未来へ飛び立つ自分と過去に降り立つ自分。2つのTerminal。
インディーズ時代では、英詞の曲がほとんどだった04 Limited Sazabys。
数多くのバンドが世に出てきている地元名古屋では、キャッチーなメロと少年のような歌声でロック好きの目に止まり、少しずつ地名度を上げていきました。
何度かメンバーが変わったりする中、日本語詩を取り入れたことで、ベースボーカルGENの文才が開花。
今や、バンド主催のフェスを開催するまで大きくなった、10代〜20代を中心に、人気うなぎ登りのバンドです!
今回取り上げたこの曲は、メジャー1stアルバム『CAVU』に収録されています。待ちに待って掴み取ったメジャーという新しい道。
そんな門出に相応しい、過去から未来に向かっていく曲です。
’’ターミナル’’という場所は、出発地であり到着地でもあります。
それは同時に、出会いと別れが交錯する場所とも言えるのではないでしょうか。
それらを、自分の人生に置き換えて描かれています。次のステージに登ろうとしている人や、現状に悩んでいる人の心にきっと届くはず。
歌詞ももちろん素晴らしいですが、最後のサビ部分で転調していて、より一層ドラマチックに演出されているところも魅力のひとつです。
フォーリミは暴れ狂うだけじゃない!
まるで作家が書いているような説得力のある歌詞を、少しずつ紐解いていきましょう!
思い描く理想の世界と眼に見える現実の世界を行ったり来たりする毎日。
最低な世界のまんまじゃ
許されないから
誰かの記憶入り込んで
知ったふりで過ごしている
今日までの日々の長さも
消えてゆくのかな
出典: Terminal/作詞:GEN 作曲:GEN
4カウントから始まる、曲の導入部分〜Aメロの部分です。ど頭からメッセージ性の強い言葉で始まります。
このメッセージが、曲の最後にはどうなるのでしょう。どう展開していくかワクワクします。
’’最低な世界’’というのは、理想とは違う現実の世界のように感じます。
毎日という時間の生活の流れを客観的に捉えていて、誰か人に会えば、相手の記憶に残る。
それらが自分の記憶にもなり、相手の事を知ったような気持ちになります。知るはずもないのに。
連続に訪れる今日という日の事さえ、時が経てば消えていってしまうという避けられない切なさが込められているように捉える事ができます。
さよなら さよなら
転がって夢が崩れていく
言葉にすれば 涙
弱い自分ばっか 嫌になるな
最低な世界のまんまじゃ
全然愛せないじゃないか
孤独から見ていたら
最後は決まってないから
出典: Terminal/作詞:GEN 作曲:GEN
Bメロの部分は、Aメロ部分が24時間以内の出来事だとすると、一週間分の出来事を思い返しているように感じます。
思い返せば、自分の不甲斐なさや弱い部分ばかりが出てきて、それらが涙とともに頬を唾う。’’言葉にすれば涙’’。
悔しいけど、自分を見つめ直して冷静になるときってありますよね。ため息と同時に漏れる気持ちを言葉にした歌詞が心に沁みます。
そしてサビの部分に繋がります。
現実の世界は、孤独。何百人、何千人を前にしてステージに上がったって、何人、何十人の人と言葉を交わしたって、自分のTerminalは、自分にしかわからない。
最終的に繋がるレールは、孤独なうちでは決まらない。
瞼の裏に入り込んで
知ったふりで僕を睨む
今日までの日々の長さも
消えてゆくのかな
出典: Terminal/作詞:GEN 作曲:GEN
ベースボーカルGENが書く歌詞の特徴でもある、1番の歌詞の韻を踏みながら、曲全体を同じ世界に描くというラップのようなテクニックが光っていますね!
では歌詞解説に戻りまして、
1番では過去に現実で起きていた事を歌っているよう聴こえますが、2番は頭の中の理想の世界の事を歌っているように感じます。
目を瞑って思い描く日常に対し、もう一人の自分が睨む。
もし、この世界に降り立ったら、今日のことも、今日までのことも全て消えてしまいそうな気が。
未来に対する、期待と不安の狭間で、立ちすくむ自分の姿が思い描かれます。
さよなら さよなら
転がって夢は続いていく
言葉にすれば 涙
弱い自分ばっか 意味がないな
最低な世界のまんまじゃ
全然愛せないじゃないか
孤独から見ていたら
最後は決まってないから
出典: Terminal/作詞:GEN 作曲:GEN
2番Bメロ〜サビの部分では、過去の自分との決別、自立。
といったメッセージが込められていると捉える事ができます。
’’夢’’に泣かされ、崩れていった日。’’夢’’に何度馬鹿にされたって、追いかけ続けた日々。
そして、着実に一歩一歩前に進んで、辿り着いた今。自信を持ち始め、成長した自分の心情の変化が読み取れます。
2番のサビ部分では、色々と経験してきた事で、ただの弱音だった部分が、確信に変わっていきます。
自分は、このままではダメなんだ。と、新しい道を進み始めたのではないでしょうか。
最高な世界はここにある。最後は君と居たいから。
知りたくないことが増える 嘘が増えてく
違う駅で待つ二人 自分で選んだ夢の途中
君は君でまた伸び縮み
待ってるだけじゃ埋められぬ距離
たどたどしくも辿り着く きっと
知っていたんだろ?
最高な世界になったら
きっと愛せるんじゃないか
何処にある ここにある
最後は 君といたいから
出典: Terminal/作詞:GEN 作曲:GEN
大サビ〜ラスサビにかけてです。
知らない場所に行くということは、必ずしもいい事ばかりが待っているわけではない。
逃げ出したくなったり、知っている場所に戻りたくもなる。ここでいう’’君’’というものは、これからの活動拠点の総て。
すなわち、音楽業界、東京、そしてバンドのファンのことだと思います。
それに対して、’’知っていたんだろ?’’と強気に出るところが、バンドに対する自信の表れなんじゃないかと言い切る事が出来るのではないでしょうか。
あくまでも推測ですが、そのように聞こえてきませんか?
そして、転調するラスサビに繋がります。ここがグッとくるのです。
初めの部分では、顔を俯いているような言葉が連なる歌詞になっていますが、ここまでくると、顔を上げて強気な姿勢に変わっていますよね!
メジャーデビューが決まり、バンドの未来が見えてきて、最終的には君と一緒に居たいからやるんだ。
と、バンドの活動にシンクロしているような歌詞が胸を熱くさせます。