光」のピアノ伴奏を行っているのもこちらの方なので、初期の鬼束ちひろの存在を確立した立役者の1人だといえるでしょう。

鬼束ちひろの歌詞から曲が出来上がり、さらにそこから羽毛田丈史さんによって編曲される。

名曲「眩暈」が生まれるには、そういった道筋があったのです。

第43回日本レコード大賞を受賞!

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鬼束ちひろの歌詞が認められる

鬼束ちひろの「眩暈」は、第43回日本レコード大賞の作詩賞を受賞した経歴を持ちます。

大賞は浜崎あゆみの「Dearest」、最優秀新人賞にはw-inds.の「Paradox」が選出されました。

他にも金賞にEvery Little Thing・hitomi・hiroなどのアーティストが選ばれていて、全体的に女性の活躍が目立った年であったといえるでしょう。

優れた歌唱と同時に、男女の間に潜む亀裂を、
別れを切り出しかねている女の立場からモノローグする詞のユニークさによって広く同世代の共感を得ている

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%A9%E6%9A%88/edge

授賞理由として、上記のような言葉が挙げられています。

確かに「眩暈」の歌詞にはどことなく肉感があり、特に同世代の女性から共感されやすい印象を持つことができるでしょう。

彼女は鬼束ちひろという世界観を通して、女性の感性を1つ上のステージへと押し上げることができたのかもしれません。

それが評価されたことは、これからの鬼束ちひろにとって、また多くの女性アーティストたちにとって朗報であったといえるでしょう。

そして作詩賞という賞を取ったことによって、鬼束ちひろの存在はますます世間に認知されることになります。

あくまで出発点でしかないとしても、第43回日本レコード大賞は鬼束ちひろの飛躍に大きく貢献した賞となっているのです。

「眩暈」が魅せる歌詞の世界

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圧倒的なリアル感

「眩暈」が表現しているのは、2人の男女が描く圧倒的なリアル感です。

まるでそこに人がいるように感じられるほどの輪郭を持った歌詞は、鬼束ちひろならではといえるでしょう。

何かに怯えてた夜を
思い出すのが非道く怖い
ねぇ私は上手に笑えてる?
今は貴方のひざにもたれ
悪魔が来ない事を祈ってる
ねぇ「大丈夫だ」って言って
嘘みたいに私を
強く強く信じているから

出典: https://twitter.com/rxs_bot/status/931742194284634117

おどろきなのが、サビにたどり着くまでの歌詞の量です。

わずか86文字。たったそれだけなのに、決して薄くない。むしろすごい密度を持った歌詞となっていることに注目しましょう。

「私」と「貴方」がいること。そして「何かに怯えていた夜」が過去にあり、現在もまた「悪魔が来ないことを祈ってる」。

これだけを伝えるだけで、鬼束ちひろは男女の間柄や今の心情を、見事に表現しているのです。

特に気にしてほしいのが、「嘘みたいに私を 強く強く信じているから」の部分。

「私」の後に続くのが、「を」になっています。

これは、「貴方は私を信じているけど、私はちがう」といった女性側の意思表示に見えるでしょう。

「が」や「は」と書いたなら、それはただの女性の視点に過ぎません。

ここで男性側の視点を取り入れることで、よりリアルな2人の人間を表せているのです。