アニメの主題歌に
少年マンガらしい?らしくない?
"次世代少年マンガの雄たる作品"と評された「僕のヒーローアカデミア」。
そのアニメ化に際し、「THE DAY」は第1期のオープニングテーマに起用されました。
ヒーローアニメのオープニングにふさわしい疾走感のあるナンバーとなっています。
ポルノグラフィティとしては43枚目のシングルとなった「THE DAY」ですが、心躍る音楽は変わりませんね。
けれどその内容は、夕方に放送していたアニメのオープニングとしてはずいぶんと厳しい歌となっています。
"ろくでもない世界"に生きる
人の弱さを否定しない
静けさがしみ込むようで息を止めた午前5時
非常階段で爪を噛む 明日はどっちだ? THE DAY HAS COME
出典: THE DAY/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
午前5時となると、陽が昇り始め少しずつ空が明るくなって周りの様子が判別しやすくなる時間帯です。
下手をすると真っ暗で周囲が見えない深夜帯よりも、周囲に人がいないことが目視でわかりやすい分だけ静けさが浮き彫りになる時間帯かもしれません。
非常階段は緊急時の避難に使用する場所。
爪を噛む仕草は不安の表れでしょうか。
周囲に人がいない、つまり助けを求める相手もいないという状況下で逃げるときに使う非常階段で不安げな様子を見せているのです。
「明日はどっちだ?」という言葉で、正にどこへ向かえばいいのか分からないという不安が露わになっています。
「THE DAY HAS COME」。
けれど不安であろうがお構いなしにその日は来ているのです。
少しも変ではないの まどろみに足を取られてる
あなたを責めているわけじゃないんだよ
出典: THE DAY/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
「まどろみ」は、わずかな時間の心地良い眠りのことです。
ひとときの心地よさに動けずにいることは、おかしなことではないと言います。
おかしなことではないのだから、誰かが責めるわけもないのです。
人の持つ人としての弱さを受け入れている言葉です。
少しずつでも前へ視線を促していく
独り空想に遊ぶ
そこで思い描いたことまで恥じるのかい?
出典: THE DAY/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
空想で思い描いたことまで、ということは他に何を恥じたのでしょうか。
くよくよして何もできずにいた自分のことでしょうか。
そうだとして何を空想したのでしょうね。
本来の自分では到底なれない(と決めつけている)理想の自分でしょうか。
それとも理想の未来でしょうか。
「恥じるのかい?」ということは恥じる必要はないということです。
絡み合う迷宮 迷宮 それでも行くというの?
小さき旅人が奏でる 始まりの鐘の音
出典: THE DAY/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
迷宮と迷宮が絡み合えばもはや手に負えませんよね。
一歩先さえどうなるのかわからないような道を、それでも行くのかと問います。
「小さき旅人」というのは何を示しているのでしょう。
子どもでしょうか、文字通り身の丈のことでしょうか。
広大な世界に対して、一人の人間はあまりにちっぽけな存在です。
「小さき」というのは広い世界と対比した表現だと思われます。
行く当ても DON'T KNOW DON'T KNOW 本当は怖いんじゃないの?
踏み出すその一歩一歩が変えていけるさ THE DAY HAS COME
出典: THE DAY/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
どこに向かえばいいのかもわからない旅です。
怖れていたって不思議はありません。
けれど恐れを抱きながらも一歩また一歩と踏み出していけば、何かを変えていくことはできるはずです。
変わるのは自分かもしれません。
周囲のひとたちかもしれません。
その変化を起こすために、その視線を前へ前へと促していっているように見えます。