そうした悲しみにふけった後、周囲に目を配ります。

引用「誰の為でもない〜」は、過去のワンシーンでしょうか?

過去の止まってしまった時間が、ポツンとそこにあるのかもしれませんね。

そしてその時間は、落ちた涙だったのではないでしょうか。

結局、周囲にも記憶だけしかなく一人きりの世界ということになります。

煌く明日じゃない

消えない傷でも綺麗でしょ?
夢が枯れてもまだ愛せるの?
確かに煌く明日じゃない
壊れそうなその意思は
振り返る為の傷じゃない

出典: LOTUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

引用「消えない傷〜」とは罪のことを指しています。

罪深いとしても(人間は)美しいという意味になりそうです。

引用「夢が枯れても〜」はパートナーや恋人が問いかけているように演出されています。

しかし、ここでは(同じかもしれませんが)夢破れても夢を愛せるのかを問うているのでしょう。

希望がなくとも、前をむけるかということです。

未来は、明るくはなく、意思も脆いかもしれません。

少し話題がそれますが、意思と傷がイコールになっているのは、前出の原罪がキーワードとなります。

原罪とは、キリスト教においてアダムとイブが最初に犯した罪とされているようです。

つまり神に背いて、禁断の果実を食べてしまった罪にということになります。

そこで、二人は自我を手に入れました。

自我を手に入れた為に、意思を持つようになったのです。

意思を持たなければ、悩みも苦しみも悲しみも持たずに済むでしょう。

しかし、もう意思を自分の力で放棄することはできないのです。

歌詞に戻ります。

自ら意思(傷)を放棄したとすれば、それは他人の意思で生きるということになります。

傷つかずに生きようと思えばそれも不可能ではないかもしれません。

でもそのように生きてゆくのではなく、前を向いて自分の意思で進むということです。

何もかも捨てたら

壊れ行く 夜が 目の前で
何もかも捨てた お前は 月
泣いて眠ればいい

出典: LOTUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

人は、生まれついてから死に始めているのです。

時間が経つということを人間主観で見るとそのようになります。

引用「壊れ行く〜」とはそういった意味合いではないでしょうか。

月になってしまったのは、死者のことです。

諦めて死んでいった者、ともいえます。

もう話すこともできないから、泣いて寝るしかないのです。

同時に、捨ててしまいたくなった気持ちはわかるという憐れみも含まれるような気がします。

過ちが生き方を変えはしない
気高く真っ白な 蓮を咲かせ
背に描いた 意思はもう揺るがない
自由な空 瞳を閉じよう
what is believing?

出典: LOTUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

間違っていたとしても、生き方・生き様は変えられるものではありません。

変えようと思ったところで変えられません。

無理が生じて苦しむだけでしょう。

その人の生き方にとっては、過ちは間違ったことではないのです。

周りは間違っていると見ることになりますから、傷付けられることもあるでしょう。

それでも気高く生きようと気が付いた時には、もはや意思がブレることはありません。

引用「瞳を閉じよう」ですが、歌詞の冒頭に「瞳を閉じる」とあります。

ここから考えると、自分の内面と向き合うことをさすように思われます。

自分の生き方がわかり確信が持てれば、自分の本来の姿を見ることも怖くないはずです。

自分らしく生きられるのではないでしょうか。

泥に咲く蓮のように傷ついても気高く生きよう!

比喩や示唆に富み、核心をついているのですが、捉えようが沢山ある深い歌詞だと思います。

それでいて美しい詩ですね。

仏教的な考え方やキリスト教を思わせるフレーズが出てきました。

それは「LOTUS」つまり蓮は、仏教やヒンドゥー教などでも象徴的な存在として登場するのです。

だから、思想も横断的に伝えているという解釈ができるかもしれません。

蓮は泥の濁りの中から顔を出し、美しい花を咲かせます。

だからこそ清らかさの象徴でもあるのです。

そんな蓮のように、傷ついても気高く生きていたいものですね。

PVはこちら

実にシンプルな構成ですが、PVでも独特の世界観を構築しています。

演奏するメンバー達の周りに現れる宗教画のような絵は、歌詞の中の朽ちる絵ということでしょうか。

最後の方に登場する、ドクロの頭を持った蟲(むし)が印象的です。

終わりに

耳に残るメロディーが素晴らしい!