椎名林檎さんの「幸福論」ってどんな作品?

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「幸福論」ときいて思い浮かべるのは、ショーペンハウアー、アラン、ラッセルなどの哲学者の著作。

しかしこの林檎さんの「幸福論」は4分ほどにぎゅっと凝縮された、とってもわかりやすい哲学なんです。

リリースは1999年。アルバム「無罪モラトリアム」収録曲です。

これ、じつは林檎さんのデビュー曲でもあります。

18歳のときに作ったそうで、どれだけ林檎さんが優れたアーティストであるのかしょっぱなからわかるような作品です。

シュルレアリスムの要素を感じさせながらも、自転車を漕ぎまくる林檎さんがとっても無邪気で可愛いらしくPV終盤でノックアウトされます。

おかっぱセーラー服にヴィヴィアンウエストウッドの指輪というギャップも個性的。

「誰か林檎さんを助けてあげて!倒れてるよ!!」とムダにウズウズしてしまうPVなのですが、幸福は自分の足で立ってゲットするものだという暗示なのでしょう。

また、林檎という果物は哲学においても知力の象徴であり、あらゆる芸術作品でも比喩の対象として多く使われているモチーフでもあります。

しかしミスりんごという発想はなかなかできるものではないと思います…!

「幸福論」の歌詞解釈

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それでは「幸福論」の歌詞にこめられた哲学を解釈していきましょう。

哲学といっても平易にご説明しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

愛し愛される人は案外そばにいる

ギターのエフェクトが印象的な、もやがかかったようなイントロでスタートします。

「幸福論」は結婚式のBGMでも使われることがあるそうなのですが、たしかに鐘の音がさらに結婚をイメージさせます。

本当のしあわせを さがしたときに 愛し愛されたいと考えるようになりました。

出典: 幸福論/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

どうしたら幸せになれるか、というテーゼ(主題)は哲学のカテゴリを飛び出して人類永遠のテーマ。

考えるうちに、この曲の主人公は「愛し愛される」ことだと気付きます。

でも誰を?

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そしてあたしは君の強さも
隠しがちな弱さも汲んで、
時の流れと空の色に
何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君に
エナジィを燃やすだけなのです

出典: 幸福論/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

時間の流れや自然の美しさに見返りを求めないように、君にも見返りなんか求めない。

ただ君に時間と知力の限りを尽くすだけだと言い切ります。

ここではまだ好きだと気付いていない段階ですが、パートナーとして素晴らしい覚悟をしています。

本当のしあわせは目に映らずに
案外傍にあって気付かずにいたのですが…
かじかむ指の求めるものが
見慣れたその手だったと知って、

出典: 幸福論/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

そしてだんだんと、そばにいる「君」のことが好きだと自覚するようになります。

その手を握りたいと思った、というとても可愛らしくも親近感の持てる表現が良いですね。

顔やほかのパーツ以上に、手や指ってなにか惹かれるものがありませんか?

「手」で終わらせたらそこまでですが、よく見るとその人しか持っていない特徴があったり色っぽさを感じたりします。

小さい爪だったり、ごつごつしていたり、指の先がぽってりしていたり…。

本当の幸福はそんなそばにいる君の手を握れることでした。 

案外運命の人というのは傍にいるあの人なのかもしれません。

恋愛したい!という方は、いま一度まわりを見渡してみましょう。

この人が気になるとうっすら予感ができている方はどんどん突き進みましょう。

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君のすべてを愛し通します

あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです。

出典: 幸福論/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎