小室プロデュースとASAYANの相乗効果
デビュー1年で7枚のシングルをリリース
「BE TOGETHER」は1999年7月にリリースされた鈴木あみ(現在は本名の鈴木亜美)7枚目のシングル。
デビュー曲「love the island」が発売されたのは1998年7月で、1年間にシングル7枚のハイペースになります。
デビューのきっかけはテレビ東京のオーディション番組「ASAYAN」だったのはご存知のはず。
同じ「ASAYAN」出身のモーニング娘。が一足先にメジャーデビュー。
ちょうど第2期の5人編成になった直後に当ります。
それまでの「ASAYAN」はオーディションの過程を取り上げるのがメインでした。
しかし、鈴木あみとモーニング娘。はデビュー後の活動をかなりの時間を割いて紹介していました。
小室哲哉プロデュースの鈴木あみとつんく♂のモーニング娘。が番組の2枚看板になっていたのです。
番組で継続して取り上げることで両者の人気がブレイクする大きなきっかけになっています。
「BE TOGETHER」に向けての下地
1990年代後半のJ-POPは小室哲哉を中心に回っていたとすらいえるほど音楽シーンを席巻していました。
小室自身は1980年代から他のアーティストに楽曲を提供しています。
それが90年代後半にはtrf、安室奈美恵、華原朋美、そして自ら率いるglobe。
その他多くの小室ファミリーに加わったのが鈴木あみです。
「love the island」は明るくポップな曲でしたが、小室哲哉が提供する曲はアイドル向けではありませんでした。
3rdシングル「all night long」(日本語に訳すと「夜を徹して」)のようなダークな曲もあります。
こうした小室サウンドと「ASAYAN」出演によるプロモーションは効果絶大でした。
1999年3月に発売された1stアルバム「SA」はダブルミリオンに迫る売り上げを記録しています。
こうして「BE TOGETHER」に向けての下地が築かれていきました。
あえてTM NETWORKのカバーを採用
オリジナルは12年前の曲
「BE TOGETHER」は小室哲哉率いるTM NETWORKのカバー曲です。
オリジナルは1987年の5thアルバム「humansystem」に収録されています。
「BE TOGETHER」作曲の動機は次のようなものでした。
BOØWYの4枚目のシングル「B・BLUE」に対抗して作ったという。こういう曲がないとBOØWYみたいな勢いのあるバンドに敵わないだろうと小室哲哉は思ったという。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/BE_TOGETHER
すでにTM NETWORKのライブでは定番だったのでファンにはおなじみの曲でした。
とはいえ人気急上昇中の鈴木あみの新曲にカバー曲を採用するのは冒険だったといえます。
オリジナルの発売からすでに12年経っています。
鈴木あみの若いファンにはカバーはあまりリスクにはならなかったようです。
ASAYANでのプロモーション
モーニング娘。との対決
「BE TOGETHER」の大ヒットには「ASAYAN」が大きな役割を果たしています。
すでに述べたように前年から鈴木あみとモーニング娘。を継続して取り上げていました。
それをオリコンチャートの順位で両者の直接対決と銘打った演出を行ったのです。
モーニング娘。はオリジナルメンバーの福田明日香が4月に脱退し、7月は3期のオーディションの最中でした。
「BE TOGETHER」と安倍なつみがリードボーカルの「ふるさと」が対決する構図を作ったのです。
「ふるさと」は素敵なバラードですが、アップテンポの「BE TOGETHER」にはかないませんでした。
モーニング娘。は後藤真希が加入した次のシングル「LOVEマシーン」の大ヒットで雪辱を果たすことになります。
今から考えると「BE TOGETHER」と「LOVEマシーン」の直接対決が実現していれば面白かったでしょう。
発売時期が2か月ずれていたのは偶然です。
むしろ、それを番組がうまく演出につなげたのだと思います。
その演出にはまったのがファンと視聴者でした。