テレビ朝日系ドラマ「Wの悲劇」主題歌に起用
平井堅の「告白」は2012年にテレビドラマ「Wの悲劇」の主題歌に起用されました。
「Wの悲劇」は元々1982年に発刊された推理小説で著者は夏樹静子です。その後、1984年に映画化され話題になりました。
さらには数回にわたってテレビドラマ化も行われ、昨今では2012年に主演に武井咲を置いて現代版の「Wの悲劇」が復活しました。
またドラマは「同じ顔の2人が入れ替わる」ということをコンセプトとしています。
それに合わせて主人公は双子の設定で、その2人が時を経て出会い、人生を入れ替えるという原作には無いオリジナルストーリーを加えた内容になっています。
平井堅「告白」
2012年5月30日リリース
「告白」は2012年5月30日に35枚目のシングルとしてリリースされました。
プロデューサーには亀田誠治を迎え、厚みのある弦楽器のアンサンブルでブラックな雰囲気を醸し出すアレンジに、まるで舞曲のような楽曲のテイストが絶妙に相まって、アーティスト平井堅としてまた新しい一面を垣間見せられるバラードに仕上がっています。
またカップリング曲には薬師丸ひろ子が1984年に歌った楽曲のカバーである「Woman "Wの悲劇"より」が収録されドラマの挿入歌としても使用されました。
歌詞を紹介
それではまず「告白」の歌詞を紹介していきます。
期待と諦め
私の中のあなたをいつも殺して生きてきた
誰もが知るあの歌が私には響かない
出典: 告白/作詞:平井堅 作曲:平井堅
「私の中のあなた」は優しさや救いをくれる存在だと考えられます。そんなあなたを殺して生きてきたということは、優しさや救いを受けることを拒否し、期待をせずに淋しく生きてきたということでしょう。
「歌」にも同じ力があります。癒しや救い、勇気を与えてくれるのが「歌」ですが、そんな風に淋しく生きる私にとっては、みんなが背中を押されている歌でも勇気をもらえません。
それほど心が疲弊しているのです。
笑いたい時ではなく笑うべき時に笑って
狭い水槽の中を真四角に泳いだ
出典: 告白/作詞:平井堅 作曲:平井堅
本当は笑いたいのに上手く笑うことができなかったり、笑いたくもないのに周りの人に合わせて愛想笑いをしてみたり、自分の思うように生きられない現状や抑圧された感情、不自由な生き方を「笑うべき時」や「狭い水槽」という言葉で表現しています。
そんな狭い水槽では、どう進んでいっても見えない壁にぶち当たってしまい、壁づたいにしか進むことができません。
私たちが生きていく中でも壁やハードルは存在します。それを避けながら、乗り越えながら進んでいくのが人生ですが、どうしても上手くいかない時もあります。
そんな時は負のスパイラルに陥って、堂々巡りでまた元の場所に戻ってきてしまうこともあります。
そんな状況を「真四角に泳いだ」という言葉を使って表しているのではないでしょうか。
あなたが私をすくいあげてくれるなら
それを運命と呼ぼう 叶わないけれど
出典: 告白/作詞:平井堅 作曲:平井堅
そんな狭い水槽を泳ぎ続けているような私を救いあげてくれる日をいつも待っています。
しかし、それと同時に叶わないことも知っています。
期待と諦めが入り混じった気持ちが読み取れます。
もがき あがき 泣き喚き叫べど あなたに届かない芝居
愛が欲しい ただそれだけなのに 巡れど巡れど闇は闇
出典: 告白/作詞:平井堅 作曲:平井堅
かっこつけずに苦しい、つらい自分の感情を表に出したところでそれが救いに繋がる確証はありません。
むしろそれが芝居に取られてしまったら逆効果になります。
本当は愛されたいだけなのに、うまく生きることができない人生という水槽の中を巡っている様子が想像できます。