安田章大の詩情あふれる歌から始まる
安田章大の詩情あふれる歌声と、力強いアコースティックギターのカッティングで始まるオープニング。
関ジャニの中でも頻繁にソロパートを担当する安田章大ですが、この曲での感情移入のうまさは特筆すべきかもしれません。
あまりのうまさに、ゆらゆら揺れるクラゲとは、安田章大自身がモチーフになったのでは?と疑問を抱いてしまう程です。
そのへんの事もふまえて歌詞の意味を探ってみましょう。
夏休みによって中断される、約束されない、か細い関係
いつも何を考えてるのか
分からない君の横顔の先に
誰が見えているんだろう 夏休みが来るんだよ
しばらく会えない日々 想像すると一人へこんだ
(安田)
出典: クラゲ/作詞:ISEKI from キマグレン 作曲:ISEKI from キマグレン
誰にとっても楽しみなはずだった夏休み。
しかし、恋する者にとってはそれは2人の間を切り裂く邪魔な中断期間にさえなってしまうものです。
学校とは約束も無く会える場所。
その場所がなくなれば会うことさえも出来ない、二人の不確かなか細い関係性が垣間見えてきます。
リアルな思春期の男心
あれこれ一人考えてへこんでしまうあたりに、少しだけ主人公のキャラクターが見えてきます。
まだ何の行動もしていないのにもかかわらず自分の想像の中で、落ち込んだり喜んだりを繰り返している。
そんな姿は、思春期の男子の未完成な心のありようを感じさせてくれます。
遠くから憧れの彼女に思いを馳せる、内気で健気な彼の心がどのように動いて行くか、少し覗いてみましょう。
勇気を出そうとする自分と、臆病な自分
思い通りにはいかない(大倉) know know know know (大倉、安田)
この先進めない(丸山) why why why why(丸山 安田)
ゆらゆらゆれる気持ちがゆれる(横山)
夏が終わる前に なんとか伝えたいんだけど(渋谷)
出典: クラゲ/作詞:ISEKI from キマグレン 作曲:ISEKI from キマグレン
ここで少し心の動きが見え始めます。
「なんとか伝えたい」と一歩踏み出そうとする勇気と、それを押しつぶすかのような「うまくいきそうもない」という弱気な気持ち。
それらが心の中で葛藤し始める場面です。
その『どうすればいいんだろう?』という心の動揺を、アップビートへのリズムの変化がうまく引き立てていきます。
異性への憧れの強さと反比例するかのような、自分に対する頼りなさ。
あなたが空に浮かぶ雲なら(安田、丸山、大倉)
それを見上げる僕はクラゲのようだね(丸山、大倉)
出典: クラゲ/作詞:ISEKI from キマグレン 作曲:ISEKI from キマグレン
恋する相手が魅力的であるほど、自分の存在が頼りなく思えたり、みじめに感じたり。
男子にとって、憧れの女子はいつでも雲のような存在なんです本当に。
それをただ見上げる事しかできない自分。
彼女と自分との距離感を雲とクラゲに例えている表現は、悲観的でありながらもどこかコミカルで、丁度良いポップ感が漂っています。
少し垣間見る勇気の気配
あなたと見つめ合う事が出来たら(安田 丸山 大倉)
どんな事でも乗り越えて見せる(丸山 大倉)
出典: クラゲ/作詞:ISEKI from キマグレン 作曲:ISEKI from キマグレン
頼りなさげだった彼も、少し勇気の気配を見せます。
主人公の中にある男らしさの片鱗が垣間見える場面です。
弱気な彼の中にこんなに強い気持ちが隠れているとは。
この思春期の衝動性が男子の心を鍛えてくれる人生のスパイスかもしれません。
沢山失敗をして、恥をかいて大人になっていく。その過程に彼がいる事を象徴している場面です。