好きなままで離れよう
恋の終わり方は人それぞれ。
ミオヤマザキの『哀図』では、気づきたくなかった自分の本音に気づくことで、1つの恋が終わりました。
好きだからこそ、本当の自分を曝け出すことができなかった。
相手のために我慢すること。それは”愛”ではないと歌います。
今でも変わらずあなたが好き。
だけどこれ以上一緒にいたらきっと好きでなくなってしまう。
この曲の主人公はそんな想いから、別れを決意したようです。
相手を好きでいるために離れる。
切ないですが、これも1つの恋であったことには違いありません。
恋人との思い出に涙...
終わってしまった恋に想いを馳せる女性。
女性は恋人と過ごした日々のことを思い出しながら、1人夜の街を歩いています。
最後、その目には涙が……。
自分から終わりを告げた恋ではあるけれど、決して未練がないわけではありません。
むしろ”好き”という気持ちを抱えたまま別れを決意した彼女の方が、残る未練は大きいのではないでしょうか?
女性が部屋で1人、膝を抱えている冒頭のシーンは、きっと恋人と別れた直後なのでしょう。
明かりもつけず、ぼんやりしている様子が痛ましいですね。
彼女はこれからもしばらくの間は、こんなふうに切ない時間を過ごすのだと思います。
好きなまま離れるという彼女の決断は、自分自身を最も傷つける選択だったのかもしれません。
変わってしまった日常
上手くいかないことを悟ってしまった
駅を出たとこ
いつもの場所に
座って待ってくれているあなた
ねぇもういいよ
ねぇもういいよ
好きなままで
離れよう あなたから
出典: 哀図/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
この歌詞は恐らく、家に帰る途中なのでしょう。
いつもと同じ駅で降りても、そこにあなたの姿はもうない。
いないと分かりながら、それでも主人公はあなたの姿を探してしまっている様子です。
もしかしたら……。そんな期待を少しは抱いているのかもしれません。
あなたと離れたのは、あなたを好きでいたいから。
このまま一緒にいても、どうせ上手くいかない。
そのことを主人公は恋人よりも先に悟ったのでしょう。
「もういいよ」という言葉からは、主人公の諦めが感じられます。
互いを憎んで別れるよりも、好きという気持ちを大切にしたい。
それが主人公の出した答えでした。
一方通行の恋だった
肌が触れることよりも
ココロが繋がっていたなら
どんなことだって
平気だったはずなのに
ちゃんと繋げてたと思ってたよ
でも掴んでただけだったんだね・・・
出典: 哀図/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
自分たちは心で通じ合っている。
今となっては、どうしてそう信じられていたのかが分からない。
恋が終わってから初めて気づくこともたくさんあります。
主人公は無邪気だった頃の自分を思い出し、懐かしさと後悔を噛みしめているのでしょう。
心と心で繋がっている。
それは錯覚で、本当は自分が相手に縋っていただけだった。
最後の「でも~」の歌詞からは、この恋が主人公の一方通行であったことがうかがえます。
繋がっていると信じていられたのは、主人公が必死に相手を繋ぎとめようとしていたから。
そんな自分に気づいたとき、主人公は恋人と別れる決意を固めたのかもしれません。
別れのとき
続く歌詞では、恋人と別れたときのことが綴られています。
きっと辛いことのほうが多かったはずなのに、別れのときに思い出すのは幸せなことばかり。
主人公が恋人から与えられたのは、決して苦しみだけではありませんでした。
恋人は何も気づかない
何度も歩いた帰り道
いつもより口数が多いね
きっとでもあなたは何も気付いてない
5分、幸せだった時間
いつもは隙さえあれば
繋ぐ右手にカバン持って歩いた
出典: 哀図/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ